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1995年9月号

中国の肥料農薬化学の問題


 中国の環境と発展国際協力委員会(チャイナカウンシル)の科学・技術・訓練WGでは、このほど化学肥料と農薬、石炭、および自動車のクリーンプロダクションと使用に関する報告書をまとめた。中国の将来の食糧問題は日本でも最近特に関心を呼んでいることもあり、この中から、中国の化学肥料と農薬の問題について簡単に紹介する。

 中国の農業化学生産量 は世界第二位である。エネルギー消費でも、中国の上位を占める化学工業の内、農業化学部門が一位 となっている。中国政府は2000年までには穀物生産を現在の4.5億トンから5億トンに、2030年までには6.3億トンに増やす必要があると見ており、化学肥料と農薬への期待は大きいが、現在でも抱える問題は多い。まず肥料の生産能力が不足し、N,P,K肥料のそれぞれ13.5、16.2、97.3%を輸入している。肥料のバランスも悪く、N:P2O5:K2Oの比は先進国では1:0.5:0.3だが、中国では使用が1:0.31:0.12、製造が1:0.27:0.008となっており、カリ肥料の少ないのが目立つ。工場は旧式で規模が小さい。窒素肥料の主力、重炭酸アンモニウムの原料である合成アンモニアの70%は小企業で作られている。これらの工場では水および原料の利用効率が悪く、大量 の廃水と共に無駄に捨てられている。使われている窒素やリン肥料は、栄養成分が低いので植物の吸収効率も悪い。これらは環境汚染の原因になっている。揚子江、珠江デルタや北京、天津のような大都市の郊外では経済開発が進んで農地が不足し、窒素肥料の過剰利用が見られる。環境汚染の上、施肥の効率は下がり、収量 も却って減少する場合もある。太湖付近では、井戸の38−58%で硝酸塩、亜硝酸塩が基準を超え、北京郊外でも地下水の窒素含有量 は基準を大幅に超えている。

 残留農薬の調査では、50%以上に基準値以上の残留があった。中には禁止されている農薬の残留もある。輸出の主力である茶は、BUや米国の基準以上の残留も見られることもある。これらは、旧式技術のため農薬の中に不純物が多いこと、使用後になかなか分解されないことが原因である。チャイナカウンシルでは、これらの解決のために肥料製品の転換、工場の大型化による効率向上、生物的窒素固定などを応用した土壌栄養循環などの持続可能な農業の研究推進、農民への化学肥料や農薬の上手な使い方に関する知識の普及やガイドラインの整備などの提言を行っている。