地球環境
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Vol. 12 No. 242
2004年6月28日月曜日

国連気候変動枠組条約第20回補助機関会合サマリー

2004年6月16-25日




国連気候変動枠組条約(UNFCCC)補助機関の第20回会合(SB-20)は、2004年6月16-25日、ドイツ、ボンの Maritimホテルで開催された。161カ国の政府、一つのオブザーバー国、そして134の政府間組織や非政府組織、その他のオブザーバー組織やメディア発信機関から約1,350名の出席者が参加した。会期中を通し、締約国は、科学的・技術的助言に関する補助機関(SBSTA)および実施に関する補助機関(SBI)のプレナリーセッション、いくつかのコンタクトグループおよび非公式折衝で会合した。SB-20で、締約国は、多数の結論書を採択し、決定書草案をCOP-10での審議に回した。特に、SBSTAは、クリーンな開発メカニズム(CDM)規定小規模新規植林および再植林プロジェクト活動、土地利用、土地利用の変化、森林(LULUCF)に関する優れた実践方法ガイダンス、温室効果ガス・インベントリー、国際航空輸送および海上輸送用の燃料からの排出量、議定書7条(情報の連絡)および8条(情報の検討)関係の問題を含め、手法問題を検討した。また締約国は、気候変化への脆弱性および適応、そして気候変化の影響の科学的、技術的、社会経済的側面、さらには緩和の科学的、技術的、社会経済的側面についても議論した。

SBI は、非附属書I国別報告書、キャパシティビルディング(能力向上)、UNFCCC4.8条(悪影響)および4.9条(最後進国)の実施、UNFCCCの資金調達メカニズム、政府間会合の調整、そして運営上および資金上の問題を取り上げた。

SBSTA-19で義務付けられた2回のセッション中ワークショップも開催された。これらのワークショップは、気候変化への脆弱性と適応そして気候変化の影響の科学的、技術的、社会経済的側面、さらには緩和の科学的、技術的、社会経済的側面を取り扱うものであった。適応に関するワークショップは、6月18日金曜日に開催され、緩和に関するものは、6月19日土曜日に行われた。両ワークショップとも SBSTA議長のAbdullatif Benrageb (リビア)が議長を務めた。他に二つのSBSTAイベントが、6月21日月曜日に行われ、一つは気候変動に関する政府間パネル (IPCC)の第三次評価報告書に対応する研究について、そしてもう一つは締約国の歴史的排出量が気温上昇に与えた影響に基づき、締約国の排出削減目標を差異化するとのブラジル案に関するものであった。

SB-20は、全般に低調であまり深刻な対立は見られなかったが、会議で何もおきなかったわけではない。特に、プロセスの中ではいくつか新しい革新的なものおよび技術的な複雑さを増したものが見られた。参加者は、COP-10、そして京都議定書に関するロシアの意図についてのニュースに目を向けている。
UNFCCCと京都議定書の簡略史
気候変動は、持続可能な開発に対する最も深刻な脅威の一つと考えられ、人間の健康、食料の安全保障、経済活動、水などの自然資源、物理的な構造基盤に悪影響を与えると見られる。地球の気候は、自然にも変化するが、科学者たちは、人為的に排出される温室効果ガスの地球大気濃度上昇が、気候の変化に結びついていることでほぼ意見の一致をみている。IPCCによると、気候変化の影響はすでに観測されており、科学者の大半は、予防的かつ速やかな行動が必要であると考えている。

気候変化に対する国際政治の対応は、1992年のUNFCCCの採択に始まる。UNFCCCは、気候システムへの「危険な人為的干渉」を避けるため、温室効果ガスの大気濃度安定化を目的とする行動枠組を策定している。管理されるガスには、メタン、亜酸化窒素、そして特に二酸化炭素が含まれる。UNFCCCは、1994年3月21日に発効、最近のトルコの加盟を得て、現在、189の締約国を有する。

京都議定書:
1995年、UNFCCC第一回締約国会議(COP-1)は、ベルリンマンデート・アドホックグループを結成、気候変化と戦うための努力強化に関する合意について交渉することとした。1997年12月、日本の京都でのCOP-3にいたる厳しい交渉の末、参加者は、先進国および経済移行国(EITs)が排出削減の数量目標達成を約束するUNFCCC議定書での合意に達した。UNFCCCでは附属書I締約国とされるこれら諸国は、2008年から2012年の間(第一約束期間)で、6つの温室効果ガスの全体排出量を1990年比、少なくとも5%削減し、国により異なる特定目標を有することで合意した。また議定書では、附属書I締約国が、費用効果性の高い形で自国の目標を達成できるよう、支援する3つのメカニズムが設定されている:排出量取引システム、附属書I締約国同士の排出削減プロジェクトの共同実施(JI)、そして非附属書I(開発途上国)締約国で実施されるプロジェクトに対し認められるクリーンな開発メカニズム(CDM)である。

以後の会合で締約国は、各国が排出量を削減し、排出削減量を計測、評価する方法を決定するための多くの規則や運用細則について、交渉した。議定書が発効するには、UNFCCC締約国55カ国が批准し、さらに1990年の附属書I締約国による二酸化炭素排出量合計量のうち少なくともその55%に相当する附属書I締約国が批准する必要がある。これまでに122の締約国が議定書を批准しており、これには、発効に必要とされる排出量の44.2%に相当する、32の附属書I締約国が含まれている。

ブエノスアイレス行動計画:
1998年11月、締約国は、アルゼンチンのブエノスアイレスでのCOP-4で会合し、ブエノスアイレス行動計画(BAPA)として知られる一連の決定書について合意した。BAPAは、議定書の運用細則について、またUNFCCCの実施強化について、合意する期限をCOP-6と定めた。取り上げるべき問題には、締約国の遵守評価体制、国別排出量および排出削減量の会計手法、国別炭素吸収量に対するクレジット提供規則などが含まれる。UNFCCC規定の問題で、解決が求められるものには、キャパシティビルディング(能力向上)の問題、技術開発と技術移転、気候変化の悪影響に特に脆弱な途上国への支援、先進工業国が気候変化に対応するための行動の問題が含まれる。

COP-6パートI:
COP-6は、2000年11月13-25日、オランダのハーグで開催された。交渉の第二週、COP-6議長のオランダのJan Pronkは、ハイレベル非公式プレナリーセッションを開いて、意見対立のある多数の政治的および技術的問題に関する交渉を進めようと試みた。最後の2日間の36時間近くにおよぶ集中討議の末、交渉担当者は、特に資金問題、メカニズムの補足的な利用、議定書の遵守、LULUCFに関するものなど、一連の題目で、合意に達することができなかった。11月25日土曜日の午後、Pronk議長は、合意に達せなかったと発表し、締約国は、COP-6を中断して、2001年に交渉を再開すると決定した。

COP-6パートII:
2001年3月、米国の政権は、議定書が米国経済に害を与え、しかも主要な途上国が排出削減目標から除外されているため、「致命的な欠陥」があると考えると述べて、京都で達成された合意を拒否した。締約国は、2001年7月16-27日、ボンでCOP-6パートIIの会議を再開した、長時間の折衝後、Pronk議長は、政治的決定書案を議長提案した。いくつかの締約国が支持したが、遵守体制の性質に関する意見対立が表面化した。数日間の折衝後、閣僚たちは、遵守に関する部分を修正した上、Pronk議長の政治的な決定書を採択することで合意した。この政治的な決定書または「ボン合意」は、COP 決定書として運用可能にされる必要があった。これらの決定書は、一つの「パッケージ」と考えられ、メカニズム、遵守およびLULUCFについては合意に達しなかったことから、全ての決定書草案がCOP-7にまわされた。

COP-7:
参加者は、2001年10月29日から11月10日、モロッコのマラケシュでのCOP-7で、「ボン合意」に関する議論を続けた。長い交渉の末、LULUCF、メカニズム、議定書5条(手法問題)、7条および8条、そして持続可能な開発に関する世界サミット(WSSD)へのインプットについて、パッケージ取引が提案された。この取引文書は、大半の地域グループに受け入れられたが、オーストラリア、カナダ、日本、ニュージーランド、ロシア連邦を含めた一部の附属書I締約国は、この同意に加わらず、メカニズムの規定における資格条件やクレジットのバンキングを含め、種々の問題で論議した。しかし、集中交渉の末、「マラケシュ合意」が、合意された。

COP-8:
COP-8の参加者は、2002年10月23日から11月1日、インドのニューデリーで会合した。締約国は、議定書における組織的および手続き的な問題を取り上げ、CDM理事会の規則や手続きに関するものを含め、いくつかの決定書を採択した。COP-8の最終日、気候変化と持続可能な開発に関するデリー宣言が採択された。この宣言書は、開発と貧困撲滅が、途上国にとり、何よりの優先課題であることを再確認し、締約国の「共通するが差異のある責任」およびUNFCCCの約束実施における各国の開発優先性や国情を認識している。

SB-18:
SB-18の参加者は、2003年6月4-13日、ボンで会合した。締約国は、COP-8以後の交渉課題を引き続き取り上げ、議定書の発効に向けての準備を継続した。議定書5条、7条、8条に関するものを含め、いくつかの議題の結論書で合意がなされた。事務局の2004-2005年度プログラム予算および気候変動特別基金の問題は、特に難しいことが明らかとなり、議論は、COP-9まで未解決のまま残された。

