1997年11号

「ロシアのハイテク産業と日日関係」 研究委員会について

Committee for


 このたび平成9年度調査研究事業の一環として、「ロシアのハイテク産業と日日関係」研究委員会を設置することにした。


研究委員会の趣旨

 ロシアはソ連崩壊後、社会主義計画経済から市場経済への移行を推進し、政治的、経済的発展を目指している。最近の経済状態は過去数年のマイナス成長から脱却しつつあるものの期待される成果 は未だ出てきていない。エネルギー資源に恵まれているが、いわゆる軍民転換といわれる旧体制時代から蓄積されている高度な技術の民間セクターへの活用が十分に行われていない。特に、新素材、航空・宇宙、情報・通 信、ソフトウェアー等の産業はその国際的技術水準も高く、日欧米企業との提携を望んでおり、産業基盤強化の重要な戦略となる可能性が高い。

 EC統合へ向けて、ロシア、東欧の市場経済の発展が大いに期待されており、中国、インドに続く大きな魅力ある市場として、潜在的技術力と日・米・欧からの投資をうまく組み合わせ、産業の復活、新産業の創出等により、この大きな市場の開拓が世界的にバランスのとれた経済・産業の成長に貢献すると予想される。

 また、今後の世界体制はG7からロシアを含めたG8へと進行しており、将来のロシアのWTO,OECD加盟間題等を考慮すればロシアの政治・外交、産業・経済面 での地位はますます重要になる。日日首脳会議が予定されている中、新たなな日日関係を構築する時期にきている。そこで、世界におけるロシアの位 置付けを見直しながら、日本あるいは日本企業の対日戦略を考え、具体的な政策提言を行うこととする。

 本研究委員会は次の委員で構成し、以上のような趣旨にたって討議・検討を行い、以下の構成で報告書をまとめることを目指していきたい。

    研究委員会委員(五十音順敬称略)

    座長: 鵜野 公郎 慶応義塾大学総合政策学部学部長
    委員: 川副 議 東海大学研究推進本部次長
    久保庭 真彰 一橋大学経済研究所教授
    下斗米 伸夫 法政大学法学部教授
    釈 厚 (社)資源協会 地球科学技術推進機構 常務理事
    月出 皎司 日商岩井(株)国際統括部専門部長
    講師 田中 昭二 (財)国際超電導産業技術センター副所長兼超電導工学研究所所長
    中里 良彦 富士電機(株)社長
    村上 陸 北海道大学スラブ研究センター教授

    1.ロシア改治、経済、市場経済化の現状

    • マクロ経済、政治、産業・貿易・投資構造分析
    • 市場経済化への移行・軍民転換の進捗

    2.産業構造とハイテク産業振興

    • 主要産業部門の動向
    • ハイテク産業育成のシナリオ
    • 個別科学技術の客観的評価
    • 科学者(技術者)レベルと教育
    • ベンチャービジネス創造
    • 知的所有権問題

    3.ロシア投資の現状と課題

    • ロシア投資環境の現状(税制、知的所有権合む)
    • 対日戦略における欧米と日本企業との差
    • グローバル企業たる日本企業の役割

    4.将来の日ロ関係

    • G8としての日本の位置付け
    • 具体的産業協力(民間ベース)の提案

    現在の委貫会日程とその内容

    • 平成9年9月18日(木):「ロシア経済とエネルギー産業」北海道大学スラブ研究センター教授村上隆氏
    • 平成9年9月30日(火):「ロシア科学技術と産業」(財)国際超電導産業技術センター副所長兼超電導工学研究所所長工学博士田中昭二氏
    • 平成9年10月2日(木):「国際科学技術センターとロシアとの協力」(社)資源協会地球科学技術推進機構常務理事釈厚氏
    • 平成9年11月6日(木):「ロシア経済復具への道のり一一曙光はあるが足元は暗閣」日商岩井(株)国際統括部専門部長月出皎司氏
    • 平成9年11月13日(木):「ロシアの原子力産業の現状」富士電機(株)社長中里良彦氏
    • 平成9年12月:一橋大学経済研究所教授久保庭真彰氏
    • 平成10年1月:東海大学研究推進本部次長川副議氏
    • 平成10年2月:法政大学法学部教授下斗米伸夫氏
    • 平成10年3月:慶応義塾大学総合政策学部学部長鵜野公郎氏

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