地球環境
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国連気候変動枠組条約第9回締約国会議

2003年年12月4日木曜日




COP-9締約国はCOPおよびSBIのプレナリー、コンタクトグループ、非公式会議において討議を続けた。COPは附属書T締約国の国別報告書とCDM理事会(EB)の報告書を検討した。SBIは午後に会議を行い、議題書に関わる組織的問題、非附属書T締約国の国別報告書、決定書5/CP.7の実施 (悪影響に関するUNFCCC4.8条および4.9条の実施)に関する進捗を取り上げた。SBIのコンタクトグループは2004年-2005年のプログラム予算および特別気候変動基金(SCCF)に関する会合を持った。SBSTAのコンタクトグループはLULUCFグッドプラクティスガイダンス、IPCC第三次評価報告書(TAR)、手順作業、技術開発・移転に関して話し合った。

COPプレナリー

約束実施およびその他UNFCCC規定に関するレビュー: 附属書T締約国国別報告書

EUと日本は、排出量削減に関わる取り組みを報告するとともに、議定書の目標値達成における進捗状況に留意した。カナダ、豪州、米国は国内措置を強調した。ロシア連邦、ベラルーシ、スロベニアは、これらの国で排出量が減少したのはGDPと排出量の切り離しのためで、経済低迷が原因ではないと述べた。G77/中国は附属書T締約国における排出量増加に懸念を表明し、政治的コミットメントを訴えた。アルゼンチンは排出濃度測定の適合性には疑問があるとしたが、米国はこれに反対した。サウジアラビア、アラブ首長国連邦、アルジェリア、オマーンは途上国に対する対応策の影響に関する懸念を指摘した。

AOSISはバングラディシュとともに、排出量削減の失敗により適応措置を強化する必要性が出てきたと述べた。アイスランドは現存の技術の適用・移転を求め、南アフリカは附属書T締約国による実証できる指導力を要求した。対立する米国の気候政策、CLIMATE ACTION NETWORKは議定書の発効を要請した。CLIMATE ALLIANCEは、国別報告書に地方自治体および地域政府の政策措置(P&M)を含める必要性を強調した。

COP議長Persanyi氏は、Jose Manuel Ovalle(チリ)とMichael Zammit Cutajar(マルタ)が、当問題に関するコンタクトグループの共同議長を務めると述べた。

CDM EBの報告書:

CDM EB議長のHans Jurgen Stehr氏はEBの活動に関する報告書を提示した。同議長は九つの提案が承認されたことに留意し、EBの活動資金を持続させる重要性を強調した。G77/中国は、指定運営組織(DOE)の公平な地理的分配の必要性および途上国における団体の参入を促進するための資金的・技術的援助の必要性を強調した。同国はガーナとともに、CDMプロジェクトにおける持続可能な開発目標の重要性を強調した。スイスは創造的な提案の継続およびEBの作業に着手するためのアイディアを支持した。アルゼンチンは方法論を評価するためのプロセスが長いことに懸念を示した。

EB会議の透明性および出席に関して、米国はEBの手順規則は当事者である締約国、オブザーバー、利害関係者すべての出席を規定することに留意し、同規則の解釈を再検討するようEBに要要請した。経済産業界の代表者は大規模なCDMプロジェクトを呼びかけ、CLIMATE ACTION NETWORKはCDMプロジェクト、DOEs、専門家の公平な配分を求めた。先住民族にとっての森林の重要性を強調するとともに、先住民族団体の代表者はCDMにおける吸収源の交渉にはより多くの先住民の参加が必要であると呼びかけた。
Persanyi議長はSopoaga氏 (ツバル)がこの件に関する非公式折衝を行うと発表した。

共同声明:

スイスは、同国、カナダ、EU、アイスランド、ニュージーランド、ノルウェーに代わって、2005年から毎年4億1千万米ドルを途上国に供与するためにCOP-6のパートUで約束された政治的コミットメントの再確認をするとともに、同コミットメントを果たすために取られている措置に留意した。

SBI

組織的事項: 議題書採択:

