地球環境
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国連気候変動枠組条約第9回締約国会議

2003年12月2日火曜日




COP-9参加者は、SBSTAとSBIでの会合を継続し、またコンタクトグループ、非公式グループでの会合ももたれた。SBSTAは引き続き、LULUCFや、技術開発と技術移転、政策措置(P&Ms)での優れた実践方法、研究と体系的な観測(R&SO)、そして関連国際機関との連携を含めた手法問題の検討を行った。SBIは、2004-5年のプログラム予算とSCCFを含めた資金問題、そしてキャパシティビルディング(能力向上)、UNFCCC6条(教育、訓練、啓発)、UNFCCC4.8条と4.9条(悪影響)の実施、非付属書I国別報告書について、議論した。手法問題に関するコンタクトグループは、夕方に会合し、 UNFCCCおよび議定書の下での手法問題作業の再検討を取り上げた。

SBSTA

手法問題:CDM規定での吸収量:Thorgeirsson議長は、CDM規定LULUCFプロジェクトの定義および規則に関する進展を指摘した。EUは、一時的なクレジット発行に向けて議論が集約していると受け取られていることを歓迎し、ツバルとともに、社会経済的および環境上の影響基準の重要性を強調した。カナダは、保険手法を提案した。セネガル、ボリビア、ブルキナファソ、タイは、地域社会に有益な小規模プロジェクトの重要性を強調した。ブラジルは、G-77/中国に代わり、社会経済および環境に関する基準について提案が提出されていることを指摘した。ボリビアはインドおよび中国とともに、国際的に課せられる基準が各国の国内法と矛盾することへの警鐘を鳴らした。

優れた実践方法ガイダンスおよびLULUCFに関するその他の情報:IPCCは、LULUCF向けの優れた実践方法ガイダンス(GPG)に関する報告書、および炭素貯留量中の直接の人為的変化分を、間接の人為的変化分および自然の影響分から抽出分離する作業など、関連作業についてのプレゼンテーションを行い、広範なLULUCF活動について抽出分離を行う実際手法を策定することは困難なことを指摘した。ツバルはAOSISに代わり、各国の専門家と協議する必要性を強調した。米国は、現在の科学知識は総合的な手法を開発するには不十分であるとして、IPCCは、これ以上GPGに携わるべきでないと述べた。Thorgeirsson議長は、Mukahanana-Sangarwe (ジンバブエ)およびAudun Rosland (ノルウェー)がGPGについての結論書を作成するコンタクトグループの共同議長を務めると述べた。

伐採木材製品:Thorgeirsson議長は、伐採木材製品の推定、実績および計算に関するテクニカルペーパーを提出した。米国は、各締約国が報告の中で輸出と輸入を区別するよう提案し、ツバルはAOSISに代わり、途上国で伐採され先進国に移される製品を計算に入れない手法に対し、慎重な対応を求めた。締約国は、これが第二次約束期間での問題であることを認め、SBSTA-20でこの問題を検討することで合意した。

議定書7.4条に基づく登録簿システムに関係する問題:Murray Ward (ニュージーランド)はセッション前での登録簿関連協議について報告し、登録簿と取引簿との間の管理行政における協力の重要性を強調した。

技術移転:事務局は、UNFCCC技術情報センター(TT:CLEAR).を提案した。EGTT議長であるWilliam Kojo Agyemang-Bonsuは、2004年の作業計画提案など、最近のEGTT会議の結果を報告した。マレーシアはG-77/中国に代わり、先進国が可能な環境作りに向けて、十分な方策を取っていないと述べ、EGTTの資金が限られていることへの懸念を表明した。ベリーズは、「技術開発専門家グループ」の設置を提案した。カナダは、政府と民間部門とのパートナーシップを強調した。Thorgeirsson 議長は、Terry Carrington (英国)とKishan Kumarsingh (トリニダードトバゴ)がこのコンタクトグループの共同議長となると述べた。

P&MS:EUは、実証可能な進展に関して事務局に報告書を提出するよう各締約国を促し、またSBSTAに対して、優先的な活動を特定し、優れた実践手法に関する作業プログラムを策定するよう求めた。SBSTAは、Richard Muyungi (タンザニア)およびGreg Terrill (オーストラリア) が非公式折衝を行うことに同意した。

