地球環境関係
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活動
1.第一次評価報告書 5.技術報告書
2.第二次評価報告書 6.特別報告書
3.第三次評価報告書 7.温室効果ガス
インベントリープログラム
4.第四次評価報告書 8.その他



2.第二次評価報告書(1992〜1996)


 第二次評価報告書は、第一次評価報告書以降における気候変動に関する最新の科学的、技術的及び社会経済学的評価を行い、1996年にジュネーブで行われる気候変動枠組条約第2回締約国会議(COP2)に提出するため、1992年11月の第8回全体会合においてその作成が決定された。そして、従来の第II・第III作業部会を統合して新第II作業部会とし、新たに第III作業部会を編成する組織改正が行われた。この改正の特徴としては以下の2点が挙げられる。

従来どおり自然科学、社会科学両面からの評価を行うが、特に経済学的評価に重点をおくこととされた。
先進国が独断で行っているのではないことを強調するため、各作業部会は従来の先進国議長方式から先進国・途上国の共同議長方式に運営が変更された。

組織改正後のIPCCの編成は以下のとおり。

第I作業部会:気候変動の科学的知見
第II作業部会:気候変動の自然と社会経済への影響及び適応策並びに緩和策 
第III作業部会:気候変動の社会的影響と政策並びに温室効果 ガス排出シナリオ 

 第二次評価報告書の一部は、INC(Intergovernmental Negotiating Committee for a FCCC:気候変動枠組条約交渉委員会)からの要請を受け、「特別報告書」(1994年特別報告書後述)として先行してまとめられ第10回全体会合での承認後1995年3〜4月に開催されたCOP1(The first Conference of the Parties:気候変動枠組条約第1回締約国会議)にて報告された。

 第二次評価報告書は、各作業部会の報告書と、統合報告書(Synthesis Report) から構成されている。さらに、統合報告書は各作業部会の報告書から政策決定者向けにその要約をまとめたSPM (Summary for Policymakers:政策立案者向け要約)と、その他独自の内容により構成されている。

 第二次評価報告書の採択は、1995年の7〜12月に開催された各作業部会の総会並びに1995年12月の第11回全体会合(ローマ)にて行われた。各作業部会総会においては、まずSPMが各行毎に審議され、採択(adopt) された。各作業部会報告書については、SPMの採択後一括で審議され、SPMにおける修正を反映することを条件として全体会合にて承認(approve) された。

 又全体会合では、統合報告書の採択にむけて審議が行われた。当初、統合報告書は各作業部会のSPMに加え、UNFCCC(the United Nations Framework Convention on Climate Change :気候変動枠組条約)第2条(目的)の運用に資する諸状況を総合的にまとめることとされていたが、各作業部会のSPMに含まれていない独自の表現は削除され、結果として各作業部会のSPMの総合版となった。

第二次評価報告書作成後の活動

 IPCCは1995年12月に第二次評価報告書を採択し、1993年11月に始まった報告書作成に関連する一連の作業を終了した。他方、UNFCCCの発効(1994年3月)によりCOP (The Conference of the Parties:締約国会議)が組織され、条約9・10条に基づき以下の2つの補助機関が発足した。

SBI (the Subsidiary Body for Implementation:実施のための補助機関)
SBSTA (the Subsidiary Body for Scientific and Technological Advice:
科学的及び技術的な助言のための補助機関)

 このことにより、条約の実施に直接関連する科学的調査はSBSTAに移行したので、SBSTAとIPCCの作業分担が行われると予想されていた。しかしながら、SBSTAの立ち上がりが組織編成等で遅れ、実質的な活動が開始されないことから、気候変動枠組条約事務局からIPCCに当面 の作業を依頼することが提案され、補助機関の会議で決議された。これを受け、IPCCのビューロー会議において、気候変動枠組条約補助機関からの依頼への対応を含む今後の活動の方向について検討が行われ、次のことが決定された。

補助機関の要請に応えて、技術報告書(Technical Paper)、特別報告書(Special Report)を作成する。
技術報告書は、気候変動枠組条約締約国が、特定の手段に関する国際的な科学的・技術的予測を必要としている場合に作成され、過去の評価報告書と過去の特別報告書に含まれている資料をベースにしたものの範囲内で執筆する。
特別報告書は、過去の評価報告書でカバーしきれなかった部分について追加的に新規評価作業を行う。
ボーリン議長の辞任に伴い、次期議長の選出を行う。

 上記決定に基づき、1996年から1997年にかけて4つの技術報告書が作成された。この中で、1996年発表の技術報告「気候変動緩和の技術、政策、措置」は、1996年12月の第5回AGBM会合(Ad Hoc Group on Berlin Mandate:ベルリンマンデートに関するアドホックグループ(2000年以降の温室効果 ガスの数量目標を検討する特別グループ))に提出された。本技術報告は、第二次評価報告書を基に気候変動の緩和策について、エネルギー供給、産業、交通 、農業等の分野別に整理するとともに、分野横断的な経済的手段として、炭素税や排出権取引等についても利点、課題を整理している。

 又、特別報告書は補助機関会合等からの要請に基づき、いくつかの主題に関して作成されており、1994年の特別報告書に加えて、種々の特別報告書が作成済みあるいは作成中である。中でも吸収源(シンク)に関する特別報告書「土地利用、土地利用変化と林業」(LULUCF)は、特別な経緯を経て作成された。京都議定書の吸収源の項目はCOP3の終盤になってようやく合意されたため、議定書における吸収源関連の条文解釈が必ずしも一定しておらず、実施方法も不明確な点が多い。

 そこで、1998年6月にボンで開催されたSBSTA8においてIPCCにLULUCFにおける吸収源に関する科学的検討が依頼され、その報告書を受けて2000年に予定されるCOP6で実施方法を議論することが決まった。IPCCでは、本テーマが政策に直接関連することから、ワトソン議長自らが、タスクフォースを組織し、本特別報告書を作成する運びとなった。この報告書は、2000年5月に行われた第16回全体会合(モントリオール)にて承認され、その後SBSTA12(ボン)直前に行われた非公式会合(同じくボン、2000年6月5日〜10日)にて紹介された。