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1995年6月号

地球環境問題  基礎デ-タ一覧表


1. 温暖化

問題の概要

温暖化とは、温室効果 ガス *濃度の上昇により気温が上昇する現象をいう。近年、人間活動により、急激に温室効果 ガス濃度が上昇しており気候変動への影響が懸念されている。

*)温室効果 ガス:大気中に存在し、地表からの放射熱の一部を反射する。地球の気温は、太陽光からの熱と地表からの放射熱およびその反射熱とのバランスで決まる。

要因等

・温室効果 ガス(主なもの)  出典:IPCC資料
種 類 CO2 メタン(CH4) フロン(CFC11,12等) N2O
寄与度(%) 55 15 17 6
温暖化指数 1(基準) 21 3500〜7300 1500
主な排出源 エネルギー消費 農 業 冷媒、洗浄剤等 農業


・国別CO2排出量'91年データ   出典: WRI資料
国名 米国 旧ソ連 中国 日本 ドイツ 世界
総排出量(億t) 49.3 35.8 25.4 10.9 9.7 227
1人当たり(t) 19.5 12.3 2.20 8.79   12.1 4.21

影響

・大気循環、海流循環の変化;
  降雨量(水資源等)、農漁業、畜産、生態系等への影響
・海面の上昇(氷河融解、膨張等による);
  沿岸、小島地域の水没等

現状と予測

現状
・CO2 濃度;+1.8ppmv(+0.5 %)/年
・気温上昇;+0.3 〜+0.6 ℃(過去1世紀)
・海面上昇;+10〜+20cm(過去1世紀)

予測

出典:IPCC資料
暦年 1990  2010  2025  2100
CO2 濃度(比 1 1.9 3.3
気温上昇(℃) 基準 +0.3 +1 +3
海面上昇 (cm) 基準 +0.6 +20 +65

対応の動き

・世界
'79 第1回世界気候会議→温暖化問題を指摘
'88 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)設置
'92 地球サミット/気候変動枠組み条約
('94年発効)
  →先進国は、CO2排出量を2000年までに90年レベルで安定化
'95 第一回気候変動締約国会議(COP-1)

・日本
'90 地球温暖化防止行動計画
   →一人当たりCO2排出量を2000年までに90年レベルで安定化

2. オゾン層破壊

問題の概要

オゾン層とは、成層圏に存在するオゾン濃度の高い領域を指し、人体に有害な短波長の紫外線を吸収する。近年、人工的物質であるフロン等により破壊され始めている事が明らかになった。

要因等

・破壊のメカニズム;
特定フロン等は、人体には無害で安定な物質であるが、成層圏に到ると、太陽光により分解され塩素分子を放出する。この塩素分子がオゾン分子を分解し、酸素分子に変えてしまう。塩素1分子でオゾン約1万分子を連鎖的に分解する。

影響

紫外線増加により以下の影響が懸念される。
・皮膚癌の増加 ;オゾン1%減/紫外線2%増→皮膚癌3%増
・生態系への影響 ;農漁業への影響等
・気候変動への影響;海流循環の変化による温暖化への影響等

現状と予測

現状
・オゾンホールの発生;春季の南極上空で発生するオゾン濃度が約半分の領域
・北半球のオゾン濃度低減;1.7%〜3.0%減少
予測
・無対策;2085年でオゾン半減→紫外線2倍
     2050年で大気中塩素濃度約8ppbv
・特定フロン等を '96年で全廃;2050年で大気中の塩素濃度約2ppbv
               ('94年では、約4ppbv)
                       出典:NASA資料

対応の動き

・世界
'85 オゾン層保護に関するウイーン条約
'87 モントリオール議定書採決
→特定フロン等を '93年までに20%削減'98年までに50%削減
'92 モントリオール議定書第4回締約国会議
→削減前倒し;特定フロン等を'96年で全廃等

・日本
'88 オゾン層保護法

3. 酸性雨

問題の概要

酸性雨とは、化石燃料等の燃焼により生じたSOx、NOxが大気中で硫酸、硝酸に変化し地上に降下した物を指し、樹木の枯死等を招く。通 常は、雨にとけ込んだ湿性降下物と粒状の乾性降下物の2種を総称していう。pH5.6 以下の強い酸性を示し、500km から1000kmを移動し降下する。

要因等

・発生源
SOx ;工場、火力発電等の固定発生源
NOx ;上記固定発生源+自動車等の移動発生源

・個別排出量'90年データ     単位 ;万t
日本 英国 米国 ドイツ 中国
SO2 88 378 2106 94 約1800
NO2 130 278 1938 261
注) 中国の値はSOx値/ '93年データ 出典: WRI資料

 

影響

影響は、他の大気汚染物質と複合して生じ、樹木の枯死、湖沼の魚類の死滅および建造物の溶解等を発生させる。

現状と予測

現状
特に、欧州、北米地域で被害が大きい。
・植物への影響;ドイツ・シュバルツバルトの樹木約50%に、黄変、枯死等が発生
・湖沼への影響;スウェーデン、ノルウェー、カナダ等の湖で魚類が死滅
・建造物等への影響;アテネ・パルテノン神殿、ローマの遺跡等の建造物の一部が溶解

