ニュースレター
メニューに戻る


2009年 3号
Research Project

平成20年度
成熟社会での起業を考える-エコ・ビジネスへの新たな挑戦-
研究委員会報告書

平成20年度財団法人JKA補助事業



 われわれを取り巻く社会経済システムは大量生産・大量消費の時代を経て、グリーン指向とエコ意識の浸透する成熟社会への道を進み出している。
 産業界ではすでにグリーンビジネス・環境ビジネスへの取組みを加速し、大きな市場を形成するとともに、新たな事業の創出も活発化している。
 一方、民生分野や地域レベルの生活者空間でも、省エネ・省資源への取組みをはじめ、環境調和型社会、サステナブル社会実現へ向けてのエコ指向の取組みが広がっている。その取組みはボランタリーなもの、営利を目指すもの、或いは営利のみを目的とせずエコ社会の実現を主たる使命に掲げ事業展開を図る希少な事例など、登場し始めている。
 本研究では、こうした取組みをエコビジネスと総称し、いくつかの具体的事例を通して現下のエコビジネスの実態を理解するとともに、今後登場するであろう、さまざまな形のエコビジネスの挑戦が所期の目標成果を得るために、如何なる課題が存在し、どのような解決策が考えられるのか、各分野の識者、専門家のお力を借りて明らかにしようとした。
 座長には名古屋大学大学院・森川高行教授をお迎えし、各回主題を中心にご参加の各委員による御議論を頂いた。
 全6回の会合のうち5回の会合には、早くからこうしたエコビジネス活動を起こされ、持続的に事業を展開し、多大の実績を蓄えてこられた各リーダーを講師としてお招きし、事例報告としてこれまでの取組みを主体に今後の展望を含めて御講演を頂いた。
 本報告書は、委員長総論、各委員による各論、および5件の事例報告と質疑応答を編集した講演録の3部で構成されている。
 民生領域におけるエコビジネスは未だ萌芽期にあり、各委員には限られた紙数のなかで結論を急ぐことなく、それぞれご専門の立場からエコビジネスを主題に所感をおまとめ願い、また森川委員長には各論のエッセンスも含めながら総論をご執筆頂いた。
 地域レベル、生活者空間におけるエコビジネスの今後に関心を寄せられる各位にとって本報告書が有益なメッセージとなることを願うものである。
 末尾ながら、本研究推進のご指導を頂いた森川委員長、各回会合にて貴重なご意見を披瀝された委員会委員各位、ならびに、興味深く、また示唆に富む事例紹介講演を賜った講師各位に心より御礼を申し上げたい。


研究委員会委員名簿
(敬称略,五十音順)

委員長 森川高行 名古屋大学大学院環境学研究科教授
委 員 大森亜紀 読売新聞東京本社生活情報部
委 員 亀山秀雄 東京農工大学大学院技術経営研究科教授
委 員 剱持千歩 名古屋大学大学院環境学研究科研究員
委 員 敷田麻実 北海道大学観光学高等研究センター教授
委 員 永沢 映 (特)コミュニティビジネスサポートセンター代表理事
委 員 野田直樹 東京商工会議所人材・能力開発部研修センター調査役
(東京コカ・コーラより出向中)
委 員 服部篤子 CAC-社会起業家研究ネットワーク代表
委 員 緑川芳樹 グリーン・コンシューマー研究会代表
     
オブザーバー 荒木奈津子 東京商工会議所人材・能力開発部研修センター
オブザーバー 佐藤仁美 名古屋大学大学院環境学研究科研究員
オブザーバー 依田真美 スタンダード&プアーズ事業法人・公的部門格付部 部長
     
講 師 曽根原弘司 (特)えがおつなげて代表理事
講 師 藤井絢子 (特)菜の花プロジェクトネットワーク代表
講 師 藤田和芳 (株)大地を守る会代表取締役
講 師 三上 亨 (特)グリーンエネルギー青森常務理事・事務局長
講 師 宮本英樹 (特)ねおす専務理事
(所属・役職は平成21年3月現在)


目  次

はじめに
   
研究委員会名簿
   
総 論

持続可能な経済と環境に向けて(森川委員長)

   
各 論
第1章 エコ・ビジネスへの新たな展開
-コミュニティビジネスによる展開の可能性-(剱持委員)
第2章 エコロジカルな進化、変革をもたらすエコ・ビジネスの
創出・発展について(亀山委員)
第3章 NPOエコビジネス活性化のための人材育成(緑川委員)
第4章 飲料業界における環境マネジメントについて(野田委員)
第5章 地域におけるエコビジネスの構造と評価(敷田委員)
第6章 エコ・ビジネスと社会起業家精神(服部委員)
第7章 環境コミュニティビジネスの成功ポイント(永沢委員)
第8章 エコビジネスの可能性(大森委員)
   
講 演 録
第1章 「えがおつなげて」の活動とこれからの取組み
第2章 市民風車「わんず」をきっかけとした地域活性化の取り組み
第3章 ねおす:北海道を舞台にしたエコツーリズム
第4章 食とエネルギーの地産地消-菜の花プロジェクトが地域と地球を救う
第5章 大地を守る会の活動と今後の展開
   
研究委員会開催実績