COP-9:
2003年12月1-12日、締約国は、22の決定書といくつかの結論書を採択するため、イタリア、ミラノのCOP-9とSB-19で会合した。締約国が、CDM規定新規植林および再植林プロジェクト活動に関する手法と手続きについて合意したことで、BAPAで最後に残っていた詳細も確定された。SB-18からの事務局の2004-5年度プログラム予算に関する議論は終了し、締約国は、予算の9%増で合意した。気候変動特別基金および最後進国(LDC)向け基金の運営に関する交渉は、挑戦的なものであることが明らかとなり、LDC基金についての議論は長引いて、COPの閉会自体も延長させることとなった。LULUCFの優れた実践方法ガイダンスに関する交渉も長くなり、SB-20での審議にゆだねることとなった。
SB-20報告
科学的・技術的助言に関する補助機関(SBSTA)は、SB-20の期間中、5回、会合した。SBSTAでの審議に向けた結論書草案、COP決定書や結論書、京都議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議(COP/MOP)のための決定書草案の作成を助けるため、プレナリーセッションのほかにコンタクトグループが結成され、さらに非公式折衝も企画された。締約国は、これらの会合において、各種手法問題を取り上げており、この中には、議定書規定LULUCF活動のための優れた実践方法ガイダンス、伐採木材製品などLULUCFに関係する問題、CDM規定小規模新規植林および再植林プロジェクト活動のための簡素化規則および手続き、国際航空輸送および海上輸送で使用される燃料から生じる排出量、温室効果ガス・インベントリーに関係する問題、議定書7条と8条に関係する問題、そして議定書7.4条規定の登録簿システムに関係する問題が含まれていた。また締約国は次の項目も取り上げた:技術開発と移転、附属書I締約国での政策措置における「優れた手法」、研究と体系的観測、気候変化 (適応) の影響の科学的、技術的、社会経済的側面、そして気候変化に対する脆弱性および適応の科学的、技術的、社会経済的側面、緩和の科学的、技術的、社会経済的側面、そして関係する国際機関との協力。そのほか取り上げられた問題には、クリーンなまたは温室効果ガス排出が低いエネルギー、議定書2.3条(政策措置の悪影響)の実施が含まれていた。

実施に関する補助機関(SBI)も、SB-20の期間中、5回、会合した。SBSTAと同様、SBIプレナリーセッションは、SBIで検討される結論書草案やCOP決定書草案での交渉のため行われたコンタクトグループおよび非公式折衝で補われた。SBIは、附属書I 国別報告書を含めた各種の問題、および第二回国別報告書提出、当てはまる場合には第三回国別報告書の作成、非附属書I国別報告書に関する専門家諮問グループでの作業、そして資金面、技術面での支援提供など、非附属書I 国別報告書の多様な側面を議論した。また、締約国は、他の問題もいくつか取り上げており、これには次のものが含まれる:UNFCCCの資金メカニズム、決定書5/CP.8(資金メカニズムの検討)の実施、UNFCCC6条(教育、訓練、啓発)、キャパシティビルディング(能力向上)、決定書5/CP.7(UNFCCC4.8条と4.9条の実施)の活動実施における進展を含めた4.8条と4.9条の実施、そしてLDCsに関係する問題。また、締約国は、COP-10のための調整、将来のセッション間期間、政府間プロセスの組織、UNFCCCプロセスへの有効参加、COP/MOP-1に向けた調整など、政府間会合に関する調整を検討した。さらに、SBIは、2004-2005年の予算実績、UNFCCCプロセスへの参加に対する資金支援に関係したUNFCCCの資金手続き7(c)項の実施を含めた、運営上および資金上の多様な問題を検討した。本部契約の実施、および事務局の機能・運営の継続レビューも、考察された。
科学的・技術的助言に関する補助機関
セッション開会:SBSTAのAbdullatif Benrageb (リビア)議長は、6月16日水曜日朝、SBSTA-20を開会した。UNFCCCエグゼクティブ・セクレタリーのJoke Waller-Hunterは、トルコをUNFCCCの189番目の締約国として歓迎した。その後、参加者は、議題書(FCCC/SBSTA/2004/1)を修正なしに採択した。

手法問題:LULUCFのための優れた実践方法ガイダンス:
この問題は、6月16日水曜日のSBSTAプレナリーで初めて扱われ、その後は コンタクトグループで取り上げられた。このコンタクトグループは、6月18-24日で5回会合しており、Audun Rosland (ノルウェー) とWilliam Kojo Agyemang-Bonsu (ガーナ)が. 共同議長を務めた。非公式 折衝も、結論書草案作成努力や、COP-10での採択を目指す決定書草案の交渉の一環として、開催された。6月25日金曜日、SBSTAはこの問題に関する結論書を採択した。

コンタクトグループは、議定書規定の活動における優れた実践方法ガイダンス、伐採木材製品の問題、そしてそのほかLULUCFに関係する問題を取り上げた。議定書規定LULUCF活動からの温室効果ガス・インベントリー年次報告書作成用の、共通報告様式の表を完成させるため、Maria Jose Sanz (スペイン) を議長とする草案作成グループが組織された。

IPCC優れた実践方法ガイダンス専門家が、議定書規定 LULUCF活動に関するプレゼンテーションと質疑応答のため、第一回コンタクトグループ会合に招かれた。

優れた実践方法ガイダンスの共通報告書様式に関する議論は、報告されるLULUCF活動の地理的位置を識別する二つの方法に、集中した。小島嶼国連盟 (AOSIS)は、より詳細な土地識別法の利用を支持したが、EUおよび他のほとんどの締約国は、行政単位の土地識別を支持した。草案作成グループ内での集中審議後、議定書6条(共同実施)に関係するLULUCF活動の識別に関するものを除いた、共通報告様式の表での最終合意がなされた。締約国は、共同実施プロジェクトに関係する活動を特定するためのコードシステムの利用では、合意しなかった。

伐採木材製品の問題に関し、参加者は、2004年8月/9月に、ノルウェーのリリハンメルで開催が予定されるワークショップの委託条件と企画について議論した。

他のLULUCF問題に関し、参加者は、森林の劣化および他の植生タイプの非植生化の定義と、これらに関係する手法オプション、LULUCF活動の間接的および自然の効果から、直接的、人為的な効果の要素を抽出する問題について、議論した。オーストラリアは、米国、カナダ、日本、ニュージーランドとともに、LULUCF問題の広範なアプローチ、具体的には制限のない政策論議を、支持した。EU、AOSIS、G-77/中国は、焦点を定めたアプローチを望み、COP-10後に技術ワークショップを開催して、締約国の提案を検討するよう提案した。要素抽出にどう言及するかでも議論があり、G-77/中国は、マラケシュ合意に特定する引用を提案したが、他のものは、締約国の提案を含めた、より一般的な引用を望んだ。G-77/中国は、要素抽出に関してSBSTA-21で総括ペーパーを提出すると述べた。

6月25日金曜日、SBSTAは、優れた実践方法ガイダンス、伐採木材製品、他の多様なLULUCF問題に関する結論書を採択した。また締約国は、共通報告様式の表を含めたCOP決定書案で括弧書きが含まれたもの、そしてCOP/MOP決定書 (FCCC/SBSTA/2004/L.15/Add.1)草案で括弧書きが含まれたものを含め、SBSTA-21で検討されるべき結論書を採択した。

SBSTA結論書:
LULUCFに関する結論書(FCCC/SBSTA/2004/L.15)で、SBSTAは、IPCC’の優れた実践方法ガイダンスに含まれる手法ガイダンスに留意し、議定書3.3条(新規植林、再植林、非森林化)と3.4条(追加LULUCF活動)に規定されるLULUCF活動向け温室効果ガス・インベントリーを報告するための共通報告様式の表を、考察した。結論書では、共通報告様式の表の識別コードが、議定書6条規定のLULUCFプロジェクトと関連付けることができるか、最終的な決定は行わず、また3.4条規定の森林管理報告に関係する情報についても、最終決定は行っていない。これらの問題は、COP-10に対し優れた実践方法ガイダンスに関する決定書草案を提案するとの観点から、SBSTA-21で、再度取り上げられることになる。また、結論書は、UNFCCC事務局に対し、COP-11に対する決定書提案のため、LULUCFからの排出量および除去量の推定値について、議定書5.2条(調整)規定の調整を行う手法に関する技術ガイダンスの提案を含めた、メモを作成するよう、要請する。SBSTA-22は、3.3条および3.4条に規定するLULUCF活動からの排出量および除去量に関する情報の提供を怠った場合に用いられる基準について、COP/MOPでの検討と採択を目指して、議論する。

伐採木材製品に関し、SBSTA結論書は、この問題に関して近日予定されるワークショップで、伐採木材製品の定義と、推定、報告、会計の範囲、社会経済的および環境上の影響を含めた伐採木材製品の会計手法、木材製品の推定や報告を行う方法を取り上げる。ワークショップは、プレゼンテーション、グループ作業、そしてプレナリーでの議論が含まれるべきである。

他のLULUCF問題に関し、SBSTAは、劣化および非植生化についてのIPCC報告書に留意し、この問題を将来のセッションで取り上げ、SBSTA-21では、他のLULUCF問題に関する締約国の提案を議論すると決定する。

CDM規定小規模新規植林および再植林プロジェクト活動:
この問題は、6月16日水曜日のプレナリーでSBSTAがはじめて取り上げ、その後6月17日木曜日から6月23日水曜日の間に4回会合した、Thelma Krug (ブラジル) を議長とするコンタクトグループで取り上げられた。このコンタクトグループは、CDM規定小規模新規植林および再植林プロジェクト活動のための簡素化規則および手続きに関するテクニカルペーパーと結論書草案を検討した。SBSTAは、6月25日金曜日のプレナリーで、結論書を採択した。CDM規定小規模新規植林および再植林プロジェクト活動のための簡素化規則および手続きは、結論書草案の附属書で括弧書きがついたものに含まれている。