R&SO:地球気候観測システム(Global Climate Observing System、GCOS)は、途上国での地球規模観測システムを改善するため、GCOS協力メカニズムを設立と、実施計画開始に向けた方策に注目した。ウルグアイとバングラデシュは、地域協力の有用性に焦点を当て、オーストラリアは、気候観測システムでの各国の努力を呼びかけた。サウジアラビアは、対応措置の影響モデル化を進めるよう促した。クック諸島はAOSISに代わり、資金源および技術資源の必要性を強調した。EU とスイスは、歴史的なデータセットの重要性を強調した。Thorgeirsson議長は、Sue Barrell (オーストラリア)とPhilip Gwage (ウガンダ) がコンタクトグループの議長を務めると述べた。

関連機関との協力:CBDは、その科学的・技術的助言に関する補助機関の第9回会議における関連事項の成果を紹介し、生物多様性と気候変化に関するアドホック技術専門家グループの報告書における主要な成果を提示した。CCDは、その最近のCOP-6で共同活動分野の特定を進めるための共同連携グループを促進する決定書が採択されたと述べた。

IPCCは、第四次評価報告書に貢献する専門家指名の締切日が2004年1月20日であると述べた。国連の災害削減のための国際戦略に関する組織間事務局は、気候変化への適応を災害削減戦略の主流とする作業を紹介した。ツバルは、EU、ネパール、スイスとともに、LULUCF活動に関して、他の条約と協力することの重要性を強調した。

SBI

管理上および資金上の問題:中間決算報告:スイスは、基幹予算の中で優先活動が任意の寄付に大きく依存していることへの懸念を指摘した。

2004-5年の二年間予算:日本は、名目ゼロ成長予算への支持を強調した。EUは、適切で確固とした資金源の重要性を強調し、COPが将来予算の通貨としてユーロの採用を検討するよう提案した。米国は、予算の構造とレベルに関する懸念を再度述べ、事務局の基幹予算に議定書の開発コストを含めることに反対した。同代表は、オーストラリアとともに、UNFCCCと議定書の予算を分割するよう呼びかけた。Stoycheva議長は、John Ashe (アンティグアバービューダ) を議長とするコンタクトグループが結論書草案と決定書草案を作成すると述べた。

資金メカニズム:SCCF:多くの締約国が、適応、キャパシティビルディング(能力向上)、技術移転をSCCFの優先分野として強調した。EUは、SCCFが二国間および多国間の資金源からの追加資金をもたらす触媒となるべきであると述べた。中国は、SCCF補填手続きの確立を促した。Stoycheva議長は、Rawleston Moore (バルバドス)およびFrode Neergaard (デンマーク)を共同議長とするコンタクトグループがCOP決定書案を作成すると述べた。

GEF報告書:GEFは、気候変化に関する同基金のイニシアティブを強調した。タンザニアはLDCsに代わり、LDC国別適応行動計画の承認手続きを早めるよう促した。中国とブラジルは、第二回国別報告書への資金供与加速化を求めた。アルジェリアは、進展も資金提供もないことへの懸念を表明した。Stoycheva議長は、自身でCOP決定書案を作成すると述べた。

GEFに対する追加ガイダンス:Stoycheva議長は、Andrea Alban (コロンビア)に対し、関連コンタクトグループの議長たちと協調して非公式折衝を行い、COP決定書の集大成案を作成するよう要請した。

キャパシティビルディング(能力向上):G-77/中国は、関連するCOP決定書の実施進展を監視するため実績指標を作成するよう呼びかけ、米国はこれに反対した。日本は、GEFとUNFCCCとの協調を高めるよう促し、いくつかの締約国は、最善の実施方法や学習したことがらを文書化する必要性に焦点を当てた。Stoycheva議長は、 Dechen Tsering (ブータン)を議長とする コンタクトグループが結論書草案およびCOP決定書草案を作成すると述べた。

ARTICLE 6条:EUは、締約国に対し、その国別報告書の中に、6条実施への障害に関する情報を含めるよう提案した。米国は、各国が主導することの必要性を強調し、中国は、技術的、資金的援助を呼びかけた。いくつかの締約国が、地域ワークショップの重要性に焦点を当てた。Stoycheva議長は、Markus Nauser (スイス)に、非公式折衝を行い、結論書草案およびCOP決定書を作成するよう要請した。

中央アジア、アルバニア、モルドバ、グループ(CACAM)の要請:ウズベキスタンは、CACAM が資金援助を受け、専門家グループに専門家を指名し、参加してもらうことを可能にするCOP決定書を要求した。Stoycheva 議長は、この問題での非公式折衝を行うと述べた。

