地球環境
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国連気候変動枠組条約第9回締約国会議

2003年12月3日水曜日




水曜日、COP-9参加者は、SBSTAおよびSBIでの午前中の会議に集まり、また非公式折衝およびコンタクトグループは一日を通して会議を行った。SBSTAは、関連国際機関との協力、クリーンなまたは温室効果ガス低排出のエネルギー、議定書2.3条(P&Msの悪影響)の実施、共同実施活動(AIJ)、そして歴史的な排出量が気温情報に与えた影響により排出削減目標に差異を設けるというブラジル提案について議論した。SBIは、2004-5年度プログラム予算を取り上げた。いくつかのコンタクトグループが結論書草案およびCOP決定書を議論するため会合した。

SBSTA

関連組織との協力:いくつかの締約国が、シナジー支援措置として、キャパシティビルディング(能力向上)、技術移転、そして報告書つくりを促進する必要性を強調した。FAOは、農業、エネルギー、農村開発に関係したFAO活動について報告し、IUCNは、気候変化措置を、保護地域管理に組み入れる必要性に注目した。Thorgeirsson議長は、Outi Berghall (フィンランド)とMarcela Maim (チリChile)がSBSTA結論書草案について非公式折衝を行うと述べた。

そのほかの問題:クリーンなエネルギーまたは温室効果ガス低排出のエネルギー:カナダは、SBSTAがこれらの問題についての見解を各締約国に求めるよう促し、ロシア連邦はこれを支持したが、EU、G-77/中国その他はこれに反対した。Thorgeirsson議長は、この問題について非公式に協議すると述べた。

2.3条実施に関係する問題:サウジアラビアは、2.3条の実施を進めるよう促したが、EUは、この条項に関係する問題は、以前の決定書ですでに取り上げられていると述べた。Thorgeirsson議長は、この問題での非公式折衝を行うと述べた。

そのほかの問題:AIJパイロットフェーズに関し、Thorgeirsson議長は、AIJ統合報告書の頻度変更を再検討し、2004年6月1日が第7回統合報告書へ入れる報告書提出の期限であることを指摘した。

ブラジル提案の科学的側面および手法上の側面の検討について、英国は、その背景を説明し、2003年9月にドイツのベルリンで開催された第三回専門家会合の成果を紹介した。Thorgeirsson議長は、この問題に関し結論書草案を作成すると述べた。

SBI

管理上および資金の問題:2004-5年度プログラム予算:G-77/中国は、効率の改善、資源の迅速活用、事務局での地理的および性別上のバランスを呼びかけ、事務局の基幹予算に議定書関連活動を入れることに支持を表明した。同代表は、持続可能な開発プログラムへの資源の配分が、キャパシティビルディング(能力向上)、技術移転、適応、UNFCCC6条(教育、訓練、啓発)に関するニューデリー作業プログラムの実施を支援するには、不適切であると述べた。また同代表は、UNFCCC-関係プロセスへの途上国の参加を支援するため、より多くの資源をと呼びかけ、UN の評価のものさしを適用することに反対した。UNFCCCエグゼキュティブセクレタリーのWaller-Hunterは、コスト効率を高めるため、事務局でも対策を取っていることを指摘した上で、こういった対策はともかく、事務局として、「より少ないものでより多くをやりとげる」ことはできないと、参加者に警告した。同エグゼキュティブセクレタリーは、事務局がCOP決定書に基づいてプログラムへの資源配分を行っており、資源配分でも公平な分配の原則を適用していると述べた。

SBSTAコンタクトグループ

CDM規定での吸収量:
このコンタクトグループは、Thelma Krug (ブラジル)とKarsten Sach (ドイツ)を共同議長としている。Sach共同議長は、セッション前などの非公式折衝に基づいた共同議長のノンペーパーを提出した。このノンペーパーには、非永久性に関するEUとブラジルの共同提案の改訂版と付録Eの新しいバージョンが含まれている。侵入外来種やGMOs、小規模特定プロジェクト、非永久性への保険アプローチなど、いくつかの提案が出ていることも指摘された。議論に先立ち、非公式折衝が行われることになる。