締約国は、バンドリング(取引コスト軽減のため、小規模プロジェクトをまとめる)、リーケッジ(プロジェクト活動の外の区域での排出量増加に結びつく、活動の意図しない結果)、低所得自治体の定義、そしてモニタリングに関する問題を解決することができなかった。バンドリングに関し、ボリビアは、多様な小規模プロジェクトを統合するよう提案したが、AOSIS、ブラジル、EU、中国はこれに反対した。この問題は、SBSTA-21でのさらなる議論にまわされた。リーケッジに関し、日本は、モニタリングコストの高さ、そしてプロジェクト規模が小さく大きな影響が出る可能性が低いことから、リーケッジを免除することを望み、カナダとインドはこれを支持したが、AOSIS、ブラジル、EUは反対した。EUは、リーケッジを計算に入れるため、余分の追加除去量の割合(を組み入れるー訳注)というオプションを提案した。何回かの非公式折衝の末、締約国は、特定の状況では、割引率を適用してリーケッジに対処し、他の場合にはリーケッジを想定しないとすることで合意した。また参加者は、モニタリングの質の保証と管理がCDM理事会の責任であることでも、合意した。参加者は、認定運営機関によるプロジェクト活動の検証手続きについて議論した。この問題および簡素化ベースラインおよびモニタリング手法についての議論は、終了せず、SBSTA-21で再度、取り上げられることになる。

SBSTA結論書:結論書(FCCC/SBSTA/2004/L.9)で、SBSTAは、CDM規定小規模新規植林および再植林プロジェクト活動のための簡素化規則および手続き、そしてそのような活動の実施を進める措置に関する締約国提案に示された情報を歓迎した。また、この問題に関するテクニカルペーパーにも留意した。SBSTAは、SBSTA-21での議論に向け、CDM規定小規模新規植林および再植林プロジェクト活動のための簡素化規則および手続き、およびこれらプロジェクト活動の実施を促進する措置に関する、決定書文書案の作成を要請した。また、SBSTAは、COP-10採択の決定書を提案するとの観点から、この作業をSBSTA-21でも継続することで合意した。

国際航空輸送および海上輸送で使用される燃料からの排出量:
この問題は、6月17日木曜日のSBSTAプレナリーではじめて取り上げられた。締約国は、結論書草案について検討するため、Greg Terrill(オーストラリア)が進行役を務める非公式折衝で会合した。

いくつかの締約国が、UNFCCC、IPCC、国際民間航空機関、国際海事機関での協力の重要性を強調した。いくつかの開発途上締約国は、報告手法策定の必要性を強調した。ツバルとケニアは、SBSTAがこの問題に関するガイダンスをさらに拡大するべきだと述べたが、カナダはこれに反対した。

6月25日金曜日、SBSTAプレナリーで、進行役のGreg Terrillは、国際航空輸送および海上輸送からの排出量に関係する手法問題についてIPCCへの文書 (FCCC/SBSTA/2004/INF.5)を送ることでの合意に達しなかったと報告した。その後の議論で、サウジアラビアはG-77/中国に代わり、手法や報告書作成に関する附属書I締約国の責任を強調し、オマーンもこれを支持した。同代表は、共通するが差異のある責任の重要性を強調した。アルゼンチンは、情報収集と、この問題を議題として保持することの重要性を強調し、AOSISもこれを支持した。Benrageb議長は、文書の文節ごとでの検討を提案した。アルゼンチンは、国際航空輸送および海上輸送からの排出量についてはSBSTA-21で取り上げることを結論書に反映させるよう提案し、EUはこれを支持したが、クウェートとサウジアラビアはこれに反対した。非公式折衝後、進行役のTerrillは、国際航空輸送および海上輸送からの排出量に関する情報交換を目的としたワークショップまたはサイドイベントの開催について、締約国は合意に達することができなかったと報告し、結論書草案は、合意がなかったことを反映させる修正を行った上で、採択された。

SBSTA結論書:s:
In the 結論書(FCCC/SBSTA/2004/L.12)で、SBSTAは、この議題項目に関する議論は終了しなかったことを指摘し、議論は、SBSTA-21で再開されると述べた。

温室効果ガス・インベントリーに関する問題:
この問題は、6月16日水曜日、SBSTAプレナリーで最初に取り上げられ、その後、Helen Plume (ニュージーランド) とBranca Americano (ブラジル)が共同進行役を務める非公式折衝ももたれた。これらの折衝では、温室効果ガス排出量および傾向についての結果情報を含め、附属書I締約国温室効果ガス・インベントリーのテクニカルレビューに関係する活動について、事務局の報告書を取り上げることが求められた。また折衝では、これらの問題での追加ガイダンスの提供が求められた。

6月25日金曜日、プレナリーで、SBSTAは結論書を修正することなく採択した。専門家レビューサービスの合意は、結論書草案の附属書に含められた。

SBSTA結論書:
結論書(FCCC/SBSTA/2004/L.6)で、SBSTAは、附属書I締約国温室効果ガス・インベントリーのテクニカルレビューに関係する活動についての報告書を歓迎し、インベントリー筆頭レビュワー会議およびレビュー専門家研修プログラムを含めたこれらの活動が、レビュープロセスの効果と効率、インベントリーの質とCOPが利用できる情報の信頼性に貢献してきたことを指摘した。SBSTAは、事務局に対し、これらの活動を継続し、附属書I温室効果ガス排出量と傾向に関する対COP年次報告書をさらに改善し、附属書I締約国温室効果ガス・インベントリーのテクニカルレビュー関係活動についての報告書に、現年度インベントリーからのデータも含めるよう、要請する。もしこれらインベントリーが、事務局の品質管理手続きの対象となる場合には、SBSTAは、2005年のインベントリー提出に、新しい共通報告様式ソフトウェアを利用するよう、附属書I締約国に勧める。またSBSTAは、暫定的な電子ワークシートを用いて、2005年のLULUCF部門に関するインベントリー情報を提出するよう 附属書I締約国に要請する。

議定書7条と8条関係問題:
この問題は、6月16日SBSTAプレナリーで最初に取り上げられた。非公式折衝は、Helen Plume (ニュージーランド)とBranca Americano (ブラジル)が共同進行役を務め、温室効果ガス・インベントリー(前項参照)関係問題に関する非公式折衝と関連付けて行われた。6月25日金曜日、締約国は、COPおよびCOP/MOP決定書草案を含めたSBSTA結論書を採択した。EUは、この問題に言及して、温室効果ガス・インベントリーの毎年のレビューを行う専門家レビューチームが、締約国の機密と目される情報を含め、全ての必要な情報にアクセスすることの重要性を指摘したが、米国は、機密情報保護の重要性を強調した。

SBSTA結論書:
結論書(FCCC/SBSTA/2004/L.7)で、SBSTAは、専門家レビューチームに附属書I締約国の機密インベントリー情報へのアクセスを提供する方法に関し、COP/MOP決定書草案を含めた、COP-10向け決定書の提案を決定した。またSBSTAは、CDM規定新規植林および再植林プロジェクト活動の規則および手続きを、議定書7条および8条に基づくガイドラインの関連セクションに組み込むことに関し、COP-10向けの決定書を提案する。

COP決定書草案:
温室効果ガス・インベントリーのテクニカルレビューおよび8条の実施に関係する問題についての決定書草案(FCCC/SBSTA/2004/L.7/Add.1)で、COPは、附属書I締約国でそのインベントリーに機密と認定される情報が含まれている国に対し、決定書12/CP.9 (附属書I締約国温室効果ガス・インベントリーのテクニカルレビュー関係問題)に採用する機密情報の取り扱い実施規則に基づき、専門家レビューチームの要請があれば、国内での集中レビューの期間中、当該情報を提供するよう、要請する。決定書草案では、COPは、附属書I締約国が、自国の裁量において、そしてUNFCCC事務局と協力し、専門家がレビューを受ける国にいない場合、またはUNFCCC事務局オフィスにいない場合、適切な手続きをとり専門家レビューチームが、機密のインベントリー情報を利用できるようにすることに、合意する。決定書は、COPが、事務局に対し、専門家レビューチームが、レビュー期間中、機密情報にアクセスできないことが知られている附属書I締約国に対し、机上のレビューを計画するのを避け、レビュー国内での集中レビューを計画することを、要請するとしている。

添付したCOP/MOP決定書草案で、COP/MOPは、以前のCOP 決定書草案が適用される、つまり、専門家レビューチームは附属書I締約国が機密であると認定した関連の必要情報でチームがアクセスをもたないものに留意し、専門家レビューチームはチームが機密情報にアクセスする機会を与えられなかった約束期間の該当年度について遡って調整を行うよう提案することが可能であり、さかのぼっての調整ではレビューされている現インベントリー年度での調整だけが7条関係の資格要件にあてはまるとするべきであり、当該約束期間の最終年度に提出されたインベントリーでは全ての附属書I締約国が国内のまたは集中的なレビューの対象となるべきである、と決定する。

CDM規定新規植林および再植林プロジェクト活動の規則と手続きを、議定書7条と8条規定のガイドラインに組み入れるとの決定書草案(FCCC/SBSTA/2004/L.7/Add.2)には、4つの附属書が含まれる、これらは次のことに関するものである:議定書7.1条規定の補足情報の報告;議定書7.2条規定の補足情報の報告;議定書3.7条と」3.8条(排出削減単位、認証排出削減量、一時的認定排出削減量、長期認定排出削減量、割当量単位、除去量単位)に基づく、割当量に関する情報の検討、および国内登録簿のレビュー。

議定書7.4条規定の登録簿システムに関係する問題:
この問題は、6月16日水曜日、SBSTAプレナリーで最初に取り上げられ、その後は、Murray Ward (ニュージーランド)が進行役を務める非公式折衝で扱われた。6月25日金曜日、締約国はこの問題に関する結論書を採択した。

SBSTA結論書:
結論書(FCCC/SBSTA/2004/L.8)で、SBSTAが、登録簿システム間データ交換に関する技術基準の規格について事務局が行った進展状況を,特に歓迎し、この規格書の1.0版が、COP/MOP-1での採択に向けた決定書24/CP.8(議定書規定登録簿システム間でのデータ交換の技術基準)に提案するデータ交換基準の一般設計条件に基づいていることをSBSTA-21までに確実にする必要があることを強調し、独立した取引記録簿の開発進展の重要性を再確認し、この取引簿が2005年半ばには確立できる見込みであることを指摘する、ただし、時機よく資金が提供される限りであり、また事務局への一種の貢献として提供されるプログラムコードに対し行うべき修正の範囲にもよる。また、SBSTAは、締約国が設置する国内登録簿、CDM登録簿、独立取引簿および他の補足取引簿の管理者間に、効果的で、長期の協力を確保する必要性を強調した。

