地球環境
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国連気候変動枠組条約第8回締約国会議ハイライト

2002年10月25日 金曜日


UNFCCCの第8回締約国会議(COP-8)は、本日も引き続き、SBSTAやSBIでのセッション、COPプレナリー、そしていくつかの公式および非公式なコンタクトグループでの会議が行われた。デリー宣言に関する非公式な意見交換も行われた。

SBSTAは、関連国際機関との協力、UNFCCC6条(教育、訓練、啓発)、クリーンなまたは温室効果ガス排出の少ないエネルギー、議定書2.3条(P&Msの悪影響)の実施について考察した。SBI は、決定書5/CP.7 (悪影響)の下での活動実施での進展、最後進国 (LDCs)関係問題、政府間会合の手配、森林での上限に関するクロアチア案を取り上げた。COPプレナリーは、持続可能な開発世界サミット(WSSD)のフォローと、 CDM執行理事会の報告書について議論した。非附属書I国別報告書に関する専門家諮問グループ(CGE)、6条、CDMにおける土地利用・土地利用の変化・森林 (LULUCF)に関するコンタクトグループも会合を行った。

SBSTA

国際機関との協力:
事務局は、UNFCCC、国連砂漠化防止条約(UNCCD)、生物多様性条約(CBD)の下でのクロスカッティングな主題分野について、スコーピングペーパーを提出し、これら条約間の相互協力に関するWSSDでの成果を提示した。締約国は、主題分野について議論し、ワークショップへの委託条件へと議論を展開していった。Thorgeirsson議長は、Jimena Nieto(コロンビア)とOuti Bergh_ll(フィンランド)が共同議長を務めるコンタクトグループに対し、保留事項を解決し、決論書草案を作成するよう要請した。

6条:World Conservation Union(IUCN)とUNEPは、6条の実施に関するそれぞれの組織の活動を紹介した。チュニジアはセネガルやカナダと共に、気候変化の日を定めることを支持した。ベルギーは、2003年に、6条に関する地域ワークショップを開催することを申し出た。米国は、6条に関する議論を報告や資金問題に結び付けることに対して、警戒を呼びかけた。Fatu Gaye(ガンビア)とJean-Pascal van Ypersele(ベルギー)により、コンタクトグループが召集された。

その他の問題:クリーンなまたは温室効果ガス排出の少ないエネルギー:カナダは、決定書草案文書を提出し、ニュージーランドとポーランド、ロシア連邦、スロベニアはこれを支持したが、G-77/中国を代表したサウジアラビア、そしてスイスと米国は、これに反対した。この文書は、事務局に対し、UNFCCCと議定書の目的を達成する上でのクリーンなエネルギー貿易の役割を分析するよう競合する組織に要求し、SBSTA-21にその結果を報告するよう、求めている。いくつかの締約国は、クリーンなエネルギー輸出での会計に関するカナダの原案への反対を再確認した。EUは、クリーンなエネルギー貿易に関する一般的な問題だけを議論するべきであると述べた。Thorgeirsson議長が、この問題について折衝することとなる。

議定書2.3条の実施:締約国は、可能なワークショップに関する問題を議論した。サウジアラビアは、開発途上国でのP&Msの悪影響を分析するよう事務局.に求めている決定書草案について論じた。Thorgeirsson議長は、この問題での折衝を行うと述べた。

SBI

悪影響:決定書5/CP.7の下での活動実施における進展:
締約国は、悪影響に関する実施問題、さらには2002年5月にボンで開催されたモデル化に関するワークショップの成果、そして保険やリスク評価に関するワークショップの手配について、議論した。

G-77/中国は、決定書実施への資金援助の欠如について、懸念を表明した。同代表は、保険とリスク評価に関するワークショップへの資金不足を取り上げ、ワークショップへの資金調達メカニズムを呼びかけ、適応に関する専門家グループの結成を提案した。カナダは、ワークショップ支援への関心を表明した。いくつかの締約国が、保険関連問題の重要性を強調した。サモアは、極端な現象を原因とする開発途上国での損失のほとんど全てが、保険の対象となっていないことを指摘する二つの報告書に注目した。日本その他は、あまり多くのワークショップを開催することに警戒を呼びかけた。イランは、ワークショップでは、対応策の影響に対する適応も取り上げるべきであることを協調した。Estrada議長は、Daniela Stoytcheva (ブルガリア)とEnele Sopoaga (ツバル)に対して、ワークショップの委託条件に関し、締約国との非公式折衝を行うよう呼びかけた。