LULUCFに関する優れた実践方法ガイダンス:このグループの共同議長は、Margaret Mukahanana-Sangarwe (ジンバブエ)とAudun Rosland (ノルウェー)である。IPCCの優れた実践方法ガイダンス(GPG)に関し、ニュージーランドは、GPG全体に注目することを提案した。カナダとオーストラリアは、 said the GPGが、報告書つくりに必要なガイドラインを提供しており、これは採択されるべきであると提案した。米国は、新しい報告書つくりガイダンスでの実用経験が必要であると指摘し、CRFに関する決定をできるだけ早く行うよう促した。

CRFについて、米国とスイスは、IPCC報告作成ガイドライン1996年改訂版との結びつきを堅持するよう求め、 EUとともに、部門別の表での分類ではGPGとの一貫性を持たせるべきであると、述べた。カナダは、表を合理化し、一貫性を持たせる必要性を強調した。マレーシアは、表をより簡単なものとするよう要請した。Rosland共同議長は、小グループで、この問題の非公式協議を継続すると指摘した。

要素抽出について、ブラジルはG-77/中国に代わり、これが、マラケシュ合意で合意された原則を反映するものであり、第二次約束期間より前に取り上げる必要性があると述べ、EUはこれを支持した。伐採木材製品に関して、カナダが、能力と知識の向上を図るためのワークショップを提案し、ニュージーランドとノルウェーの支持を得る一方、EUは、締約国による提案を強調した。参加者は、この問題に関する見解を提出することで合意した。劣化や植生後退についても、COP-10でさらに議論するため、提出が求められている。

技術移転:このコンタクトグループは、Terry Carrington (英国)とKishan Kumarsingh (トリニダードトバゴ)を共同議長とし、将来のEGTT作業プログラムの要素を協議した。米国、カナダ、日本、EUは、EGTTの作業プログラム案が野心的であっても管理可能だと述べた。G-77/中国は、技術的なニーズ評価、TT:CLEAR、可能にする環境、キャパシティビルディング(能力向上)、メカニズム、革新的な資金手当てと会議の頻度などに焦点を当てた作業プログラム案に関するペーパーを配布し、後にさらに推敲した。米国とEUは、このペーパーでのいくつかの要点が、作業プログラム案ですでに取り上げられていることを指摘した。付属書I諸国が、キャパシティビルディング(能力向上)活動に関し報告するという提案について、EUは、すべての締約国が報告するべきだと、述べた。会議に頻度について、同代表は、EGTTメンバーが参加可能かどうか、そして予算上の制約も考慮する必要があると述べた。Carrington共同議長は、共同議長の方で結論書草案を作成すると述べた。

R&SO:このグループの共同議長は、Sue Barrell (オーストラリア)とPhilip Gwage (ウガンダ)である。 締約国は、気候のための地球規模観測システムに関する決定書案および結論書草案について議論した。Barrell共同議長は、途上国での地球規模気候観測システムを改善するための既存資源のもっとも効果的な利用を特定する、GCOS協力メカニズムの概要を紹介した。インドは、自由なデータ交換のためのWMO原則への言及を提案し、G-77/中国の支持を得たが、米国は、どこか特定の組織の下で確立された原則への言及に警鐘を鳴らした。マリはG-77/中国に代わり、インフラ維持に関してGEFにガイダンスを提供する必要性を指摘した。また同代表は、地域的な行動計画実施の重要性を強調した。 EUは、スイスの支持を得て、歴史的なデータのデジタル化を奨励した。カナダは、気候モニタリング作業を優先するため、地球観測グループ(GEO)の招請を提案し、米国は、GCOSとGEOに対し、それぞれの業務の調整を要請するよう、提案した。チリは、各国政府が、国内気象当局に資金資源を供与するよう呼びかける必要性を強調した。

SBIコンタクトグループ

非付属書I 国別報告書:参加者は、2003-7年のCGE作業プログラム案に関するCGE議長Brian Challenger (アンティグアバービューダ)のプレゼンテーションを聞いた。出席者は、CGEの各主題グループそれぞれへの地域専門家の割り当て、そしてワークショップへの資金手当てについて、議論した。米国は、EUの支持を得て、地域ベースではなく、国別報告書の作成状況に基づいて、ワークショップを企画するよう提案した。次回のコンタクトグループ会合で議論するため結論書草案が配布された。