その他の問題:LULUCFとクロアチアの特殊事情に関するクロアチア提案:クロアチアは、UNFCCC 4.6条(EITsの特殊事情)に規定する同国の特殊事情の問題解決の重要性を強調し、この問題での非公式交渉の継続を呼びかけた。ボスニア・ヘルチェゴビナとセルビア・モンテネグロは、クロアチアの排出量推定や予測は、クロアチアの領土内を起源としない排出量に基づいていると述べた。クロアチアは、新しい排出量の推定と予測は隣国からの排出量を含めていないと指摘し、ボスニア・ヘルチェゴビナやセルビア・モンテネグロの懸念はもはや当てはまらないものとなっていると述べた。Stoycheva 議長は、Jim Penman (英国)が非公式折衝を行うと述べた。

第3回付属書I国別報告書のレビューに関する状況報告:事務局は、36の付属書I諸国が国別報告書を提出したと述べた。締約国は、この議題項目を留意した。

そのほかの問題:1990年を基本年として利用するとの白ロシア提案に関し、EUは、COP/MOPだけがこの問題に決定を行う権限を有していると述べた。新しい基本年は、大量のホットエアを意味することから、同代表は、この提案のさらなる明確化を求めた。Stoycheva議長は、この問題での結論書草案を作成すると述べた。

非付属書I 国別報告書:第一回国別報告書の第5次の編集およびまとめに関する考察:米国は、非付属書I諸国が排出量を削減するためにとっている方策についての文書が、COP-8および SBI-18での関連する要求事項に、適切に対応していないと述べた。Stoycheva議長は、 S.N. Sok Appadu (モーリシャス)を議長とするコンタクトグループ がこの問題を検討することを想起した。

4.8条と4.9条の実施:LDCs関連問題:LDC専門家グループ(LEG),議長であるLa'avasa Malua (サモア) がLEGの活動性かを紹介し、多くのLDC利害関係者が長期的な支援の必要性を表明したことを指摘した。LDCs議長のRichard Muyungi (タンザニア)は、LDC作業プログラムの実施が開始されたが、プログラムの多くの要素が不完全なままであると述べた。バングラデシュは、EUおよびカナダとともに、LEGのマンデート延長を支持し、カナダとともに、LDC基金とSCCFの無償資金に焦点を当てた。Stoycheva議長は、Mamadou Honadia (ブルキナファソ) およびJose Romero (スイス) が、この問題での非公式折衝を執り行い、COP-9決定書草案を作成すると述べた。

コンタクトグループ

手法問題:Jim PenmanとBrian Challenger (アンティグアバービューダ)を共同議長とするコンタクトグループは、可能性ある将来作業プログラムの要素を取り上げた。Penman共同議長は、提案されている新しい要素の要点を抽出し、重複を減らすよう提案した。サウジアラビアは、現在の活動および計画中の活動に基づく提案も議論するべきであると述べ、米国はこれに反対した。EUは、提案の合理化と決定書草案の作成を提案した。米国は、作業がまだ情報の段階であるとし、重複作業への懸念を声にした。ニュージーランドは、戦略的なアプローチを促した。データ・インターフェースに関する提案について、オーストラリアは、パイロットフェーズの開始を提案した。G-77/中国は、資源が限られていることから、優先度で選択する必要があると述べ、マレーシアは、キャパシティビルディング(能力向上)への配慮を促した。G-77/中国は提案されている新要素の検討に関し、項目の集約を支持したが、カナダと米国はこれに反対した。

廊下にて

見かけ上スムーズな第二日の会合に影響を受け、そしておそらくは、迷路のようなFiera会議場でいまだに迷っているせいか、出席者の一部は、今日の午後、半分寝た状態で行動していたようだ。しかし、静かな雰囲気は、嵐の前の静けさであるかも知れない。これまでのところ、外見上はLULUCF交渉に追い風が吹いているように見えるが、これから数日間に作成されるはずの多くの決定書に各参加者がどういう反応をするかは、だれにもわからない。

本日の注目点

SBSTA:SBSTAは、プレナリー Iで午前10時から会合し、関連機関との協力やその他の問題を取り上げる。

SBI:SBIは、プレナリー Iで午前11時から会合し、2004-5年のプログラム予算、組織上の問題、そして非付属書I 国別報告書と4.8条の実施という保留されてきた二つの議題項目について議論する。

コンタクトグループ:コンタクトグループは、非付属書I 国別報告書、CDM規定での吸収量、LULUCFに関する優れた実践方法ガイダンス、キャパシティビルディング(能力向上)、技術移転、R&SO、SCCFに関し、 一日を通して開催される。