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2001年 5号

SEMINAR
ポストCOP6セミナーpart2 開催報告

 COP6part2は7/16に開会され、7/19から7/23の閣僚級会合において、京都議定書 の詳細ルールなどに関する政治的合意に達した。その後、具体的なテキスト作りが行われたが、 京都メカニズム、遵守等に関しては合意に至らず、COP7にて再度議論することとなり、 7/27に閉会した 2001年8月23日、東海大学校友会館において標記セミナーを昨年12月のCOP6セミナーに引き続き(財)地球環境戦略研究機関(IGES)との共催で開催した。昨年中断扱いとなったCOP6の再開会合は2001年7月19日よりボンで開催され、「ボン合意」と呼ばれる政治的合意を採択した。詳細テキストの合意・採択などはモロッコのマラケシュでのCOP7に持ち越されたものの2002年の京都議定書発効に向けたモーメンタムが高まった。今回のセミナーでは今後の京都議定書の行方を注目する企業・シンクタンクを中心に計300名近くもの参加者が来場し、産業界を中心に関心の高さを窺わせた。交渉担当者の報告を中心に以下その概要を報告する。



プログラム

・開会挨拶
  森島 昭夫(IGES理事長)
・交渉担当者によるCOP6再開会合報告
  高橋康夫(環境省 温暖化国際対策推進室長)
  関総一郎(経済産業省 地球環境対策室長)
・研究者から見たCOP6再開会合と今後
  渡邉理絵(IGES研究員)
  松尾直樹(IGES上席研究員・GISPRI主任研究員)
・前交渉担当審議官から見たCOP6再開会合
  木村 耕太郎(GISPRI専務理事)
・参加者からの質問票への回答
  高橋室長 関室長
・閉会挨拶
  木村 耕太郎(GISPRI専務理事)
  司会:平石尹彦(IGES上級コンサルタント)

交渉担当者によるCOP6再開会合の報告

<高橋室長>
「途上国問題」「京都メカニズム」「吸収源」「遵守」の4つのグループに分かれて交渉を行った。プロンク議長から各議論をふまえ今回閣僚レベルで合意すべき事項のドラフトというべき調整案が提出された後、ハーグでの経験から川口大臣自ら直ちに交渉開始するように提案を行いほぼ2日にわたり断続的に徹夜での交渉が行われた。
全体会合で中核的要素の合意が承認された際のスタンディングオベーションは感動的だった。川口大臣のステイトメントに対する拍手も一番大きく日本に対する期待の大きさを表すものであった。
中核的要素採択後の個別交渉で途上国問題については実質的に合意がされた。吸収源、京都メカニズム、遵守は基本的な部分での意見の相違があるため法的文書の合意ができずマラケシュで合意を目指すことになった。
全体の評価としては、「ボン合意」という政治的合意がなされ2002年の京都議定書発効に向けて国際的なモーメンタムが非常に高まったことは評価できる。日本としても吸収源において主張が確保でき、京都メカニズムについて定量的な制限がされなかった。京都議定書の目標達成に向けて主張が十分反映された内容だったと評価できる。
議定書を実効的なものにするためには米国の参加が不可欠。日米ハイレベル協議等を通じて引き続き米国も含めた合意が形成されるように最大限努力していく。

<関室長>
京都メカニズムを使う側としてはまあまあの合意内容であった。共同実施と排出量取引については大分先が見えてきた。CDM、共同実施での原子力の使用を控えるという表現は残った。CDMについては2%の課金やODAの利用、途上国多数のCDM理事会の構成、小規模CDMの定義などが決定した。しかし、今後の交渉テキスト次第ではCDMが使い易いものになるか予断を許さない情況。
遵守では法的拘束力が争点。京都議定書はこれから始まる取り組みなのであり持続性のあるようにすることが重要。あまり厳しい罰則的な内容を設けることは枠組みへの参加の障害になりかねない。

研究者から見たCOP6再開会合と今後

<渡邉研究員>
気候変動問題は科学的不確実性が多い。長いプロセスの一歩を踏み出すという観点からは「遵守」が緩い形で合意したことは評価できる。

<松尾研究員>
日本にとって第一約束期間までは経験を積み重ねるための試行期間として重要である。第二約束期間以降目標はもっと厳しくなる。それに対応するにはどういう仕組みにするのか。京都議定書は米国抜きというわけには行かないので、米国と様々なコンタクトとを取りつつ、京都議定書の仕組みを米国のシステムと互換性を持たせ米国が参加できるようにしておく。第二約束期間以降の途上国の参加を議論することも必要。

前交渉担当審議官から見たCOP6再開会合


<木村GISPRI専務理事>
米国抜きの発効は環境上も産業の競争上も問題ある。日本は途上国への技術移転や燃料電池や新しいボイラー高効率の太陽光発電、固定化技術などの技術開発は積ノ的に行っていくべき。これと同時に米国をどう戻すかが課題であろう。

(文責 高橋 浩之)