2000年4号

会議出席報告

2月23日(水)~25日(金)、中国広東省・珠海市にてチャイナカウンシル(注)クリーナープロダクション(CP)作業部会(WG)第6回会議が開催され、事務局として参加したので以下の通 り報告する。注:中国政府に対して環境と開発の統合に関する建設的な提案をするためのハイレベルの諮問機関であり、1992年4月に設立された。



<会議の主な内容> 

 ワークショップ及び引き続いて行われたクリーナープロダクションWG会議へは、外国側CPWG共同議長である、井出亜夫(いで・つぎお)慶應義塾大学教授、銭易(Prof.Qian Yi)中国側共同議長、同WGメンバー、全人代環境資源保護委員会、国家経済貿易委員会、環境保護総局各担当官、山西省太原市副市長、太原市経済委員会担当者をはじめ、地元珠海市政府担当者等、約40名が参加した。

[1]ワークショップ

  • 1.山西省太原市クリーナープロダクション(CP)実施状況

     CPデモンストレーション都市として、中国政府から昨年認定された太原市におけるこれまでのCPへの取り組み状況について、太原市副市長霍潤徳(Huo Run De)氏より次のとおり報告が行われた。
     1999年3月18日に太原市で「CPモデル都市」プロジェクトに関する発足会議が開催されて以来、(1)主要発生源(principal part)規制プロジェクトの実施、経済構造の調整・最適化と経済的便益の向上、(2)「大気・水質浄化」(blue sky and clear water)プロジェクトの実施、インフラ建設と環境規制の強化、生活の質と環境便益の向上、(3)条例新設プロジェクトの実施、組織・法制の完成、CPの長期的高効率運用のための環境の創出――という3つの主要な路線に重点を置いてきた。
     9種類の延べ38件のCP プロジェクトが太原市全体で準備され、そのための総投資額は15億人民元に達する。CPは、太原市に所在する20%の主要企業で行われており、CP監査(audit)が主要企業10社(太原市鉄鋼公司、太原市化学工業グループ公司など)で行われている。
     太原市の条例である「太原市CP条例」が公布され、CPに関する一連の行政規則(「太原市CP実施計画」、「太原市長期CPプログラム」など)が策定され、「太原市CP評価指数制度」、「太原市CP外国投資誘致プロジェクト」がまとめられた。これらは、より大きな経済的・社会的便益と環境便益をもたらし、太原市全体の持続的発展を推進する上で重要な役割を果 たしており、太原市全体の経済・社会的発展を促進するものである。


  • 2.太原市CP条例

     太原市では、CP活動の積極的な導入を促進するため、地元企業を対象とした条例案を制定した。太原市の人民代表大会常務委員会からその上部組織にあたる山西省人民代表大会常務委員会へ提出されたCP条例案は、1999年11月30日に承認された。これにより中国国内都市におけるCP適用条例の第1号となった。罰則規定が明文化され、環境汚染や資源浪費等の条例違反企業は、その違反内容に応じて1万人民元以上10万元以下の罰金が科せられ、違反内容が悪質な場合は、操業停止や工場閉鎖といった強硬手段、さらに企業の責任者も刑事罰に処せられる内容が盛り込まれた。本条例は、山西省人民代表大会常務委員会承認3ヶ月後に施行予定である。
     この動きを受けて、全人代環境資源保護委員会では、現在CP推進に関する全国規模での法整備を行っているところであり、基本的なCP活動を促進させるツールとして位 置づけている。新しい法律が成立後には、太原市条例もそれに合わせて修正されることとなる。


  • 3.太原市におけるCPの2001年計画及び中長期プログラム

     現在の太原市内の環境汚染状況を踏まえ、西暦2001年及び2005年、2010年のCP発展プログラムと目標を設定し、CP実行のための具体的方策を織り込んだ。環境管理システムISO14000の段階的導入等により、2000年中に主要企業の20%がCPを実施し、2001年までに50%の主要企業がCPを実施する目標を持つ。


  • 4.太原市におけるCP評価指数制度
     
    CPの進展状況を測るものさしとして、以下6つのAssessment sub-systemを設定した。(1)CP実施企業数と審査合格率、(2)環境汚染状況、(3)CP条例及び政策決定、(4)CP教育、啓蒙活動、(5)企業による先進技術導入、(6)環境保全型インフラ整備状況。
     6つのsub-systemの合計点は600点となり、太原市がCP基準に合致していると言えるスコアは最低480点と捉えている。しかしながら、主要評価指標である、単位 生産高当たりのエネルギー及び工業用水使用量、CP審査合格率、環境の質(大気、水質)のいずれか一つでも最低の要求水準を満たさない場合、CPの目標ゴールへ到達したとは言えない。現状の太原市のスコアは600点満点中、310点の評価であった。WGメンバーよりは、フォーマットを簡素化し、測定しやすいものにするべきとのコメントがあった。

[2]WG会議

  • 1.WG活動評価報告書ドラフト

     チャイナカウンシル事務局へ提出するドラフトの審議を行った。

  • 2.海外のCP実施先進企業訪問プログラム

     日本側より、北九州市の(財)北九州国際技術協力協会(KITA)を受け入れ機関とした企画案及び中国側でのCP国内セミナー等の関連活動への支援について説明を行い、討議を行った。この他、カナダ・米国、欧州地域におけるCP実施先進企業への訪問についても討議され、今後の検討課題となった。

  • 3.今後のCPWGの活動計画として、以下を実施予定

     (1)引き続いて太原市におけるCP評価指数制度への支援
     (2)チャイナカウンシル本会議へ提出するリコメンデーションの策定
     (3)国家経済貿易委員会により昨年CPデモンストレーション都市として選定された、太原市を含む国内10都市の代表を招き、CP実施状況の意見交換の場とする、「国内セミナー」の開催を計画。


[3]次回WG開催予定

 平成12年8月下旬~9月上旬頃(於:中国国内)の日程で今後中国側事務局と調整予定。

(伊藤 裕之)

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