2008年1号

気候変動枠組条約第13回締約国会議(COP13) 及び京都議定書第3回締約国会合(COP/MOP3)参加報告

 国連気候変動枠組条約(UNFCCC)第13回締約国会議(COP13)及び京都議定書第3回締約国会合(COP/MOP3)が12月3日(月)から15日(土)にかけてインドネシア・バリのBali International Convention Centre (BICC)にて開催された。


プレナリー風景


 本会合の総参加者は10,828名で、COPとしては京都で行われた第3回締約国会議の9,850名を上回り過去最多となった。我が国からは鴨下一郎環境大臣、小野寺五典外務副大臣、西村内閣官房参与他が出席した。

 本会合の最大の注目は、京都議定書第一約束期間以降の国際枠組みに関する工程表(バリ・ロードマップ)について合意して、交渉を開始出来るかであった。その他、「適応」、「技術の開発及び移転」、「森林」、「京都メカニズム」などについて議論が行われた。


(1)2013年以降の枠組み関連
1-1.条約の下のAWG(新AWG(バリ・ロードマップ))
~条約の下に2013年以降の枠組みを議論する新たな場を設置~
 「気候変動に対応するために長期的協力の行動に関する対話」の終了に伴い、全ての締約国が参加して2013年以降の枠組みを検討するための新たな場を枠組条約の下に立ち上げるべく協議が行われた。この工程表をめぐっては、先進国の削減数値や途上国の排出抑制に関する記述を中心に議論が紛糾し、一時は合意出来るかさえ危ぶまれたが、結局、1-2のAWGに加え枠組条約の下に新たにAWGを設置し(2トラック)、2009年までに合意を得ることで合意した。なお初回のAWGは2008年3月又は4月に開催される予定である。


1-2.先進国(附属書Ⅰ国)の更なる約束に関する第4回AWG
~今後の作業計画について合意~
 AWGにおける今後の作業計画が合意され、2009年には検討作業の結果について結論を得ることとなった。なお結論書には世界全体の削減目標、先進国による削減幅等に関するIPCCの第4次評価報告書の分析について言及された。


1-3.京都議定書第9条に基づく議定書の見直し(9条レビュー)
~来年の第2回レビューの検討項目について、対象項目を限定しない形で合意~
 2008年のCOP/MOP4で行う第2回レビューにおける検討項目を特定することが課題であった。先進国の義務の実施状況に焦点を絞るべきとする途上国の主張と、幅広い事項を対象とすべきとする先進国の主張が平行線をたどったが、結局対象事項を限定しない形で合意に達した。


(2)適応
~「適応基金」について、適応基金理事会を設置することが決定~
 CDMクレジットの2%を原資とする「適応基金」について、適応基金理事会を設置することが決定された。そして同理事会の下、事務局としては地球環境ファシリティ(GEF)、被信託者として世界銀行が暫定的に指名され、3年後にレビューする予定となった。


(3)技術の開発及び移転
~GEFが「ストラテジック・プログラム」を検討し、SB28で検討することで合意~
 12月3日のCOPプレナリーにおいて、科学上及び技術上の助言に関する補助機関会合(SBSTA)に加え実施に関する補助機関会合(SBI)の下でも技術移転の議論を行うこととなった。SBIでは技術移転の促進のために資金移転が必要であるとの途上国の要求に答え、GEFに「ストラテジック・プログラム」に検討を求め、それをSB28で検討することで合意した。またSBSTAでは、技術移転に関する専門家グループ(EGTT)の2012年までの活動期限延長と検討作業の拡充が図られた。


(4)森林
~森林減少・劣化に由来する排出削減を次期枠組みに組み込む方向で検討を開始~
 バリ・ロードマップの検討プロセスの中で、途上国における森林減少・劣化に由来する排出削減を次期枠組みの中に取り込む方向で検討すること、実証活動やキャパシティ・ビルディングに取り込むことなどが決定され、その実証活動のガイダンスが決議に盛り込まれた。


(5)京都メカニズム
~小規模植林CDMの上限値を、年間吸収量16キロCO2トンとすることを決定~
 CDMに関しては、CDM申請案件数が増加傾向にある中、制度運営の更なる透明性・効率性の向上に関する決定が行われた。個別議題については、二酸化炭素回収・貯留(CCS)技術のCDMとしての扱いについて、COP/MOP4でのガイダンス採択に向けて検討が行われ、今後1年間の作業・検討スケジュールが決定された。また小規模新規植林・再植林CDMについては、これまでの年間吸収量8キロCO2トンから2倍の16キロCO2トンに上限を引き上げることが決定された。なおHFC23破壊CDMプロジェクトからのクレジット獲得を目的とした新規HCFC22生産設備の取り扱いについては結論が出ず、SBSTA28で継続検討となった。


(6)次回の予定
 次回のCOP 14及びCOP/MOP4は2008年12月1日(月)から12月12日(金)までポーランド・ポズナニで開催される予定である。

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