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1998年2月号

ROUND-TABLE CONFERENCE

NKKの環境問題への取り組み

-21世紀型企業を目指したNKKのISOチャレンジ-


1.グローバル・スタンダードに対応した
  21世紀型企業を目指して

 地球環境問題への対応においては、経済と産業活動との調和を図る中で、持続的かつ長期的な取り組みが求められる。ISO14001は、取り組みの継続性、すなわち自主的な管理活動を継続的に行うことにより最終的にパフォーマンスを仕上げていくことと認識している。また、経済のグローバル化に対応し、ISOは国際標準として枠組み、社会システムの構築が成されており、透明性と公平性がその中心にあると認識している。そこで我々は、京浜製鉄所でのISO9001と140001の認証取得により国際的標準に合致した体制を構築しようと考えた。

2.環境組織と環境憲章

 当社の環境組織だが、社長のもとに2つの会議体がある。1つは経営会議の一環であり、全社的な環境方針および環境施策を決定する地球環境委員会、もう1つが、鉄鋼・エンジニアリング両部門一体化しての環境ビジネス展開を考慮した、技術担当副社長を中心とした環境リサイクル推進会議である。そして地球環境部は全社管理部門としての環境管理部門であると同時に、地球環境委員会の事務局を担当している。

 NKK環境憲章は、その基本理念として、「当社は『産業基盤・生活基盤の形成を通 じ、豊かな人間環境づくりに貢献する』という企業理念の下、環境と調和した社会の構築に資する事業活動を推進することにより、社会的責任を果 たす。」ということを掲げている。

3.京浜製鉄所の環境マネージメントシステム導入

(1) 京浜製鉄所への先行導入

 当社7事業所の中で京浜製鉄所にシステム導入を先行したのは、以下の理由である。まず3事業本部の中で、大量 のエネルギーと資源を消費する鉄鋼事業部が環境に対するインパクトが1番大きいこと、そして、鉄鋼事業部が公害問題等の対応もあり70年代後半から自主的に積極的な環境保全活動を行ってきたこと、事業部の重要な顧客である自動車・家電業界がISO14001の対応を図っていることが挙げられる。

 さらに製鉄所の中で京浜を選択したのは、都市部に位 置する都市型の製鉄所であり、行政と連携をとって環境保全活動を推進していること、廃プラの高炉吹き込み事業といった都市との共生の視点があったからである。そして京浜製鉄所先行でノウハウの蓄積を図り、その後、福山製鉄所に導入する戦略を採った。

(2) 取り組み経過

 95年12月から96年8月まで社内に専任チームを作り活動を開始し、ISOのレベル2文書に当たる環境管理規則作成にあたった。そして京浜製鉄所内の50以上の工場から、上工程についてはコークス工場、下工程についてはメッキ等を行う表面 処理工場をモデル工場として選定し、このモデル工場でISOのレベル3文書に当たる技術標準および作業標準を作成した。さらに、これを文書体系の雛形として残りの各工場に水平展開し、97年1月からシステム運用を開始した。

 システムの試行後、38工場について約1ヶ月かけて内部監査を実施した。約7割の工場を対象として外部認証機関の予備審査を3月末に受け、4月末に本審査を受け、5月末に認証を取得することができた。

(3) 協力会社の参加

 最近では、作業請負等多くの外注業者が製鉄所内に入ってきているので、環境マネージメントシステムの範囲であるサイトを考えるに当たって、協力会社の取り扱いが問題となった。検討を重ねた結果 、基本的にサイトの中で環境というものは一括のものなので、鉄鋼製品製造に直接関わる協力会社と、間接的ではあるが著しい環境側面 を有する協力会社を全てシステムに組み込んだ。こうして協力会社の参加と協力を得て、広範な環境マネージメントシステムを構築できたと自負している。

(4) 認証取得のポイント

 我々の経験ではあるが、最後に認証取得に当たってのポイントを簡単にまとめてみたい。一般 的にISO14001への取り組みは非常に負荷が大きく、特に生産部門には大きな負担がかかるものである。したがって、まず、経営会議の際に社長から下命を受けトップダウン方式で実施したが、当社ではこれが功を奏した。つぎに、片手間ではできない業務なので、人事組織上オーソライズされた専任チームを編成したことや、徹底した理解を目的とした外部研修の受講が挙げられる。また、全工場の同時進行ではなくモデル工場による雛形作りとそれに基づく水平展開も成功の重要な要因であった。さらに最後のポイントとして、50工場間の連絡・情報交換を容易にし、工場長会議をも代替した電子メールの活用が挙げられる。もし電子メールが無かったら、これだけの膨大なシステムを短期間で動かすのは困難だったのではないかと考えている。

(本稿は12月15日の第31回地球環境問題懇談会におけるNKK 老川 恒夫 地球環境部次長の講演を事務局でまとめたものです。)