キャパシティビルディング(能力向上):このグループは、Dechen Tsering (ブータン)を議長としている。締約国は、途上国でのキャパシティビルディング(能力向上)の枠組み実施に関する総合的なレビューを完成するための行動およびステップについて、学習したことに関するテクニカルペーパー作成を事務局へ要請することについて議論した。G-77/中国はEUの支持を得て、事務局の重要性を強調するとともに、枠組み実施でのギャップや欠点を考慮することの重要性も強調した。

EUは、途上国でのキャパシティビルディング(能力)向上)でのニーズを見極めることの重要性を強調した。スイスは、 UNDPとGEFが行った作業を引用するよう提案し、GEFとUNFCCCの下で行われた作業での一貫性確保が重要なことを指摘した。締約国は、各国政府がテクニカルペーパーをレビューするべきだということで意見の一致を見た。

日本とスイスは、総合レビューが完了するまで、GEFへのガイダンスをさらに延期するよう提案した。参加者は、GEFに対し、キャパシティビルディング(能力向上)強化のための戦略アプローチでどういう進展があったか報告を要請することで、合意した。Tsering 議長は、COP決定書草案作成のため. 非公式折衝が行われると述べた。

プログラム予算:John Ashe (アンティグアバービューダ)議長は、予算レベル決定、および議定書発効のための暫定資金配分に関する事務局案を議論するという、このグループの課題を強調した。予算オプションに関し、EUは9%増を支持し、日本は名目ゼロ成長を支持した。暫定配分に関し、EUは、この提案を議定書への資金手当てに確実性と安全性を与える前向きな動きと考えると、述べ、日本は、こういったコストは補助信託基金に含まれるべきであり、基幹予算に含まれるべきではないと述べた。米国は、議定書関係の開発活動、特に協力メカニズムに関係する活動は、補助信託基金に移すか、暫定配分案に移すべきであると述べた。オーストラリアは、議定書関係の活動は、議定書の締約国だけが資金提供をし、別な予算および信託基金に入れるよう、要請した。

SCCF:Rawleston Moore (バルバドス)とFrode Neergaard (デンマーク)の両共同議長がセッション開会を宣言し、結論書およびCOP決定書草案を作成するという課題を指摘した。EUとカナダは、 SBI-18の結論書に基づいて作成する必要性を強調し、G-77/中国は、SBI-18への同代表の提案をベースに作業するべきであると述べた。数カ国が、適応と技術移転に関して合意された決定書に沿ったプロジェクトに資金提供をすることの優先性を、強調した。コロンビアは、ペルーとともに、プロジェクトを小規模、中規模、大規模と分類するよう提案した。G-77/中国は、資金源とメカニズムの分散を議論することの重要性を強調した。s EUは、SCCFが、適応活動を主流として支援するべきであると述べた。パキスタンは、再生可能エネルギーを可能にする環境への資金提供、特にGEFでカバーされないところへの資金提供の重要性に、焦点を当てた。ミクロネシアは、速やかなアクセスの必要性を強調し、南アフリカは、SCCFの持続可能性を確保するための資金レベルを考える必要があると述べた。ウガンダは、SCCFが、LDC基金で利用可能な資金レベルに影響を与えるべきではないことを強調した。

廊下にて

SCCFコンタクトグループが進行中で、事務局プログラム予算に関する交渉も進んでいることから、一部のオブザーバーは、水曜日を「お金を見せる」日と呼ぶことにした。これは コンタクトグループでの議論からつけられた名前というよりは、2年前のCOP-6パートIIでの「途上国への気候変化資金協力に向けた強力な政治的約束」。実施に向け、負担配分に取り組むための非公式会議に根ざしているらしい。一方、ニューヨークでは、国連の通常予算から、UNFCCC会議サービスへの資金提供要請に関するUNGAの第二回委員会で、交渉が行われ、ある参加者によると、今日遅くには、前例どおりの投票結果となるものとみられるとのことである。

今日の予定

COPプレナリー:COPは午前10時にプレナリー I で、そして午後3時に同所で再度会合し、UNFCCC上の約束および他の条項の実施レビュー、付属書I 国別報告書、CDM EB報告書を議論する。

コンタクトグループ:
SBSTAとSBIのコンタクトグループ は、LULUCF、優れた実践方法ガイダンス、IPCC TAR、UNFCCCおよび議定書での手法上の作業、技術移転、プログラム予算、SCCFを議論するため、会合する。