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1998年7月号

LECTURE ON


第32回地球環境問題懇談会から
「石油業界での環境問題への取り組み」


 平成10年4月17日、第32回地球環境問題懇談会において東燃株式会社 大窪正宏 環境安全部長にご講演いただいたので、以下に概要を報告する。


 96年7月に「経団連環境アピール:21世紀の環境保全に向けた経済界の自主行動宣言」が発表され、各産業界で自主行動計画を作成するようにという提案があった。そこで石油連盟では、97年2月に「石油業界の地球環境保全自主行動計画」を策定した。これは、2010年を目標年度として立てられた行動計画で、以下の7つの主要項目で構成されている。

 それは、1)地球温暖化防止対策、2)廃棄物抑制・リサイクル対策、3)環境マネジメントシステムの構築、4)環境保全技術の海外への移転、5)環境負荷低減型石油製品の製造および開発、6)海洋環境保全への取り組み、7)広報活動の推進である。

 本日は、このうち1)地球温暖化防止対策、2)廃棄物抑制・リサイクル対策、5)環境負荷低減型石油製品の製造および開発、6)海洋環境保全への取り組み、について説明する。

1.地球温暖化防止対策

 まず省エネルギーの目標だが、基準年度を90年、目標年度を2010年と定め、取り組んでいる。具体的には、製油所のエネルギー原単位 (補正後)を10%削減し、陸上および海上輸送に伴う燃料消費を9%削減する、すなわち省エネルギー量 が製油所で120万kl/年、陸上輸送で2万kl/年、海上輸送で12万kl/年、合計134百万kl/年という目標である。製油所における省エネルギー対策例として、表1があげられる。

 表1の中のコージェネレーションについて簡単に説明する。図1のとおり、電力が35、熱が40必要なときに、従来のシステムでは145の投入エネルギーが必要となるが、コージェネレーションシステムでは100のエネルギー投入で済むことになる。この結果 、CO2発生量の削減にもつながる。

2.廃棄物抑制・リサイクル対策

 石油産業における産業廃棄物の発生量 は、92年から96年まで増加傾向を示している(96年:約90万t)。しかし社内での減量 化・再資源化の努力により、最終処分量は94年度に10万tを割りその後も減少してきている。石油産業の廃棄物は58%が汚泥で、その他に廃油・集塵ダスト・廃酸などである。これらをどのように再資源化するかというと、汚泥についてはセメント原料、軽量 骨材、廃油については精製用原料あるいは自家燃料として使用している。

 産業廃棄物削減目標としては、基準年度を90年、目標年度を2010年とし、製油所の目標として、最終処分量 の40%削減、削減量4万t/年を掲げている。その主な対策としては、自社内での再利用化、他業界との連携による原料・副資材としての再資源化、建設廃材の分別 と再資源化、汚泥の乾燥(廃熱利用)による減量化がある。

3.環境負荷低減型石油製品の製造および開発

 お客様に提供する製品について、クリーンで高品質な石油製品を安定供給するのが石油会社の使命である。日本ではこれまでガソリンの高品質化の取り組みとして、オクタン価向上材のアルキル鉛を他のものに代替し、レギュラーガソリンについては75年に、プレミアムガソリンについては83年に無鉛化を行ってきた。

 また最近では、有害大気汚染物質対策として、現行のガソリン中ベンゼン濃度5%から2000年には1%以下にすることを96年に石油連盟理事会で決定した。これによりベンゼン排出総量 は、94年度の約10,800tから6,600tに減少することが想定されている。このベンゼン排出量 削減に要する設備投資額は、石油業界全体で約1,800億円と見積もられている。

4.海洋環境保全への取り組み

 石油業界は、原油を海外から調達しており、内航船を用いて石油製品を各地の油槽所に搬送しているので、海洋汚染については非常に重大な関心を持っている。もし石油流出事故が発生すると、海洋環境、生態系、漁業者、観光業者へ様々な形で影響が及ぶので、石油連盟において体制整備を進めたきた。

 73年度には、万一に備えて石油関連会社の全国的相互援助組織「海水油濁処理機構」を設立した。また91年度からは、大規模石油災害対応体制整備事業を開始した。この事業は、関係者からの要請に基づく油濁防除資機材の貸し出し体制の整備、油流出事故対応の調査研究事業などからなるものである。97年1月の「ナホトカ号」の事故の際にも、石油連盟は、これに基づき資材の貸し出しを行った。

5.おわりに

 「次世代に良好な環境の地球を引き継ぐことは、私達世代の責務である(石油連盟資料より)」を念頭に置き、これからも石油連盟の場で、また自社内において、様々な活動を通 して環境に取り組んでいく所存である。

(文責 事務局)