モデル化に関して、締約国は、追加的な努力が必要であることを指摘した。サモアは、現在のモデルでは政策立案への確固とした土台を提供していないと述べた。

LDCs関連問題:LDC専門家グループ(LEG)のBubu Jallow (ガンビア)議長は、同グループの第二回会合について報告し、LEG作業計画の実施における進展を報告した。同議長は、国内適応行動計画(NAPAs).のための国内能力開発を目指してダッカで開催されたワークショップに注目した。同議長は、同グループが、COP-8でのNAPAガイドライン改訂に反対すると決定し、COP-9で行うことを望んでいることを指摘した。EUは、LEGの作業を賞賛し、持続可能な開発と貧困撲滅での適応の重要性を強調した。

カナダは、同国の適応支援でのLDCs優先を指摘した。G-77/中国は、決定書2/CP.7 (開発途上国での能力向上)で提示されたLDCs関連活動のいくつかが、NAPAs完了前に行えることを述べた。ツバルは、NAPAsのための資金をGEFから調達することの難しさを指摘した。Estrada議長は、決論書草案を作成することとなる。

政府間会合へのアレンジ:UNFCCCプロセスへの効果的な参加:
事務局は、UNFCCCや議定書でのセッション間ワークショップ、および会員限定機関での会合におけるオブザーバーの効果的な参加について、オプションや提案を紹介した。カナダは、オーストラリアやEUと共に、資金調達での現実を認識する一方で、透明性を主張した。米国は、構成員システムを含めた新しい手法を通しての参加を支持した。
COP/MOP-1に向けたアレンジ:事務局は、アレンジについてのペーパーを提出し、統合的なアプローチを提案した。スロベニアは反対したが、EU、カナダ、オーストラリア、日本は、効率のために一つの合同セッションとすることを支持し、一部の詳細を明確にする必要があることを指摘した。米国は、寄付金が、UNFCCCプロセスを支えるために用いられることを確保するため、予算問題に関して作業する必要性を強調した。 Estrada議長は、事務局がこの問題に関する結論を作成すると述べた。

COP-9の日程と場所:東欧地域グループからの申し出がないことを受け、イタリアが、COP-9の開催を申し出た。COP議長は、東欧地域から選出されることになる。出席者は、場所を決定する権限を議長団に委託すると決定した。

その他の問題:クロアチア案:出席者は、Jim Penman (英国)を議長とするSBSTA非公式グループに対し、森林管理での上限に関するクロアチア案を検討するよう要請した。同グループは、決論書草案を作成することとなる。

COPプレナリー

WSSDのフォロー:
Joke Waller-Hunter事務局長は、WSSDの成果について報告した。同局長は、このサミットが、国際問題における持続可能な開発の中心的な位置づけを再確認し、気候変化を開発上重要な問題と認識するものとなったことを、指摘した。同局長は、ヨハネスブルグ実施計画が、温室効果ガス排出削減や、京都議定書の批准、技術援助や資金援助の提供と能力向上、エネルギーへのアクセス増強と再生可能エネルギーの割合増加、CBDやUNCCDそしてUNFCCC間での相互協力.の強化を呼びかけていることに、焦点を当てた。COP は、同事務局長の報告に注目した。

CDM執行理事会報告書:: CDM執行理事会議長のJohn Ashe (アンティグア・バービューダ)は、同理事会の第一回報告書を提出した。同議長は、この報告書が、作業計画課題の実施、資金や運用手続き、理事会と利害関係者間のコミュニケーション、手続規則案を特に取り上げていると指摘した。同議長は、COPでの決定書が求められる問題を明らかにし、小規模CDMプロジェクトでの規則や規定、そして手続き規則案を強調した。同議長は、アジア地域からの理事会メンバー辞職を発表した。EUは、基準や手続きに関するさらなるガイダンスが必要であると述べた。ロシア連邦は、小規模プロジェクトを支持した。米国は、アルゼンチン、チリ、コロンビア、ベネズエラと共に、透明性のある手続き規則への支持を主張した。アルゼンチンは、一部の締約国が、CDMに非現実的な期待を持っていると指摘した。オーストラリアとカナダは、規則についての合意に達するよう各締約国を促した。インドは、スリランカと共に、運営組織の信任に向け開発途上国の譲歩を提案した。

