1999年10号

平成11年度「21世紀の開発戦略研究委員会」紹介


 明治学院大学国際学部竹内啓学部長を委員長とした、標記研究委員会がこの度、2年目の研究活動を開始したので、以下研究課題及びその進め方の概要を報告する。


 本委員会の目的は、21世紀初頭(2010~2020年)の東南アジア(タイ、ヒイリピン、インドネシア、マーレーシア等)の社会問題の低減、市民社会の繁栄のために、先進国の日本は今後どのような援助をすべきかを研究し、提言することである。特に援助のありかたとして、途上国の自己努力・自立を考慮しつつ、南北問題の解決につながり、途上国との合意を形成出来る援助とは何かにアプローチし、今後の地球環境問題、持続的発展問題の解決に役立てることを目指している。

 研究初年度の平成10年度は、アジアの経済発展と経済危機の総括、マクロ経済統計と経済福祉、途上国の社会福祉、保健医療問題、今後の援助のありかたについて等々研究を進め、成果 を報告書としてまとめることが出来た(地球研ニュースレター8月号参照)。引き続き研究2年目の平成11年度の活動に入るが、特に今年度は下記の観点から取り組む予定である。

(1)途上国の都市問題を切り口に衡平問題にアプローチ

  • 途上国の都市問題改善の(成功・失敗)事例を研究。
  • 都市問題の改善を成功に導くために、関係する諸機関(国、地方自治体、企業、NGO、女性、当事者等)の役割・関係は如何にあるべきかを上記事例を参考に導く。
  • 特に市民参加型の利点に着目し、改善を成功に導く要因を明らかにする。
  • 都市の貧困低減、社会福祉向上に役立つ市民活動、都市開発、途上国援助の関係に言及。
  • 上記研究を総括し今後の途上国援助のありかたについて提言。

(2)地球温暖化問題の国際合意へのアプローチ

  • 上記都市問題改善における経済発展と地球温暖化問題について、途上国市民レベルの問題認識を把握。
  • 経済発展と地球温暖化問題に対する途上国と先進国の認識のずれ(南北問題・世代間の衡平問題等)、相互理解に向けての課題と、それに対する解決の考え方を研究。
  • 経済発展と組み合わせた今後の地球温暖化問題に対する国際交渉の基本的考え方、国際合意形成に向けての戦略を構築する。

(3)地球温暖化問題の衡平問題への反映

  • 上記(2)の結果 を再度(1)の衡平問題に適用した場合、途上国の経済発展の進め方、先進国の援助のありかたはどうなるべきかを導き、最終提言に結びつける。
  • 平成11年度「21世紀の開発戦略」研究委員会名簿(敬称略、五十音順)
〈委員長〉 竹内 啓   明治学院大学 国際学部学部長
〈委 員〉 尾村敬二   日本貿易振興会
アジア経済研究所経済協力研究部部長
  城山英明   東京大学大学院 法学政治学研究科助教授
  寺西俊一   一橋大学 経済学部教授
  林 謙治   国立公衆衛生院 保健統計人口学部長
  森 尚樹   国際協力銀行 環境社会開発室 
環境第二班課長
  吉岡完治   慶應義塾大学 産業研究所所長
  吉田恒昭   東京大学大学院 
工学系研究科社会基盤工学専攻教授

(注) 上記研究課題、アプローチは暫定事務局案であり、今後の研究活動において変更はあり得る。                   

(文責 事務局 寺田隆)

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