技術の開発と移転:
この問題は、6月16日水曜日、SBSTAプレナリーで最初に取り上げられた。Andrej Kranjc (スロベニア)とKishan Kumarsingh (トリニダード・トバゴ)が共同議長を務めるコンタクトグループは、6月17日木曜日から6月22日火曜日の間に、4回会合し、技術移転に関する専門家グループ(EGTT)の提供する情報に基づいて、結論書の草案作成を行った。締約国は、6月25日金曜日、SBSTAプレナリーで結論書を採択した。参加者は、UNFCCC技術情報センター(TT:CLEAR)の有効利用に関する調査結果を、結論書に反映させるかどうか、どのように反映させるか、EGTTの2005年度作業計画、技術の開発と移転目的の資金調達での革新的なオプションに関するワークショップ、そしてSBSTA-21で交渉されるべき、技術移転枠組みの実施強化に関する決定書での可能要素などについて、議論した。

SBSTA結論書:
結論書(FCCC/SBSTA/2004/L.2)で、SBSTAは、ビジネス、産業、非政府組織、関連国際機関が、部門別のワークショップおよびそのほかの技術移転を可能にする状況に関係する活動を企画するよう、奨める。SBSTAは、TT:CLEAR調査の結果に留意し、技術の開発と移転を目的とする資金調達での革新的なオプションに関するワークショップは、実用面を中心とし、事例研究に基づいて行われるべきであることを支持する。SBSTAは、 技術ニーズの評価を行っている途上国締約国に対し、技術支援を提供するよう、附属書I締約国およびそうするべき立場にある組織に、促す。また、UNDP、UNEP、そのほかの関連組織、および気候技術イニシアティブ(Climate Technology Initiative)に対し、技術ニーズの評価を完了するため、追加の地域ワークショップを開催するよう招請する。SBSTAは、UNFCCC4.5条(技術移転)の実施の進展と強化するための次の段階を反映した、決定書をCOP10に提出することを検討するよう促す。

SBSTA結論書は、UNDPに対し、UNEPおよびGEFとともに、次のことを行うよう求める:技術ニーズ評価の報告書を集め、途上国が特定した技術ニーズの分析を作成し、その結果をEGTTに報告する;SBSTA-21では、気候変化のための技術ニーズ評価を行うハンドブックの最新版を用意する;最初の技術ニーズ評価を終了、または自国のニーズ評価を最新版にしようとしている締約国に対し、さらなる技術支援を行うためのオプションを分析する。

SBSTAは、EGTTに対し、技術開発と技術移転を目的とする資金調達の革新的なオプションに関するワークショップの成果を検討するよう、要請する。また、EGTTに対し次のことを求めた:技術移転および技術移転のための and キャパシティビルディング(能力向上)が考えられる他の地球規模の条約やプロセスとの相互作用を強化するために可能な方法を探究し;SBSTA-22でその進展状況を報告し;環境にやさしい技術の開発を目的とする附属書I締約国と and 非附属書I締約国の共同研究プログラムの可能性、そして環境にやさしい技術の開発と移転に向けた能力向上を目的とする非附属書I締約国への奨学金やフェローシップへのアクセスを強化する方法を、特定することに関係する2005年度活動の作業計画を検討する。

最後に、SBSTA結論書は、革新的な資金調達方法に関するワークショップに関連付けて、EGTTの特別会議を企画し、事例研究を議論するため、気候変化への適応に対する技術移転のセミナーを企画することも、事務局に要請する。事務局は、気候変化への適応に対する環境にやさしい技術の適用について、テクニカルペーパーを作成し、TT:CLEARの維持を改善の作業を継続することが、求められる。

政策措置での「優れた実践方法」:
この問題は、6月16日水曜日、SBSTAプレナリーで最初に取り上げられた。Anders Turesson (スウェーデン)とTony Surridge (南アフリカ)が共同議長を務めるコンタクトグループは、6月21-23日に3回会合し、結論書の草案作成を行った。SBSTAは、6月25日金曜日、結論書を採択した。

議論の中で、決定書13/CP.7 (政策措置)にどう言及するかが論議の中心となった。EUおよび他の締約国は、決定書全体を言及の対象とすることを望み、サウジアラビアはG-77/中国に代わり、そのセクション、特に政策措置実施の悪影響に言及することを望んだ。タンザニアは、最後進国のために発言し、G-77/中国は、政策措置について共通の立場を有しないと述べた。参加者は、議論のたたき台として、COP-9.からのノンペーパーの最新版を用いた。これに基づいて、またEU、G-77/中国、米国の行った提案に基づいて、共同議長が結論書草案を作成した。

SBSTA結論書:
結論書(FCCC/SBSTA/2004/L.5)で、SBSTAは、決定書13/CP.7実施の次のステップで合意し、ステップは次のようでなければならないことを想起する:附属書I締約国間で、技術レベルの情報交換や経験の共有をすることにより協力しやすくする;全ての締約国および、あてはまるなら、環境やビジネスのNGOsが参加し、全ての関連部門で附属書I締約国が実行した政策措置に関する情報の交換を含める;そして政策措置の透明性、効果、比較可能性の改善に貢献する。また、SBSTAは、これらのステップでは、環境上の効果、費用効果の高いこと、社会経済的な影響、そして副次的な利益にも配慮するべきであることを指摘する。加えて、SBSTAは、附属書I締約国に対し、SBSTA-22のテクニカルラウンドテーブルでの議論で、政策措置実施の経験に関する情報を、全ての締約国に提供するよう、求める。また、SBSTAは、UNFCCC事務局に対し、政策措置での「優れた実践方法」に関する経験共有と情報交換で、特にインターネットベースの手法を用いるオプションについて情報を提供するよう要請する。

研究と体系的観測:
この問題は、6月16日水曜日、SBSTAプレナリーで最初に取り上げられた。締約国は、Stefan Rosner (ドイツ)とSok Appadu (モーリシャス)が共同議長を務めるコンタクトグループで、6月22日火曜日と6月23日水曜日に会合し、結論書草案について議論した。この問題の議論の中で、いくつかの締約国が、気候観測改善の目的で利用できる資金の不足を指摘した。地球気候観測システム(GCOS)事務局とWMOは、関連業務について報告した。コンタクトグループ会合で、参加者は、GEFと他の資金メカニズムから受け取った支援に関するGCOS事務局の報告について論議した。締約国は、地球規模観測に関係する地域行動実施についてのGCOS報告書と、SBSTA-21で検討される締約国提案のタイミングについて、議論した。SBSTAは、6月25日金曜日、結論書を修正することなく、採択した。

SBSTA結論書:
結論書(FCCC/SBSTA/2004/L.4)で、SBSTAは、気候に関するグローバルな総合観測システムの5-10年実施計画を策定したGCOS事務局による進展、なかでも公開レビューのための実施計画発表の功績を認め、GCOS事務局に対し、締約国や関連国際プログラムおよび国際機関が表明した意見に配慮した上で、この計画を完成させるため、行動の優先度を明確にするよう求め、この計画を完成させ、GCOSと地球観測に関するアドホックグループ間での、それぞれの担当実施計画策定における協調を歓迎し、両組織が、可能な限り統合することを促し、グローバル地球観測システム内で優先するものとして、グローバルな気候モニタリングを扱うことを強調し、締約国が、GCOS地域ワークショッププログラムに基づき策定した地域行動計画の要素の実施を追及し続けることを奨励し、GCOS事務局に対し、UNFCCC資金メカニズムや、他の二国間および多国間の機関およびメカニズムからの支援を含め、気候のグローバルな観測システムに関係する地域行動計画実施で行われた進展について、SBSTA-21および当てはまる場合にはその後セッションで検討するために、報告するよう、求めた。

SBSTA 結論書は、途上国での気候のグローバル観測システム改善のための優先性のあるニーズに対処する、特に、気候のグローバルな観測システムに関係する寄付活動のインベントリーを作成する計画に対処する、GCOS協力メカニズムで現在行われている発展を指摘した。SBSTAは、GCOS事務局に対し、WMOと協議して、SBSTA-22で検討するためのデータ交換問題に関する全体報告書を提供するよう求めた。特に、SBSTAは、既存のデータ交換問題を修正するオプション、および地球規模データセンターによる、そしてそれからのデータのアクセス可能性に関する問題についての助言を含めることを勧める。

SBSTAは、IPCC第三次評価報告書に対する反応での研究について、SBSTA-20のイベントで行われた意見交換を歓迎する。次の点が、さらに検討を必要とするものとして指摘されている:
研究活動の適切性を評価する必要性と、UNFCCCのニーズに応えるための国際協調
IPCC評価報告書から発生した研究のニーズに応える上では、自然科学と同様社会科学も重要であること、またこの両者の相互作用も重要であること。
地球規模気候変化研究努力に貢献するため、およびその努力に参加するための、途上国の能力強化
SBSTAは、SBSTA^20でのイベントから生じた主な課題に適切に対処する方法に関し、SBSTA-21での検討のため、それぞれの意見を2004年9月15日までに事務局へ提出するよう求める。SBSTAは、締約国に対し、追加の意見をSBSTA-22での検討のため、2005年1月24日までに事務局へ提出することも求める。事務局に対しては、両方の提出意見をその他文書にまとめ、SBSTA-22での検討のため、締約国の見解の統括を作成するよう求める。