Stoycheva議長は会合を開会し、非公式折衝後、締約国は保留になっていた2つの議題項目に合意したことに留意した。SBIは修正通り議題項目を採択した。

第二次、第三次(必要に応じて)国別報告書の提出: EUは非附属書T締約国の国別報告書の準備にあったって効率的なプロセスが重要であることを強調した。米国は、非附属書T締約国の国別報告書は、初回の国別報告書の提出後4年以内に提出されるべきだと述べ、後発開発途上国(LDC)の国別報告書の場合は、5年ごとに提出するべきであると主張した。温室効果ガス目録の提出に関しては、非附属書T締約国は2年毎に、LDCは国別報告書の一部として5年ごとに提出するべきであると同国は提案した。Stoycheva議長は非附属書T締約国の国別報告書コンタクトグループの議長Sok Appadu氏にこの小項目も検討に入れ、COP決定書案を作成するよう要請した。

決定書5/CP.7における活動実施の進捗:
EU、米国、豪州は決定書5/CP.7実施に向けて行ったワークショップや第三次GEF補充などの活動に留意し、COP-9での同問題に関する意見交換を歓迎した。Stoycheva議長は、この件に関するCOP決定書案を作成するために、Rob Mason氏 (UK) とAl Waleed Al-Malik 氏 (アラブ首長国連邦)が共同議長を務めることを発表した。

SBIコンタクトグループ

2004年〜2005年プログラム予算:

John Ashe議長は予算に関するこれまでの議論および選択肢の概要を説明した。ニュージーランドは優先順位の高い作業を持続可能にし、事務局が革新的かつ効率的なサービスを供給できるような予算の必要性を強調した。G77/中国およびウガンダに支持を受け、同国は9%の予算増加の選択肢に賛成した。また、主要予算に京都議定書の開発活動を含めることを支持した。G77/中国内でさらに折衝ができるよう会合は延期とされた。

SCCF: Rawleston Moore共同議長とFrode Neergaard共同議長は共同議長COP決定書案を検討のために提示した。ナイジェリアはG77/中国に代わって、同案は交渉のたたき台として使えないと述べるとともに、レビュープロセスを含む運用手順に関して十分な指針を含んでおらず、基金の追加に関する言及も欠落している点を強調した。同国はまた共同議長に新たな決定書案を作成し、G-77/中国が内部折衝を行えるよう会合を延期するよう要請した。一方、同決定書案に関してささいな懸念を指摘しながらも、EU、カナダ、ノルウェーは、同案は交渉のための良いたたき台になると述べた。G77/中国の非公式折衝のための休憩後、共同議長は会合を延期した。

SBSTAコンタクトグループ

IPCC TAR: Thorgeirsson議長は決定書案およびIPCC TARに関するSBSTA結論書を提出した。新たな2つの議題項目のもとで検討すべきテーマと問題の議論をさらに深める必要性に留意し、G77/中国は同決定書案をCOPに提出することに反対した。対立するG77/中国、豪州、EU、スイス、ノルウェー、ロシア連邦、日本は新しい議題項目に関する作業を開始する必要性を強調し、COPがそれを検討する重要性を指摘した。EUは、テーマおよび問題のさらなる検討を進めつつ、実質的な作業を開始することは可能であると述べた。カナダは作業の重複を避け、締約国主導プロセスを確実にする必要性を強調した。EUは、新しい議題項目における作業はUNFCCCの最終目標を達成するのに貢献するであろうと強調した。

LULUCFグッドプラクティスガイダンス:

Audun Rosland共同議長は共通報告形式に関する進捗を報告し、EUはカナダの支援を受け、IPCCグッドプラクティスガイダンス(GPG)に基づくLULUCFのための部門背景データに関するレポーティング・テーブルを提出する旨を発表した。収穫林産品に関して、参加者は共同議長結論書案について話し合った。この件をSBSTA-21でレビューするために、同案では締約国が2004年4月15日までに提出物を出すよう求められている。提出時には、GPGを検討することに関する部分の文字は括弧などで囲まれたままになる。

手順作業:

このグループは共同議長の提案を話し合った。内容はSBSTA作業プログラムの議論をさらに進め、新項目と既にUNFCCCもしくは他で対応されている項目とを区別することである。EUおよびニュージーランドは議論の焦点は主要な要素もしくはテーマであるべきだと述べ、サウジアラビアは焦点はUNFCCC実施に向けた方法論的作業に置くべきだと主張した。

EU、カナダ、日本は、予測に関する方法、モデル、推測に関する情報交換を支持したが、これにはサウジアラビアとG77/中国が反対した。サウジアラビアは、附属書T締約国のP&Mにおけるグッドプラクティスの双方にメリットとなる側面、およびUNFCCC4.8条、4.9条(悪影響)の実施に対応していくべきだと主張した。カナダは社会経済的シナリオ構築に関する情報、方法、ツールに関する話し合いも含むべきだと述べたが、G77/中国は反対した。一方、ニュージーランドは同問題は「予測」案件とともに議論するべきだと提案した。米国およびニュージーランドは、緩和・適応技術を評価する方法論に関する情報に関する議論を含める共同議長提案はSBSTAの進行中の作業と重複すると述べたが、EUはこれに反対した。

焦点を貿易問題外に広げるよう提言するとともに、カナダはクリーンもしくは温室効果ガス排出の少ないエネルギーに関する議論を含むべきだと示唆したが、これはサウジアラビアとEUに反対された。ニュージーランドは議定書実施の影響に関する方法論の議論は「推測」のトピックに含まれるべきだと述べたが、これにはサウジアラビアが反対した。EUは締約国の貢献を決定する方法論を議論するよう要請したが、これには日本、米国、カナダ、中国、ニュージーランドが反対した。

現在の計画された活動に関しては、ニュージーランドが国のシステムの実施に関する情報交換に関する作業をさらに詳細に詰めるべきであると述べた。共同議長は結論書案を作成することに同意した。

技術移転:

このグループは共同議長結論書案を検討した。EUはGEFに対する指針に関する同案を、GEFへの追加的ガイダンスについての議題項目のもとではなく、SCCFに関する議題項目において検討用にSBIに提出することを示唆した。他のコンタクトグループで上ったGEFガイダンスに関する情報に対応するために、SBI議長のStoycheva氏によって考案された手順について事務局が明確化した後、締約国はSCCFについての議題項目のもとで同案を提出することに合意した。

カナダはSBSTAが行う技術移転の作業は、他のフォーラムの作業を補完することを示唆し、締約国はそれを留意することに合意した。タイは技術ニーズに関する情報を関連組織が供給する必要性を強調した

非公式折衝

CDM吸収源:参加者はプラスおよびマイナス両方のリーケージを計算する選択肢について話し合い、クレジットの期間をある特定の期間に制限するべきか、更新可能にするべきかに関する協議を行った。交渉は一日中続いた。

廊下で

水曜日のSCCFコンタクトグループでの誠意ある意見交換の後、木曜日は決定書案に関するコメントの一般的ラウンドになるはすであったが、その流れは突然停止した。参加者は、自主的基金に技術移転の義務を含めることなど、基金を運用可能にするために必要な次期措置に関して意見を対立させた。COP-8で行われた議論を反映した会合では、デリーの決定書を実現しCOP-9で基金に関する交渉を結論づけるためには多くの仕事が山積みになっていることは明らかであった。それゆえ基金の野心的な活動範囲を実現するためのリソースを動員する作業も開始しなくてはならない。資金は2005年から入手可能になるというボン宣言の締約国によるCOPプレナリーの発表のすぐ後であるだけに興味深い。

今日の注目点

SBIコンタクトグループ: コンタクトグループは、非附属書T締約国および附属書T締約国の国別報告書、2004−2005年プログラム予算、キャパシティービルディング、SCCF、決定書5/CP7の実施に関する話し合いのために召集される。

SBSTAコンタクトグループ: コンタクトグループはR&SO、 IPCC TAR、 手順問題、CDM吸収源、LULUCFグッドプラクティスガイダンス関して会議を行う。