デリー宣言:COP-8議長のBaaluは、デリー宣言での非公式な議論をするよう、各締約国に求めた。多数のスピーカーが、気候変化と持続可能な開発に注目し、WSSDでの成果に基づいた、実施本位な宣言をとの議長案を支持した。いくつかの締約国は、京都議定書の批准を促すよう提案し、また適応と貧困撲滅への注目を強調した。多くのものが、緩和と適応の両方を強調する二方面アプローチへの賛成を論じた。いくつかの附属書I諸国は、第二約束期間とそれ以降への準備に向けた地球規模での約束の拡大化、深化の必要性を強調する前向きな宣言を支持した。

いくつかの開発途上国の代表は、共通だが差異のある原則を強調し、附属書I締約国が先頭に立つべきであると述べ、開発途上国の新たな約束につながるようなプロセスへの反対を表明した。一つの附属書I締約国は、経済成長を環境面での進展の鍵とし、全てのものの繁栄する権利を強調して、開発途上国にとり負担となるような目標に対する警戒を呼びかけた。多くの諸国は、再生可能エネルギーへの注目を支持した。他の諸国は、エネルギー効率と先進的な化石燃料技術に力点を置いた。一部の代表は、宣言の草案つくりの過程における協力の精神を呼びかけた。非公式な折衝が続けられることとなる。

コンタクトグループ

CGE:
Jos_ Romero議長は、EUから、またオーストラリア、カナダ、日本、米国からガイドラインを改善するための新しい文章を受け取ったと述べた。締約国は、G-77/中国案に基づき、議長文書からいくつかの条項を削除することに合意した。

6条:共同議長のGayeとvan Yperseleは、夕方にこのグループを召集した。中国は、NGOsが、自国の窓口から、そうするよう求められたときにのみ、作業プログラムに関して提起することが認められるようにすると提案し、ボツワナとセネガルはこれを支持したが、EUとスリランカは反対した。ナミビアは、科学者や研究者に対する3次レベルの訓練の重要性を強調し、事務局が、訓練のため利用可能な資源についての登録簿を作成することを、提案した。 このグループは、国際気候変化の日の制定に関して多様な見解を聞いた。

CDMの下でのLULUCF:締約国は、非永久性の問題を取り上げた。G-77/中国は、非永久性に関する原則や要素、そしてクロスカッティングイシューに注目する提案を行った。EUは、暫定的排出削減認証単位 (TCERs)に依存する会計システムを提案した。締約国は、リスク、保険、補償責任、炭素権に関係する諸問題を議論した。締約国は、可能量会計システムの正式な経済分析の必要性で合意した。 Sach共同議長は、ベースライン手法の問題を取り上げ、議論は夜遅くまで続けられた。

廊下にて

出席者は、金曜日の夕方将来の体制に関し議論しているところを、耳にされた。デリー宣言に関する非公式な意見交換は、この日の初めの方で見られ、以前ブエノスアイレスで見られたような、途上国の約束に関する感情的な姿勢で特徴付けられた。一部の開発途上国が、適応のための新たな手段を求めることで、宣言の中で非附属書I国の約束に触れることを妨げようとする可能性について、うわさが飛んだ。

今日の注目

議定書5条、7条、8条: このコンタクトグループは、午前10時からホール4で会合する。

登録簿:
この登録簿に関するコンタクトグループは、正午にホールの2で会合する。

R&SO:このコンタクトグループは、正午にホールの3で、そして午後5時にホールの4で召集される。

CGE:このコンタクトグループは午後3時と午後8時にホールの5で会合する。

CDM:の下でのLULUCF:このコンタクトグループは午後3時にホールの4で会合する。

P&MS:このP&Msに関するコンタクトグループは、午後8時にホールの2に集まる。