1999年7号

国連気候変動枠組条約第10回補助機関会合について


5月31日から6月11日まで、ドイツ・ボンにおいて開催された国連気候変動枠組条約第10回補助機関会合の概要について以下に報告する。


今回会合の位置づけ

 補助機関会合は、COP(締約国会議)の2つの補助機関であるSBSTA(科学上および技術上の助言に関する補助機関)及びSBI(実施に関する補助機関)で構成され、年に2回(うち1回はCOPと併せて開催)開催されている。
 今会合では、1997年12月COP3で採択された京都議定書に盛り込まれた京都メカニズム(共同実施、クリーン開発メカニズム、排出量 取引)や条約上の課題である、技術移転、気候変動による悪影響及び対策による影響への対処などについて、今後の作業スケジュールとして1998年11月COP4で決議された「ブエノスアイレス行動計画」に基づき、技術的な検討課題について、議論、意見交換を実施した。

主要検討項目

(1)京都メカニズム

 事前の各国・各グループから条約事務局への提案に加え、EUがメカニズム使用による国際的な取引量 への上限設定についての提案が正式に出された。途上国グループ(G77+中国グループ)が会議開始後しばらく内部での意見調整に時間を要した。2週目半ばで、CDMに対する統一的な見解を示した。内容は、CDMの目的は、途上国の持続可能な発展に寄与すること、先進国の削減数量 目標の遵守を支援するものであること、の2点であるとし、プロジェクトが持続可能であるかどうかは、当該途上国自身が決定する、プロジェクト資金はODAなど既存の資金に対して追加的であること等である。また、共同実施、排出量 取引についても一般的な見解を示した。途上国の意見が出た後に、議長が各国の提案を項目毎にまとめた提案の統合書に基づき、意見交換を実施した。
 決議事項として、7月末までに各国から更なる提案を求め、それらをもとに議長が第2次の提案統合書を作成、それを基にCOP5で議論を行うとした。日本を含む先進諸国のCOP5の目標は、COP6で最終決定を行うための、交渉のベースとなる案文を決議することである。

(2)土地利用、土地利用の変化・林業活動(LU・LUCF、いわゆる吸収
    源(シンク))

 各国共通の意見として、2000年5月のIPCC特別 報告書を待って議論を行う、また、COP6で、吸収源に関連する人為的活動の定義など実質的決定を行う必要あり、との認識で一致した。COP6に向け、各国からの情報提供、ワークショップ開催等に合意。

(3)京都議定書の遵守問題

 遵守に関する各国からの意見の提出、ワークショップの開催など、今後の作業計画を決定した。途上国から、目標が未達成の国に罰金を課して温暖化適応基金を作るべきとの意見提出があった。

(4)AIJ(共同実施活動)

 COP5でパイロットフェーズのプロジェクト評価を行うなど、引き続き検討することとなった。検討項目に途上国からコスト等が追加されCOP5で報告されることとされた。

(5)今後の公式会合の日程

 COP5はドイツ・ボンにて本年10月25日から11月4日まで開催。議長国は東欧からポーランドに決定した。COP6は、オランダがホスト国の意思を表明。開催地はハーグ。時期は、米国などがメカニズム、シンクなど、検討期間が必要とのことから2001年開催を主張した。途上国は2000年の開催を主張。COP6で決定する予定である。米国の2001年開催の主張には、大統領選挙時期などとの関連を指摘する向きもある。
 会合の詳細は、   こちら を参照されたい。

(渡辺重芳)

 

 

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