適応と緩和:この問題は、6月18日と19日の2つのセッション中ワークショップで最初に取り上げられた。最初のワークショップは、気候変化の影響、そして気候変化に対する脆弱性と適応に関し、その科学的、技術的、社会経済的側面を考えるものである。第二のワークショップは、緩和の科学的、技術的、社会経済的側面を扱うものである。その後、締約国は、6月12日月曜日、プレナリーでこれらの問題を取り上げた。参加者は、David Warrilow (英国)とKok Seng Yap (マレーシア)が共同議長を務めるコンタクトグループで3回会合し、結論書草案について議論した。非公式 折衝も開かれた。SBSTAは、これらの問題に関する結論書を、6月25日金曜日に採択した。

6月21日プレナリーでの最初の議論で、いくつかの参加者が、将来のセッション中ワークショップ開催を提案した。多くの締約国が、地域モデル化を強調し、持続可能な開発政策を適応措置に組み入れることの重要性を指摘した。また参加者は、革新技術に取組むこと、脆弱な締約国の適応能力向上、長期の気候変化の影響と短期のニーズを分けることの重要性を強調した。南アフリカは、アフリカグループに代わり、適応と緩和に関するコンタクトグループを分けるよう呼びかけ、G-77/中国、AOSIS、ロシア連邦はこれを支持した。日本、オーストラリア、カナダ、米国、EUは、一つのコンタクトグループとすることを支持した。Benrageb議長は、一つのコンタクトグループで各項目につき、別の結論書草案にすることを提案した。

コンタクトグループの会合で、参加者は、結論書草案を検討し、将来のワークショップおよび活動の方式や、内容について議論した。締約国は、ワークショップへの高い出席率を確保する一方、交渉との重なりを避ける方法について、議論し、将来のワークショップでの議論で可能な主題を明らかにした。参加者は、検討されるべき主題や題目の数については、意見が一致しなかった。また特定の主題に関する背景情報や、締約国の提案、およびワークショップの報告書をまとめるよう、事務局に要求することの活用と可能な資源への影響について議論した。

閉会プレナリーで、中国は、SBSTA-20での適応と緩和を扱う一つのコンタクトグループ設置が、この問題に関する将来の決定書に向けた前例を作ることにはならないようにとの希望を表明した。

適応に関するSBSTA結論書:
適応に関する結論書(FCCC/SBSTA/2004/L.13)の中で、SBSTAは、セッション中ワークショップでの意見交換を歓迎し、事務局に対して、UNFCCCインターネットサイトに関するワークショップからの議長口頭報告文書を掲示するよう、求めた。SBSTAは、UNFCCCの実施を容易にするための実際的な機会や解決法に関し、締約国間での情報交換および経験や意見の共有に関する作業に引き続き焦点を当てることで合意した。SBSTAは、SBSTA-21において、影響、脆弱性と適応の評価、および適応と持続可能な開発の結びつきに関する評価のため、地域モデルを含めた手法およびツールの適用に関し、各国で異なる国情に配慮した上で、学習した教訓や、経験、意見を共有し、情報を交換することに、焦点を当てることで合意した。

SBSTA結論書は、下記を事務局に要請する:
SBSTA議長の指示の下、SBSTA-21の期間中にワークショップを企画し、上記に規定する主題に関する情報交換と経験および意見の共有を目的とした詳細の議論が行えるようにする。
関連する専門家団体での実践を参考に、影響と脆弱性の評価、および適応対策策定のため、地域モデルを含めた、手法やツールの適用に関する背景報告書を作成する。
適応と持続可能な開発の結びつきに関する公表報告書全てをUNFCCCインターネットサイトで入手できるようにする。
SBSTA-21ワークショップでの議論を進めるため、SBSTAは、締約国に対し、上記に言及する主題、およびSBSTA-20ワークショップについての見解を提出し、その他文書の中にまとめられるようにすることを、招請する。 SBSTAは、SBSTA議長に対し、ワークショップの概要を作成するよう要請し、また事務局には、この概要、およびワークショップでのプレゼンテーション、そして要約を、ワークショップ後できるだけ早期に、UNFCCCのインターネットサイトで利用できるようにするよう、要請する。SBSTAは、この議題項目の次の段階をSBSTA-21で決定すると合意した。

緩和に関するSBSTA結論書:
緩和に関する結論書(FCCC/SBSTA/2004/L.14)で、SBSTA は、セッション中ワークショップでの意見交換を歓迎し、事務局に対して、ワークショップでのBenragebの口頭による報告の文章をUNFCCCインターネットサイトに掲載するよう、要請する。SBSTAは、UNFCCCの実施を進めるための実際的な機会と解決法に関し、締約国間での情報交換、経験と意見の共有に、引き続き作業の重点を置くことで合意した。さらに、BSTAは、緩和の技術革新、展開、普及(障壁の特定と除去を含む)に関して学んだ、情報、経験、意見、教訓の交換、そして各国の国情に配慮した上での持続可能な開発に貢献する緩和の実際的な機会と解決法に焦点を当てることでも合意する。

SBSTA結論書は、事務局に対し、SBSTA議長の指導の下、SBSTA-21期間中のワークショップを企画し、上記に特定する主題に関しての情報交換、経験と意見の共有のため、詳細な議論を行えるようにするよう、要請する。また、事務局に対し、ワークショップのSBSTA議長総括、ワークショッププレゼンテーションと要約を、ワークショップ後できるだけ早期にUNFCCCインターネットサイト上で利用できるようにすることを、要請する。SBSTAは、この議題項目の次の段階について、SBSTA-21で決定することで合意する。

関係国際機関との協力:
この問題は、6月16日水曜日のSBSTAプレナリーで最初に取り上げられた。締約国は、セッション中を通して開催された非公式折衝で会合し、結論書草案およびCOP-10決定書草案について議論した。折衝の進行役は、Outi Berghall (フィンランド) とMarcela Main (チリ)が務めた。6月25日金曜日、締約国は、結論書を採択し、COP決定書草案をCOP-10へ送ることで合意した。

SBSTAプレナリーの開会において、参加者は、国連砂漠化防止条約、湿地に関するラムサール条約、国連食料農業機関、災害削減国際戦略(International Strategy for Disaster Reduction)の声明を聞いた。スイスは、ラムサール条約に永久オブザーバーの地位を提供するよう提案したが、パラウは、ラムサールは、共同連携グループ(Joint Liaison Group)の正会員であるべきだと述べた。いくつかの締約国が国内窓口間での調整を強調した。6月25日金曜日、コンタクトグループ共同議長のBerghallは、リオ条約間での実際的な協力を強化するには、追加の努力が必要であることを強調した。

SBSTA結論書:
結論書(FCCC/SBSTA/2004/L.3)において、SBSTAは、共同連携グループの作業における、ラムサール事務局の貢献の重要性を指摘し、引き続いての参加を奨励する。SBSTAは、リオ条約同士での協力強化オプションに関し、共同連携グループが行っている報告書作成作業計画に留意し、事務局に対し、この報告書が利用可能となり次第、SBSTAでの検討のため、提出するよう求める。SBSTAは、事務局に対し、生物多様性条約および砂漠化防止条約の事務局と、共同連携グループを介して情報交換を続け、既存の資源の中で、インターネットベースのアクセス改善によるものも含めた、利用可能なデータ同士のアクセス可能性を向上するよう招請した。SBSTAは、UNFCCC COPに対する生物多様性条約からのCOP-7での招請に応じて、UNFCCC COP-10による採択を目指す生物多様性および気候変化の問題に関する結論書草案を提案すると決定した。

COP結論書草案:
COP結論書草案(FCCC/SBSTA/2004/L.3/Add.1)で、COPは、事務局に対し、現在ある資源の範囲において、現在公表されている情報およびUNFCCCの締約国から提供されている情報に基づき、リオ条約の目的に相互支援を行う関連活動に関する情報を、共同連携グループに提供するよう、求める。また、COPは、締約国が、可能かつ適切である場合には、地方および国内レベルでの関連情報の交換を行い、国内専門家の参画を進めることで、リオ条約の国内レベルでの協調強化することを勧める。

その他の問題:クリーンなまたは温室効果ガスの排出が少ないエネルギーに関係する問題:
この問題は、6月17日木曜日、SBSTAプレナリーで取り上げられた。Benrageb議長は、この問題に関する非公式折衝を進め、SBSTAは、6月25日金曜日、結論書を採択した。Benrageb議長は、締約国が合意に達しなかったことへの失望を表明し、参加者に対し、SBSTA-21ではどう進めるべきか助言するよう求めた。ナイジェリアは、新しいアプローチが必要であると述べ、この問題を二国間ベースで扱うことを提案した。

SBSTA結論書:
結論書(FCCC/SBSTA/2004/L.10)の中で、SBSTAは、SBSTA-20での考察が終了していないことから、SBSTA-21でこの問題を引き続き考察することで合意している。

議定書 2.3条実施に関係する問題:
この問題は、6月17日木曜日、SBSTAプレナリーで取り上げられた。Benrageb議長は、非公式折衝を行い、SBSTAは6月25日金曜日、結論書を採択した。

SBSTA結論書:結論書(FCCC/SBSTA/2004/L.11)の中で、SBSTAは、SBSTA-20での考察が終了していないことから、SBSTA-21でこの問題を引き続き考察することで合意している。

セッション中ワークショップ:気候変化の影響の、そして気候変化に対する脆弱性および適応の、科学的、技術的、社会経済的側面:
6月18日金曜日、締約国は、気候変化のリスクアセスメントと理解、適応と持続可能な開発、解決法と機会に関するプレゼンテーションを聞き、議論を行うため、セッション中ワークショップでの会合を行った。本セッション中ワークショップの概要は次のサイトで閲覧可能である:http://www.iisd.ca/vol12/enb12236e.html.

緩和の科学的、技術的、社会経済的側面:
6月19日土曜日、参加者は、気候変化の緩和と他の政策および開発目的との関係、緩和の事例研究、気候の緩和技術に関するプレゼンテーションを聞き、議論を行うため、セッション中ワークショップでの会合を行った。本セッション中ワークショップの概要は次のサイトで閲覧可能である:http://www.iisd.ca/vol12/enb12237e.html.

