| IPCC第31回/WGV第10回会合参加報告
 
  気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change)の第31回全体会合と第10回第3作業部会会合がインドネシア・バリで開催された。本会合の主な議題は、各作業部会でのIPCC第5次評価報告書の骨子の検討(WGV第10回会合)、全体会合(IPCC第31回総会)での骨子の承認と事務事項の確認であった。 
1. 会合の概要
 
 
| (1) 開催月日: | 2009年10月26〜29日 |  | (2) 開催場所: | インドネシア・バリ |  | (3) 出席者: | 約160か国の代表、世界気象機関  (WMO)、国連環境計画(UNEP)等の国際機関等から合計約320名。日本からは、環境省、文部科学省、経済産業省、気象庁などから13名が出席。 |   全体会合 (パチャウリ議長挨拶)
 
 
2. IPCC第3作業部会 第5次評価報告書におけるアウトラインの変更について
 第3作業部会に関してはアウトラインの分量が増加し、記述内容の明確化、政策決定者にとっての利便性向上が図られた。また、不確実性やリスク、ボトムアップとトップダウンの統合、経済・倫理分析など、理系、社会科学系の最先端の知見を盛り込むための改善がなされた。
  WGV会合(中央はエーデンフォッファー議長)
 
 
|  | 変更ポイント | 変更内容 |  
| (1) | 政策・国際・地域開発協力
イシューの大幅な充実 | 「政策、制度、協力の合意」の1章から「国際協力:合意と手法」、「地域開発及び協力」、「国内・国内小地域政策と制度」、「クロスカッティング、投資と資金問題」の4章へ増加 |  
| (2) | 資金関連の章の新設 | 「クロスカッティング、投資と資金問題」の章の新設 |  
| (3) | 不確実性・リスクの充実 | 「気候変動への対応政策の総合的なリスクと不確実性の評価」の章の新設 |  
| (4) | ボトムアップとトップダウンの統合 | 「変移経路の評価」の章における両者の統合の試み |  
| (5) | 持続的開発の重視 | クロスカッティングな章(「持続可能な開発と衡平性」)と各セクター間の項目(「持続可能な開発と行動に関する側面」)に分けて記載 |  
| (6) | 経済・倫理分析の重視 | 「社会的、経済的、倫理的コンセプトと手法」の項目を新設 |  
| (7) | セクター分析の充実 | エネルギー効率の重視、緩和技術と実際例、共同便益とトレードオフなどを追加 |  
| (8) | 廃棄物管理の記載の具体化 | 「廃棄物管理」の章の各章への分散記入 |  
| (9) | インフラ、空間計画などの記載 | 「居住空間、インフラ、空間計画」の章の追加 |  
 
3. 第5次評価報告書作成に関する今後のスケジュール
 第1作業部会報告書は2013年9月に先行して完成、公表され、その成果を踏まえて、2014年に第2作業部会、第3作業部会の各報告書が完成、公表される予定である。また、統合報告書は各作業部会報告書の成果を踏まえて、2014年9月に公表される予定である。
 ・WG  I報告書  2013年9月公表予定
 ・WGU報告書  2014年3月公表予定
 ・WGV報告書  2014年4月公表予定
 ・統合報告書   2014年9月公表予定
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