1.開催主旨
      
      
        
          
            | ポスト京都議定書の国際枠組に関する議論では、実効ある温暖化対策のためには、温室効果ガス削減ポテンシャルの高い途上国における省エネルギーをいかに推進していくかが大きな鍵とされており、そのための方法としてセクター毎に関係各国が協力していく「セクトラル・アプローチ」の有用性が注目されている。 | 
          
            | GISPRIは10月15日に日本経済団体連合会との共催により、国際シンポジウム「地球温暖化に関するポスト京都議定書の国際枠組のあり方」を開催した。米国ジョージア大学のダニエル・ボダンスキー教授を招聘し、ポスト京都議定書の枠組みにおけるセクトラル・アプローチの役割について講演いただくとともに、経済産業省の石田徹産業技術環境局長から、ポスト京都議定書の国際枠組に関する国際的議論の最新状況について、また21世紀政策研究所の研究主幹を務める東京大学の澤昭裕教授より「ポスト京都議定書枠組みへの新提案」について、報告をいただいた。さらに産業界の担当者を交えたパネル・ディスカッションにおいて、掘り下げた議論を行った。 |  | 
        
      
      2.参加者
      
      
        
          
            | 国際シンポジウムの参加者は、産業界、学界(大学教授、研究機関の専門家等)、メディア、官公庁、外国大使館などから293名(主催者・関係者を除く)が出席した。 | 
        
      
      
      3.シンポジウムプログラム
      
      
        
          
            | 日時:平成19年10月15日 13:30 - 17:00 場所:経団連会館 11階 国際会議場
 主催:地球産業文化研究所/日本経団連(共催)
 
 
 【開会】 13:30
 【講演1】 13:30 - 14:00
 「ポスト京都議定書の国際枠組みの構築に向けて」
 石田徹 経済産業省 産業技術環境局長
 【講演2】 15:00 - 15:00
 「ポスト京都議定書の国際枠組みとセクトラル・アプローチ」
 ダニエル・ボダンスキー ジョージア大学教授
 【講演3】 15:00 - 15:30
 「ポスト京都議定書枠組みへの新提案」
 澤昭裕 21世紀政策研究所プロジェクト研究主幹(東京大学教授)
 【ブレイク】 15:30 - 15:40
 【パネル・ディスカッション】 15:40 - 16:40
 「ポスト京都議定書の国際枠組のあり方について」
 ・ボダンスキー 教授
 ・澤 教授
 ・山田健司 新日本製鐵環境部長
 ・影山嘉宏 東京電力環境部長
 【質疑応答】 16:40 - 17:00
 【閉会】 17:00
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      4.概要
      4−1.講演
      【講演1「ポスト京都議定書の国際枠組みの構築に向けて」】
      
      
      石田徹 経済産業省 産業技術環境局長
      
        
          
            | > | 「Cool Earth 50」の「2013年以降の国際枠組み構築に向けた3原則」を具体化していく上での重要な要素は 1)セクター別アプローチ
 2)エネルギー効率の重視
 3)技術の位置付け
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            | > | 1)セクター別アプローチ ○各セクターの実情を踏まえ、削減ポテンシャルや目標の設定を通じて排出削減に取り組む
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            | > | 2)エネルギー効率の向上 ○省エネルギーはCO2削減の最も有効な手段であり、世界が日本並みのGDP当たりのエネルギー消費になれば、エネルギー消費量は大きく減少
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            | > | 3)技術 ○2050年の大幅削減に向け、世界をリードできる分野に研究開発資源を重点化し技術開発を加速・推進することにより、競争力を維持・強化することが必要
 ○国際的な連携を協力に推進し、世界全体での大幅削減に積極的に貢献
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      【講演2「ポスト京都議定書の国際枠組みとセクトラル・アプローチ」】
      
      ダニエル・ボダンスキー ジョージア大学教授
      
        
          
            | > | セクトラル・アプローチのタイプ 1)国別排出目標設定のためのセクター別のボトムアップ方法
 2)セクター別のクレジットメカニズム(Sectoral
            Crediting Mechanism)
 3)セクター間の合意(産業、官民、政府間)
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            | > | 1)国別目標設定の方法 ○京都議定書の目標は過去の排出データに基づいて政治的に決められており、国家間で(削減)コストにばらつきがあるという問題がある
 ○セクター別のデータを集計することで国別目標を設定する
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            | > | 2)セクター別のクレジットメカニズム(SCM:Sectoral
            Crediting Mechanism) ○セクター毎のベースラインを設定し、それ以下に排出削減した場合にクレジット発生
 ○SCMは削減目標を受け入れようとしない国に対して、行動を起こすインセンティブになる
 ○SCMはプロジェクトベースのクレジットであるCDMの補完あるいは代替としての役割が考えられる
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            | > | 3)セクター間の合意(産業、官民、政府間) ○「セクター間合意」には、Economy-wideな目標を補完する役割がある
 ○「セクター間合意」では下記のことが可能である
 ・ 幅広い参加
 ・ 交渉の簡素化
 ・ キーとなるセクターの重点化
 ・ 競争に関する懸念の払拭
 ・ 情報更新(ベストプラクティス共有)
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      【講演3「ポスト京都議定書枠組みへの新提案」】
      
      澤昭裕 21世紀政策研究所プロジェクト研究主幹(東京大学教授)
      
        
          
            | > | 新たな枠組の提案 - Commit and Act - ○新たな枠組案の6原則
 ・ 環境効果性:真に環境効果的であること
 ・ 科学性:削減ポテンシャルやコストなどのデータは、科学的分析によること
 ・ 衡平性:共通に有しているが差異のある責任、各国の能力並びに各国の社会的及び経済的状況に応ずる原則に基づくこと
 ・ 包含性:非国家主体を含めて、排出主体の意識向上・積極的関与を引き出す方法を採用すること
 ・ 実現性:全ての国家が当該枠組に参加できる政治的実現性をもつこと
 ・ 継続的及び長期的視野:革新的技術開発と普及に、相当期間のリードタイムを与えること
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            | > | 新議定書の構成案 ○カテゴリーT
 ・ 途上国を含む主要排出国(排出量が大きい国から順に世界全体の7割をカバーするまでの国)間で、国際的に法的拘束力のある「措置」を規定
 ○カテゴリーU
 ・ 各国(全ての気候変動枠組条約締約国)が政治的コミットメントを行う
 ○カテゴリーV
 ・ 新議定書の趣旨に賛同する民間主体(NGO/NPO、国際/国内業界団体、個別国内企業等)が行う温暖化防止行動コミットメント
 
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      4-2.パネル・ディスカッション 
      (進行役:日本経団連 永松惠一 常務理事)
      
      ・ボダンスキー教授 
      ・澤教授
      ・山田健司 新日本製鐵環境部長
      ・影山嘉宏 東京電力環境部長 
      
        
          
            | > | 山田部長及び影山部長より、資料に従い、自社の温暖化問題への取り組みやセクトラル・アプローチについて発表した。 | 
          
            | > | 上記発表に対し、パネル・ディスカッション形式でボダンスキー教授、澤教授が意見を述べ、また会場から募った質問に対する回答を行った。 | 
        
      
      
      (進行役:日本経済団体連合会 永松惠一 常務理事)