SBSTAイベント:IPCC第三次評価報告書に対応した研究:
このイベントは、6月21日月曜日、開催され、オランダのアムステルダム大学Pier Vellingaを議長とした。参加者は、第三次評価報告書の主要な研究提案、政府による研究イニシアティブ、国際的なプログラムや国際機関による活動について、プレゼンテーションを聞いた。これらのプレゼンテーションおよびそれに続いての議論の概要は次のサイトで閲覧可能である:http://www.iisd.ca/vol12/enb12238e.html.

ブラジル提案:このイベントは、6月21日月曜日に行われ、Murray Ward (ニュージーランド)が議長を務めた。このイベントには、気候変化に対する貢献についてのモデル化および評価 (MATCH)、そしてブラジル案における政策オプションに関するプレゼンテーションが含まれた。ここでの議論の概要は次のサイトで閲覧可能である:http://www.iisd.ca/vol12/enb12238e.html.

セッションに関する報告書: SBSTA-20閉会にあたり、UNFCCCエグゼクティブ・セクレタリーは、決定書16/CP.9(2004-2005年度の二年間予算プログラム)の示す権限に基づき、SB-20で採択された結論書による資金上の影響の暫定評価についてコメントした。同代表は、多くの活動が資金を得られないままとなっている中、SB-20により補足活動向け信託基金に追加要求が出されていること、LDCsや小島嶼開発途上国(SIDS)からの参加者の参加に対する資金が少なくなっていることを、指摘した。同代表は、SBSTAとSBIが、8つの追加会合を行わなければならないとしていることを指摘した。また政府間プロセスに関するワークショップの要求から、プロセス改善の余地があることが示されていると認めた。

SBSTA報告者のIbrahim Bin Ahmed Al-Ajmi (オマーンOman)は、SBSTA-20に関する報告書草案(FCCC/SBSTA/2004/L.1)を提示し、これは修正なしに採択された。締約国は、Benrageb議長、参加者、UNFCCC 事務局への感謝の意を表した。Benrageb議長は、締約国の作業努力に感謝した上で、午後1:40会議の閉会を告げる槌をならした。
実施に関する補助機関
セッションの開会: SBI議長のDaniela Stoycheva (ブルガリア)は、6月16日水曜日の朝、SBI-20を開会した。カタールは、G-77/中国に代わり、議定書が次のセッション前に発効する可能性があることから、COP/MOP-1に向けた調整を検討するよう、SBI-20に要請した。

締約国は、G-77/中国の修正したSBI議題書 (FCCC/SBI/2004/1)を採択した。役員の選出に関し、Stoycheva議長は、Fadhel Lari (クウェートKuwait)が引き続きSBI の副議長を務め、Gonzalo Menendez (パナマPanama)が報告者となると述べた。

附属書I 国別報告書:第三次国別報告書のレビューに関する状況報告:
この問題は、6月16日水曜日SBIプレナリーで取り上げられた。EUは、附属書Iレビューの大半が終了し、UNFCCCインターネットサイトに掲載されていることへの満足を表明した。SBIはこの問題に注目した。

非附属書I国別報告書:
この問題は、6月16日水曜日、SBI プレナリーで最初に取り上げられ、その後、Sok Appadu (モーリシャス) を議長とするコンタクトグループが、6月19日土曜日から6月23日水曜日の間に5回会合した。このコンタクトグループで、締約国は、第二次国別報告書の提出、ならびに当てはまる場合には第三次国別報告書の提出、非附属書I 国別報告書に関する専門家諮問グループでの作業、資金援助および技術援助の提供について、議論した。その後、締約国は、6月25日金曜日、SBI プレナリーで、3つの結論書セットを採択した。

非附属書I国別報告書のタイミングに関する議論、および国別報告書のための資金調達に関する議論は、最も挑戦的なものであることが明らかとなった。第二次および第三次国別報告書の提出に関し、参加者は、提出のタイミングについて議論した。米国は非附属書I締約国が2年毎に温室効果ガスインベントリーを提出するべきだと提案し、G-77/中国はこれに反対した。非附属書I国別報告書のタイミングに関し、EUは3年間を提案、G-77/中国は6年間を提案した。

またEUは、非附属書I締約国が、前の国別報告書の大半が完成するのに先立ってでも、ただし前の国別報告書の提出後1年を経過しないうちに、国別報告書のための資金調達提案を提出することが求められるとの文章を提案し、G-77/中国はこれに反対した。G-77/中国は、一年間という言及が、GEFでの締め切りと解釈される可能性があることへの懸念を表明した。

6月25日金曜日、Stoycheva議長は、G-77/中国が、提出のタイミングに対処する文節に関し、パッケージ提案(FCCC/SBI/2004/MISC.3)を同日早くに提出したと、発表した。この提案は、特に非附属書I締約国で、第二次国別報告書、および当てはまる場合には、第三次国別報告書のためのプロジェクト提案を提出していない国に対し、以前に資金援助をされた活動の多くが終了する以前であっても、提出するよう要請する。またこの提案は、非附属書I締約国が、実際の国別報告書作成を目的とする資金の最初の支払いから5年間以内に、第二次、また当てはまる場合には、第三次国別報告書を提出するよう呼びかける。Stoycheva議長は、この文書について議論する時間がないことから、これはSBI-21にまわされると述べた。米国は、この文書に関心のある提案が含まれることを指摘し、締約国からの追加意見のため、開放しておくことを求めた。

SBI結論
書第二次国別報告書および当てはまる場合には第三次国別報告書の提出に関する結論書(FCCC/SBI/2004/L.10)で、SBIは、これに添付される括弧書きつきのCOP 決定書に関する議論をSBI-21でも継続すると決定する。

非附属書I国別報告書に関する専門家諮問グループの作業についての結論書(FCCC/SBI/2004/L.8)で、SBIは、複数年度作業プログラムの中で、活動に優先度をつける同グループの努力を歓迎する。同文書は、附属書II(先進工業)締約国、およびその他そうする立場にある締約国に対し、これらの活動への資金および技術支援を提供するよう、招請する。SBIは、LDC専門家グループおよび技術移転に関する専門家グループとの協力努力を、ならびに第一回温室効果ガス・インベントリーに関する実務研修ワークショップを開催するとのパナマの提案を、歓迎する。SBIは、専門家諮問グループとUNDP/GEF国別報告書支援プログラム間での密接な協力を呼びかける。

資金援助および技術支援に関する結論書(FCCC/SBI/2004/L.9)で、SBIは、115の非附属書I締約国による第一回国別報告書の提出、3つの第二回国別報告書の提出を歓迎する。 SBIは、固有のキャパシティビルディング(能力向上)および訓練に関係する非附属書I締約国のニーズと懸念に留意し、国内組織、地域および小地域の気候変化センターとエクセレンスセンター、特にLDCsおよびSIDSのそれを強化する必要性を再度指摘する。

条約の資金調達メカニズム:決定書5/CP.8の実施に関係する問題:
この問題は、6月16日水曜日、SBIプレナリーで最初に取り上げられた。Stoycheva議長は、Andrea Alban (コロンビア)およびSarah Hendry (英国)に対し、結論書草案作成を目的とするこの問題の非公式折衝の共同進行役を務めるよう要請した。

議論は、途上国によるUNFCCCの約束達成を支援するために必要な資金調達の評価、およびその報告書に含まれるべきデータに関し、報告書を作成するようにとの、事務局への要請に集中した。締約国は、結論書を採択した。UNFCCCエグゼクティブ・セクレタリーは、報告書作成にあたり事務局は情報、特にGEF文書からの情報、多国間による資金源に関する情報および国別報告書を利用しなければならないと理解していると、表明した。日本は、利用可能な資金額を共同で決定する上での、GEFとCOPそれぞれの役割を想起した。同代表は、報告書が、GEFとCOP間の合意メモによる権限を越えることへの懸念を指摘した。アルゼンチンは、第三次GEF資金補充が、限定されたもので、以前の資金補充より低額であったと述べ、資金額の減少への警戒感を表明した。同代表は、将来のUNFCCCセッションでのこの問題に関する折衝が、大きな成果を挙げることへの希望を表明した。

SBI結論書:
結論書(FCCC/SBI/2004/CRP.1)で、SBIは、GEF信託基金の第三回資金補充が成功し、多額のものであったことを歓迎する。同結論書は、第四回資金補充に関する議論へのCOPからのインプットは、UNFCCC、およびUNFCCCの実施に必要かつ利用可能な資金調達の決定に関するCOPとGEF委員会との間の合意メモの付属書の条項と一致するべきであることを指摘する。SBIは、UNFCCC事務局に対し、GEF事務局と協力し、開発途上締約国による約束遵守を支援するのに必要な資金の評価に関するCOP-10向け報告書を作成し、それが、COPとGEF委員会間の合意メモで規定する、UNFCCC実施に必要かつ利用可能な資金額を、GEFと共同て決定するのを助けるようにすることを、要請する。 この報告書は、COPの規定するガイダンスに基づき、UNFCCC実施に必要かつ利用可能な資金額レベルの決定に関する、合意メモで特定された情報やデータに基づくものであるべきだ。また、この報告書は、後日の段階で、結果の検証を可能にするため、報告書作成で事務局が用いた、データおよび手法も含めるべきである。この結論書は、COP-10での採択に向けた決定書草案作成の観点から、SBI-21でも議論を継続するべきであることで、合意する。

UNFCCC 6条:
UNFCCC 6条(教育、訓練、啓発) は、6月16日、SBIプレナリーで最初に取り上げられた。Markus Nauser (スイス)を議長とするコンタクトグループは、結論書草案を作成し、情報ネットワークセンターをさらに充実させるためのインプットを検討するため、6月18-23日に4回会合した。6月24日木曜日、SBI プレナリーで、締約国は、この問題に関係するSBI結論書を採択した。

