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2010年 2号
Opinion
日本万国博覧会
開催40周年に寄せて

独立行政法人日本万国博覧会記念機構

理事長 中井 昭夫

 万国博覧会は、世界の国々が、民族、宗教、経済力などに関わりなく、その国々の文化、産業、科学などの成果を一堂に展示することで、相互理解と生活文化の交流を深め、世界の繁栄に寄与することを目的に、1851年ロンドン国際博覧会以来、各国にて開催されています。
 そして、アジアで初めての「日本万国博覧会」の意義は、日本が戦後の復興期を経て、高度経済成長期を迎えていた1970年3月15日から同年9月13日までの183日間、大阪千里丘陵において開催され、我が国の産業、技術、文化などを広く国内外に示し、世界の理解を深めると共に、未来に明るい希望と自信を与えました。

 「人類の進歩と調和」をテーマとしたこの博覧会には、世界77カ国のほか、地域や機関の協力を得て116のパビリオンが出展され、会期中の入場者数は延べ64,218,770人に達し、この出展数・入場者数は、いずれも万国博覧会史上最高を記録し、国内外に強烈な印象を与えました。
 会場の各所に近未来の建築物、乗り物、映像技術、生活用品、食品などが出現し、最先端の科学技術の展示が行なわれ、それらを通じて世界各国の人々と交流し、また諸民族の文化に触れることで、多くの人々が感動を共にいたしました。

 博覧会終了後、その跡地を「緑に包まれた文化公園」として整備することが決定され、以来40年間計画的に公園の造成、施設の充実に取り組んでまいりました。
 おかげをもちまして今日では、年間160万人を超える人が訪れ、緑や花を楽しんで頂ける公園に成長しました。

 公園の整備が一段落した2006年、今後万博記念公園が目指すべき方向を将来ビジョンとして取りまとめ、「自然環境の保全」、「生き生きとした人間社会の構築」、「日本万国博覧会の遺産の継承」の3つの目標を掲げました。
 「自然環境の保全」は、一度崩壊させた自然を人間の手によって再生する世界でも例のない壮大な実験を今後とも継続し、その成果を国内外の森づくりに役立たせようとするものです。
 「生き生きとした人間社会の構築」は、緑豊かな自然環境の中で人と人とが交流し、人と自然が関わる文化的・芸術的な活動や健康増進などの取組を推進して、国民が豊かで幸せな生活を享受できる社会の構築を目指してまいります。 
 「日本万国博覧会の遺産の継承」は、日本万国博覧会の成功を記念し、その理念と資産を後世に継承していくことを目的としています。今後とも公園事業と基金事業の更なる連携のもと、同博覧会を記念する施設や資料を保存・公開し「人類の進歩と調和」の意義を伝えていきます。

 2010年3月、日本万国博覧会が開催されてから40周年を機に、独立行政法人日本万国博覧会記念機構は、博覧会終了後から保存してきた鉄鋼館を整備し、日本万国博覧会の記念館「EXPO’70パビリオン」として開設いたしました。日本万国博覧会の映像、写真、記録資料、出展作品などを数多く展示紹介するとともに、万国博覧会歴史上に残る成功を収めた70年万博の国家的、歴史的、文化的意義を末永く発信する施設として、後世に継承していきたいと考えているところでございます。


EXPO’70パビリオンオープン記念事業
(パビリオンユニホーム複製によるファッションショー)



博覧会当時の世界初立体音楽堂を内部公開
正面の展示物は、日本館4号館に展示していた巨大タペストリー
(左:よろこびの塔、右:かなしみの塔)