1998年4号

平成10年度事業計画の紹介 (平成10年4月1日から平成11年3月31日まで)


 去る3月19日に開催されました当財団の理事会において、平成10年度の事業計画が決定されましたので紹介します。

[はじめ]

 地球的視点から、産業・経済と資源、環境、生活、文化との好ましい関係のあり方、地球人類の持続的繁栄を図るための地球経済社会のあり方等の地球産業文化に関する諸問題について調査研究を行い、総合的な政策を国の内外に向けて提言し、これらの研究に関する国際交流を促進し、もって地球社会の繁栄に貢献するという目的を達成するため、平成10年度においては、創立10周年を期して、次の事業を実施する。


1.調査研究

【1】研究委員会

 テーマごとに次の研究委員会を組織し、調査研究を実施する。

(1) グローバル・ガバナンス研究委員会(継続)

 資源・エネルギー問題、トランスボーダーな環境問題、また金融問題、トランスナショナル企業の活動等一国では処理不可能なグローバルな問題が顕著になっている。

 国際社会の特徴は、そこに中央集権的な政府が存在しないことである。このような国際社会のガバナンスの仕組をいかにして創りだし、利用するのか。本研究委員会は、平成9年度に実施した「総合安全保障」研究委員会の成果 を踏まえ、グローバルな課題に対して、その課題毎に、関係国が柔軟に連携を作りながら、二国間取決、地域取決、セカンドトラック、国際機構といった多面 的なメカニズムを利用して取り組むのが有効であるとの仮説に立って、その中でのガバナンスの主体のあり方について研究する。

(2) アジアの中の日本を考える研究委員会(継続)

 グローバル経済の下にあって、アジア諸国は経済危機に直面し、その影響は地球的な広がりを見せつつある。今、アジア諸国から経済大国日本がアジアにどう対応していくかについて大きな関心が集まっている。

 本研究委員会では、戦後の「アジアと日本」の関係を越えて、これから50年先のアジアを展望し、「アジアの中の日本」という新しいパラダイムを模索し、現在のアジアの軽罪問題と今後の発展について研究する。

(3) ASEANを中心としたアジアの政治・社会システムとそれに立脚した地域協力と日本の対応 - ナショナリズムとグローバリズムの調和 - 研究委員会(継続)

 日本がARF、ASEAN、APEC全ての参加国である立場をより生かした対アジア関係を構築していくための政策課題を考察するため、アジアの多元的な社会構造と変容、国民国家の確立と課題、地域システムの形成と動揺、地域国際関係とリージョナリズム、日本とアジアの関わりという視点に立って、日本の対アジア関係のあり方を研究する。

(4) 日・米・アジアの情報通 産業とベンチャー企業の将来研究委員会(新規)

 最近の情報通信産業はソフト・ハードウエアー等の技術革新に支えられて著しい進歩を遂げている。また、将来的にも高度情報化に向けて飛躍的な発展が予想され、社会的基盤整備の面 でも大いに期待される。ネットワーキングの進歩は地球資源(人、物、金等)の効率化、最適化にも大きな役割を果 たし、グローバル化推進の原動力になる。

 今後の情報関連産業は社会的貢献を果 たすだけでなく、新産業創世の中核的存在になり、バブル経済崩壊以降、経済活性化の起爆剤となり、重要な産業基盤となることが予想される。現在、その新産業創世の担い手の一つであるベンチャー企業の役割とそのメカニズムを検証する必要がある。

 日・米・アジアの比較研究をすることにより日本の現状の問題点を抽出し、今後の戦略を検討する必要がある。また、環太平洋の情報ネットワークについても可能性を検討する。具体的には、情報通 信産業の日・米・アジアの比較、高度情報化の将来と課題、環太平洋情報ネットワークの意義、新情報産業とベンチャー企業との関連性、産学協同と日本のベンチャー企業について研究する。

(5) 21世紀の開発戦略研究委員会(新規)

 平成9年度で終了する「2050年のサステナビリティ研究委員会」では、人口・エネ ルギー・食糧等の観点から人類社会の持続的発展について、いわば長期のスパンでその可能性を研究し持続的発展のために解決すべき課題と方策を導く予定である。

 この研究結果を受けて、10年度は、国際社会の持続的発展における日本の役割、特に発展途上国の経済発展の進め方に関して、何をなすべきか、何ができるかを研究する。

【2】委託調査研究

 民間の調査研究機関に委託し、次の調査研究を実施する。

(1) 欧州・アジア関係共同研究

【3】 受託調査研究

 国等から委託を受け、次のテーマについて調査研究を行う。

    1. 地球温暖化対応方策検討調査
    2. 発展途上国エネルギー消費効率協力化基礎調査
    3. 中国における共同実施活動調査
    4. 気候変動影響評価事業(IPCC)
    5. エネルギーと環境に関する調査

【4】 助成を受けて行う調査研究

イオン財団から助成金の交付を受け、次の調査研究を行う。

    1. 中国における共同実施活動調査

 

2. 政策の提言

 1.の調査結果を踏まえて、地球産業文化委員会の審議を経て、地球産業文化に関する総合的な政策の提言を行う。

 

3. 共同研究

 内外の研究機関(米国世界資源研究所(WRI)、未来資源研究所(RFF)、ヨーロッパ日本研究所(EIJS)、ストックホルム環境研究所 (SEI) 等)と協力関係を保つほか、平成9年度に引続き、次の会議等に参加し、共同して調査研究を行う。

    1. 環境と開発に関する中国国際協力諮問委員会
    2. 環境保全と成長の両立を考える懇談会

 

4. 研究会、シンポジウム等の実施

 次のとおり、セミナー、シンポジウムを開催する。

【1】セミナー

     (1) 気候変動に関するワークショップ

【2】 シンポジウム

     (1)「21世紀の世界と日本」に関するシンポジウム
     (2) 「環境保全と成長の両立を考える」シンポジウム

【3】 電子フォーラム

     電子フォーラムについては、インターネットにホームページを開設して当財団の研究活動を内外に公開し、広く一般と意見の交換を行う。

 

5. 情報の収集及び提供

 地球産業文化に関する情報の収集、分析を行うほか、次により情報提供を行う。

    1. 調査研究に関する報告書等の提供
    2. 機関誌「地球研ニュースレター」(和文)及び「GISPRI」(英文)の発行
    3. 地球環境問題(企業)懇談会開催による情報の提供

 

▲先頭へ