議論は、第6条の活動のためのUNFCCC情報ネットワークセンター開設のため、事務局にガイダンスを提供することを求めた。議論は、情報センター開設のタイミングと資金調達に焦点が当てられた。また締約国は、6条に関するニューデリー作業プログラムの実施についての報告書の提出期限と内容も議論した。参加者は、報告書の中の情報を国別報告書に示される情報とどう関係づけるかを検討し、また情報センターの作業の第一段階での要素についても議論した。

SBI結論書:
結論書(FCCC/SBI/2004/L.6)で、SBIは、締約国に対し、2004年1月に開催されたアフリカ地域ワークショップで特定された重要分野での協力を勧める。SBIは、事務局に対し、国別報告書に含まれる情報およびその他事務局が受け取った情報に基づき、第6条実施での進展状況に関する中間報告書を、2004年8月15日までに作成するよう、要請する。提出についての報告書は、COP-10決定書草案の基礎となる。第6条情報ネットワークセンターの小規模モデルに関し、SBIは、次のものも含め、作業の進展状況をSBI-21で報告するよう、事務局に要請する:情報センターの組織本部のプロフィール;実施についての暫定的なスケジュール;および情報センター開設と実施のためのオプション、そしてその予想される資金面での影響。

SBIは、締約国に対し、およびそうする立場にある他の組織に対し、残された地域ワークショップへの資金提供を呼びかける。本結論書の付属書には、第6条情報ネットワークセンターの更なる充実に関する、締約国の総合的な見解と、事務局へのガイダンスを含める。

キャパシティビルディング(能力向上):
この問題は、6月16日水曜日、SBIプレナリーで最初に取り上げられ、その後Dechen Tsering (ブータン) を議長とするコンタクトグループで取り上げられた。このコンタクトグループは、6月18-22日、4回会合した。6月24日木曜日、締約国は、この問題に関するSBI結論書を採択した。

コンタクトグループでの議論は、特にキャパシティビルディング(能力向上)プロジェクトの指標を含めたキャパシティビルディング(能力向上)の範囲と効果に関するテクニカルペーパーの要素、レビューに寄与するテクニカルワークショップの必要性、気候変化への能力ニーズを評価する国内能力自己評価の関連性に集中した。

タンザニアはG-77/中国に代わり、米国および経済移行国に代わって発言したルーマニアとともに、途上国でのキャパシティビルディング(能力向上)の枠組実施に対する総合レビュー、および経済移行国 (EITs)でのキャパシティビルディング(能力向上)活動のまとめ、統合について、提供されている情報が不足していることへの懸念を表明した。これら代表は、総合レビューにはさらなる作業が必要であると主張した。EUと日本は、この立場に賛成しなかった。いくつかの締約国が、ギャップを明らかにする内容のある議論を歓迎した。締約国は、総合レビューに寄与するための実務者会合で合意した。

SBI結論書:
結論書(FCCC/SBI/2004/L.5)で、SBIは、特に途上国における決定書2/CP.7 (キャパシティビルディング(能力向上)実施を目的とする、途上国でのキャパシティビルディング(能力向上)活動の範囲と効果に関する決定書草案をSBI-21 で完成すると決定し、事務局に対して、COP-10での総合レビューに寄与することを目的とした、実務者会合を開き、その成果をSBI-21に提出し、EITsでのキャパシティビルディング(能力向上)活動の効果に関する追加情報を招請し、事務局がEITsでのキャパシティビルディング(能力向上) を目的とする枠組実施の効果に関する研究報告書を作成するよう求める。

UNFCCC4.8条と4.9条の実施:決定書 5/CP.7規定の活動実施における進展状況:
この問題は、6月16日水曜日、SBIプレナリーで最初に取り上げられ、その後、Mohamed Mahmoud Ould El Ghaouth (モーリタニア)および and Paul Watkinson (フランス)を共同議長とするコンタクトグループで取り上げられた。6月17日木曜日から6月23日水曜日にかけ、5回会合したこのコンタクトグループで、参加者は、SBI-19からまわされた文章について交渉した。締約国は、6月25日金曜日、SBI プレナリーで結論書を採択した。

締約国は、文書の構造について議論した。ケニアはG-77/中国に代わり、文書を小項目表題で再構成することを提案し、変更および追加の提案を配布した。

参加者は、括弧書きを除去する努力を行い、特に気候変化およびその対応措置の悪影響から生じる開発途上締約国特有のニーズや状況に対応する活動について提出された書類の統合、保険やリスク措置に関する見解の提出呼びかけ、地域ワークショップ、技術資源および資金源の動員に関する変更および追加を提出した。

また、参加者は、モデル化活動の状況に関するワークショップの成果および、その成果に関する行動を検討するかどうか、検討するならどういう形で、どの時期に行うかについて、代替文章案の議論を行った。締約国は、対応措置の影響に関する文章について、および経済多角化への対処と促進に関する文章についてのオプションの議論を行った。

ペルーは、GEF基金を利用するため適応プロジェクトの地球規模便益を証明することの難しさを強調した。ミクロネシアはAOSISに代わり、適応のためのデータ収集と技術を強調した。参加者は、気候変動特別基金、そして、気候変化やその他のGEF注目分野での適応に対処し、主流とするための努力を含めた決定書5/CP.7に対応して行われる活動についてのGEFからのフィードバックの頻度と様式について、議論した。

6月25日金曜日、コンタクトグループ共同議長のPaul Watkinsonは、大きな進展があったとはいえ、決定にはいたらなかったと報告した。アルゼンチンは、適応を、SBIとSBSTAの合同会議で取り上げるよう呼びかけた。Stoycheva議長は、COP議長団が、次の会合で、この問題に注意を振り向けることになるだろうと応じた。

SBI結論書:
結論書(FCCC/SBI/2004/L.11)で、SBIは、次のセッションでこの問題に関する課題の検討を継続すると決定する。

最後進国(LDCs)関係問題:
この問題は、6月16日水曜日、SBIプレナリーで最初に取り上げられ、LDC専門家グループ議長のLa’avasa Malua (サモア)は、2004年3月の同グループの会議について報告した。ガンビアは、次の専門家グループ会合の主催を申し出た。6月24日木曜日、SBIはこの問題に関する結論書を修正することなしに採択した。タンザニアは、締約国に対し、COP-10前で提案されているLDCs会議について連絡し、締約国に資金提供を招請した。

SBI結論書:
結論書(FCCC/SBI/2004/L.4)で、SBIは、LDC専門家グループ第二期(2004-2005)の作業プログラム提案を承認し、議長に対し、SBI-21でその最新の進展状況を報告するよう求める。

政府間会合の調整:
この問題は、6月17日木曜日、SBIプレナリーで最初に取り上げられ、その後は、この主題に関する結論書作成を目的とし、Karsten Sach (ドイツ) を議長とするコンタクトグループで取り上げられた。このコンタクトグループが検討した項目は、次のとおりである:COP-10に向けての調整;将来のセッション間期間;政府間プロセスの組織;UNFCCCプロセスへの効果的な参加;そしてG-77/中国の提案するCOP/MOP-1に向けた調整の追加小項目。このコンタクトグループは、6月18日金曜日から6月23日水曜日の間に3回会合した。締約国 は、6月24日木曜日に開催されたSBIプレナリーで結論書を採択した。

COP-10に向けての調整に関し、議論の焦点は、ハイレベルセグメントのタイミングと構造、そして主題であった。ノルウェー、アイスランド、EU、南アフリカ、AOSIS、ブルキナファソ、カナダを含めたいくつかの締約国は、エネルギーに関する論議を促した。サウジアラビアはこの考えに反対した。将来のセッション間期間および政府間プロセスの組織に関し、締約国は、COP間の期間延長の可能性、および交渉プロセスでの作業負担を合理化する可能性について、議論した。

UNFCCCプロセスへの効果的な参加に関し、議論の焦点は、オブザーバーの参加とその許可、原住民と気候変化に関するアドホック・期間未定アドホック作業部会を設立するとの、国連原住民問題常設フォーラムの要請への対応であった。一部の締約国が、原住民の参加に対する機会探求を支持したが、他の締約国は、国の代表団を代表とすることで十分であると感じた。

オブザーバーの参加に関し、米国は、同国代表が、CDM理事会の会合期間中、実質出席することを求めていると述べた。Sach議長は、CDM理事会に対するオブザーバーの地位は現在のCOP決定書 (CDM理事会に関する決定書 21/CP.8)で規制されていると述べた。米国は、参加に実質出席を含めるよう、文章を明確にすることを求め、SBI-22でこの問題を検討するよう提案したが、EUはこれに反対した。締約国は、CDM議事会の透明性と出席に関する手続き規則の解釈について、米国の表明する懸念に注目し、この条項を含めるかどうか、議論した。結局、締約国は、米国の懸念を結論書に反映させることで合意した。

気候変化プロセスに参加する構成員のメンバーシップについて、米国は、研究および独立NGOs (RINGOs)のメンバーシップに対する基準に懸念を投げかけた。RINGOsは、メンバーシップ基準の意図は、ただ単にメンバーを他の構成員とどう区別するか明確にすることであると指摘した。米国は、構成員メンバーシップの選択方法を再検討するよう呼びかけ、G-77/中国はこれを支持したが、EUは反対した。

SBI結論書:
結論書(FCCC/SBI/2004/L.7)で、SBIは、政府間会合の調整に関係するさまざまな問題を取り上げた。COP-10に関し、SBIは、2004年がUNFCCC発効10周年に当たることを認識し、これがCOP-10での中心主題となるとした。SBIは、2004年12月15-17日にハイレベルセグメントを行うとの日程を承認する。またSBIは、ハイレベルセグメントにおいて、次の4つの主題でパネルディスカッションを行うことを提案する:10年たったUNFCCC―その実績と将来のチャレンジ;気候変化の影響、適応措置そして持続可能な開発;テクノロジーと気候変化;気候変化の緩和―政策およびその影響。政府間プロセスの組織に関し、SBI結論書は、事務局に対し、SBI-21と結びつけたワークショップ,を開催し、他の多国間プロセスでの関連する経験を考慮した上で、背景ペーパーを作成するよう、求める。