対応の動き

・世界
'85 長距離越境大気汚染条約/ヘルシンキ議定書
  →SOx排出量を '93年までに '80年レベルの30%減とする。
'88 ソフィア議定書→NOx排出量を '94年までに '87年レベルで凍結する。

・日本
'83,'88 環境庁/第1、2次酸性雨調査
  →pH4 の雨を計測したが、被害は不明確。

4. 森林破壊

問題の概要

近年、特に発展途上地域において熱帯林が激減しており、木材の不足を始め、気候変動への影響、野生生物種絶滅の促進等が懸念されている。

要因等

・無秩序な焼畑農業、不適切な商業伐採、過放牧等

背景に、急激な人口増加、貧困、低い土地生産性、土地利用政策・制度の不備、不適切な開発等の問題がある。

影響

・林産物、食料、工業材料、薬品等の供給不足
・生物種の絶滅促進(全生物種の約半分が熱帯林に生息)
・CO2固定化等の気候変動緩和機能の低下

現状と予測

現状
・減少面積;1540万ha/年(過去10年間)(日本国土の約40%に相当)
                                出典: FAO資料

対応の動き

・世界
'85 FAO/熱帯林行動計画
'86 国際熱帯木材機構(ITTO)設立

・日本
植林協力、古紙再生利用等の取り組みを進めている。

5. 砂漠化

問題の概要

砂漠化とは、乾燥、半乾燥及び乾燥半湿潤地域における、さまざまな要因に起因する乾燥化、土壌の侵食及び塩性化等の土地の劣化をいう。近年は気候的要因よりむしろ人為的要因の方が大きいと考えられている。

要因等

・気候的要因;地球規模での大気循環変動、干ばつ、乾燥化
・人為的要因;過放牧、過耕作、薪炭材の過剰な採取等の生能系の
           許容範囲を超えた人間活動
             発展途上地域では、貧困、人口増加等の問題が背景にある

影響

・食糧生産基盤の悪化
                  ・薪炭材の不足
・気候変動への影響→温暖化による砂漠化の促進
・貧困の加速、難民の増加等

現状と予測

現状
・世界の乾燥地の約70%(約36億ha)、世界人口の1/6が、砂漠化の影響を受けている。
予測
・砂漠化の進行は、降雨依存農地では、さらに加速。放牧地では、同等。灌漑農地では、対策により現状維持または多少改善。
                                出典:UNEP資料

対応の動き

・世界
'77 国連/砂漠化防止行動計画
'92 地球サミット/砂漠化防止条約策定合意
'93 第一回砂漠化防止条約政府間会議
'94 砂漠化防止条約採決

・日本
主として植林や乾燥地農業の観点からアフリカ、アジア、中南米を中心に援助活動を進めている。

6. 野生生物種絶滅

問題の概要

現在、科学的に明らかにされた野生生物種は、 150万種〜 160万種、推計では 500万種〜1000万種と言われているが、今世紀に入り、絶滅する生物種の数が加速度的に増加して来ており、2000年までに約15%が絶滅すると予測されている。
出典:IUCN、米国政府特別調査資料

要因等

・絶滅要因とその内訳
生息環境の悪化  ;67%
乱獲       ;37%
浸入種の影響   ;19%
食物の不足    ; 4%
殺害、偶発的捕獲等; 5%
注) 一つの種について複数の要因があるため合計は 100%にならない。
出典:IUCN資料

影響

・野生生物は、人間にとっても以下の点で直接的に役だっており、絶滅によりこれらが失われる。
   ;食料、燃料、衣料、装飾、医薬品の原料等
・生態系の変化による地球環境への影響

現状と予測

・絶滅速度(推計)
恐竜時代         1種/1000年
1900年            1種/年
1975年          1000種/年
1975〜2000年    40000種/年
     出典:N.マイヤーズ「沈み行く箱舟」

対応の動き

・世界
'71 ラムサール条約→水鳥保護
'75 ワシントン条約
  →野生生物の国際間取引の規制
'92 地球サミット/生物多様性条約
  →生物種保存、遺伝子資源の配分

・日本
上記等の国際条約に署名

7. 人口増加

問題の概要

世界人口は、産業革命後上昇し始め、20世紀後半に急激に増加し始めた。特に、発展途上地域での増加が著しく、資源、環境等への影響が懸念されている。

要因等

・増加基礎人口の拡大
・保健、医療技術等の進歩による死亡率の急激な低下
・発展途上地域での貧困、女性の教育不備・社会的地位の低さ→多産化

影響

・財貨、健康、住宅、サービス等の対応不備
・地球環境への影響;
 資源(エネルギー、食物、水等)消費の急増
 開拓地拡大による森林破壊、生物種絶滅促進
 都市部集中によるスラム化、地域環境汚染等

現状と予測

・世界人口; '93年57億人→2050年 100億人(増加分の91%が発展途上地域)
・増加率 ;世界+2%/年  先進地域+0.4 %/年
・合計特殊出生率(女性1人当たり出産数);発展途上地域4.2 、先進地域1.9 
                         出典:国連資料

対応の動き

・世界
'54 ローマ世界人口会議(専門家会議)
  →以後、十年毎に国際会議を開催
'94 カイロ国際人口会議(第三回政府間会議)
  →「新行動計画」採択

・日本
上記等の国際的活動に参画