UNFCCCプロセスへの効果的な参加に関し、SBIは、CDM理事会の手続き規則で、その透明性と出席に関係する解釈について、懸念が表明されたことに留意する。SBIは、2005年1月31日までに受理された提出意見に基づき、SBI-22で効果的な参加を引き続き検討することに合意する。オブザーバー機関の出席に関し、SBIは、現在の事務局のアプローチに留意し、この問題の検討を続けることに合意する。SBIは、情報や意見の提出要求が、そのような提出が公式文書として交付されることはないが事務局のホームページでは入手可能とするとの理解に基づき、NGOsにも拡大されることに合意する。原住民の参加について、SBI は、原住民組織に対しUNFCCCの規定で同組織が利用可能な既存の機関や機会を活用するよう勧め、そのような組織のUNFCCCプロセスへの参加強化が重要であると認める。

管理上、資金上の問題:2004-2005の2年間における予算実績:
この問題は、6月16日水曜日、SBIプレナリーで最初に取り上げられ、Stoycheva議長は、この問題での結論書草案を作成すると述べた。6月24日木曜日、SBI プレナリーで、Stoycheva議長は結論書を提出し、締約国はこれを修正なしに採択した。

SBI結論書:
結論書(FCCC/SBI/2004/L.2)で、SBIは、UNFCCC 4.8条関係の2004-2005年度作業プログラムの情報に留意する。またSBIは、2004年5月31日時点での分担金の状況に留意する。SBIは、期限内にかつ分担分全額を基幹予算に支払った締約国、特に参加のための信託基金および補足活動のための信託基金に寄付を行った締約国に感謝の意を表する。SBIは、基幹予算の分担金支払いをしていない締約国に対し、できる限り速やかに支払うよう促す。SBIは、UNFCCC セッションでの途上国、特に最後進国および小島嶼開発途上国の有効参加を確保するため、UNFCCCプロセスへの参加のための信託基金に、高水準の寄付が維持されることの重要性を強調する。

UNFCCCプロセスへの参加に対する資金支援に関するUNFCCC資金手続きの7(c)項実施:
この問題は、6月16日水曜日、SBIプレナリーで最初に取り上げられた。事務局は、分担金が未払いの締約国の参加に対して、資金支援を行わないことの影響を紹介した。アルゼンチンとコロンビアは、途上国による分担金の未払いは、支払う意思がないことを示すと解釈されるべきではないと述べた。The SBIはこの問題に留意した。

本部契約の実施:
この問題は、6月16日水曜日、SBIプレナリーで最初に取り上げられた。ホスト国政府であるドイツは、ボンにある条約事務局のため、国連キャンパスを作ることの進展状況について、出席者に簡単に報告した。6月24日木曜日、SBIは、この問題に関する結論書を修正なしに採択した。

SBI結論書:
結論書(FCCC/SBI/2004/L.3)で、SBIは、ボンでの国連キャンパスと国際会議センターに関するドイツの声明に留意する。

事務局の機能と運営の継続レビュー:
SBI は、6月17日木曜日、プレナリーでこの問題を最初に取り上げた。Stoycheva議長は、この問題に関する非公式折衝をおこなった。結論書は、6月25日金曜日、SBIにより採択された。

インドはG-77/中国に代わり、UNFCCC事務局での地理的にバランスの取れた代表とすること、文書作成上の中立性、途上国と先進国に関する問題に対しての資源配分における公平性を、呼びかけた。EUとカナダは、事務局の機能に満足を表明した。サウジアラビアは、事務局に対し、UNFCCCに代わり声明を作成する際には、全ての締約国の意見が適切に反映されることを確保するよう、求めた。UNFCCCエグゼクティブ・セクレタリーは、事務局が、透明性と公平な代表を約束していると、強調し、その機能に対するフィードバックを歓迎した。

SBI結論書:
結論書(FCCC/SBI/2004/L.12)で、SBIは、SBI-21で引き続きこの問題を検討することに同意し、事務局に対し、UNFCCCワークショップのアレンジに関する情報を、基準やスケジュールおよび限定された資金での管理を含めて、提供するよう要請する。

セッションに関する報告:
閉会に当たり、UNFCCCエグゼクティブ・セクレタリーは、SB-20で採択された結論書の資金面での影響に関し、SBSTAで行ったコメントを繰り返した。SBI報告者Gonzalo Menendezに代わり、Stoycheva議長が、締約国が修正なしに採択したセッションに関する報告書(FCCC/SBI/2004/L.1)を検討するよう、締約国に求めた。

米国は、エグゼクティブ・セクレタリーーが採択された結論書の資金面での影響に関しコメントしたことに感謝の意を表明した。カタールはG-77/中国に代わり、COP-10を待望しているとした。EUは、交渉により、全体像が鮮明になったと述べ、SBI-21での議論に期待感を表明した。Stoycheva議長は、午後4時25分SBI-20を閉会した。
SB-20の簡単な分析
気候変化から世界を救うための戦争において、SB-20 は、本当に小さな小競り合いであり、散発的に弾が撃たれたに過ぎない。しかし、余り深刻な対立が見られず全般的に静穏なイベントであったとはいえ、会議でまったく何もおきなかったわけではない。特に、プロセスの中ではいくつかの新しい発明と、一部技術的な複雑さの増加が、見られた。この分析は、気候交渉で起きている状況を、SB-20で前面に出てきた新しい複雑さや発明、およびCOP-10とそれ以後への願望に焦点を当てつつ、再検討する。

話し合うとき

SB-20での比較的リラックスした動きにより、参加者は、政策措置での「優れた実践方法」など、これまで脇に追いやられてきた問題で目立つ進展を行うことができた。また交渉で、いくつか新しいものを探求する機会が与えられた。たとえば、コンタクトグループの全てが、文章の交渉に直ちに入ったわけではない。非附属書I国別報告書の提出タイミングなど、伝統的に対立のあった問題では、議長が、参加者に対し同意した文章を提出するよう圧力を掛ける代わりに、どうやれば進展が見られるか、アイデアの公開交換を進める道を選んだ。

セッション中ワークショップは、UNFCCCプロセスに新しく追加となったものであり、各国の立場の枠に閉じこもる状態なしで、議論を進め、情報を交換するため、道を探るさらなる進歩であった。ワークショップは出席も多く、大半の出席者が、対立点のある問題で進展を図るため、有用なフォーラムを提供したと感じた。参加者は、たとえば、適応と緩和に関する議論により、気候交渉の将来に向けたより広範な議論が可能となり、また南と北との違いに関しても忌憚のない議論が行うことができたと、認めた。その一方で、将来の主題は、より焦点を絞ったものとするべきであり、プレゼンテーションや議論は、もっと成果に基づいたものとしt、それにより、政策立案者にとり関連性を持たせるものとするべきであると感じるものもいた。また、ワークショップが、重要な交渉から、参加者を引き離したことへの懸念も表明された。

SB-20では、より相互に交換し合うフォーマットを作るため、交渉の間にも、他の提案が行われた。一部の途上国は、UNFCCC資金メカニズムとの相互作用における困難に注目を促し、セッション中でのGEFとの質疑応答の会議開催を提案した。一方、参加者は、COP-10でのハイレベルセグメントの干渉が、閣僚および元首による記述済みの声明をただ単に読み上げることを超えたものとするため、COP-10でのハイレベルセグメントのフォーマットの議論に多くの時間を費やした。

これら新しい発明は、プロセスをより開放的で、相互に作用しあうものとすることを目指したもので、真の議論と論戦を促進するためのCSDプロセスでの試みと似通っている。しかし他の分野での交渉では、利害関係者の参加におけるものなど、交渉が一歩後退したと懸念されるものもあった。オブザーバーは、米国およびサウジアラビアの要請によって、オブザーバーおよび構成員の認可と認識プロセスの検討を呼びかける議論があったことに懸念を表明し、これが、参加への制限や限定目的に用いられることを恐れた。

針の先にのった天使…

UNFCCCでの交渉が、10年の記念の年を迎えるにつれ、反復とかこれまでどおりといった要素が忍び寄ってきた。非附属書I 国別報告書にかんするものなど、いくつかの議論において以前に合意された文章が、再度登場したり、場合によっては、自国の懸念が適切に取り上げられたりしていないと感じる国により、合意に関する議論を再開しようとの試みのようにも見られた。その場合、文章が一部のグループ(たとえば、適応や脆弱性など)の優先課題に焦点を当てるため、文章が繰り返し選ばれている一方で、他の課題(たとえば、温室効果ガス インベントリーなど)については、意図して控えめな扱いを受けているとの苦情もしばしばであった。

IPCC 優れた実践方法ガイダンスにおける共通する報告様式に関する議論など、交渉がさらに複雑さを増すこととなり、ある代表の言では「針の先に何人の天使が載せられるかといった中世の哲学者の議論」のようであった。参加者は、プロセスの完全さと実用とを確保するのに必要な水準の詳細について、懸念のバランスをとるため、土地利用での変化を測定する単位の特定方法で何時間も交渉した。一方、CDM規定小規模新規植林および再植林プロジェクトの簡素化規則および手続きの疑問では、一部の途上国が、取引コスト低減のため、小規模プロジェクトの「まとめ」を検討するよう押したが、 AOSISやブラジルを含め、他の国々は、これにより簡素化手続きの恩恵にあずかるため、小規模プロジェクトを組み合わせて、誤った行動を奨励すると恐れた。多くの課題が山積する中、アフリカ諸国は、環境の完全性を確保するため、複雑で技術的な手続きのニーズと、自治体レベルでの実施を奨励するための簡素化への希望との間で、引き裂かれているように見えるプロセスに焦燥感を抱いていた。

SBSTAでのLULUCFおよびCDMの詳しい内容について議論する交渉担当者は、SBIで実用上の困難について議論されていることに気づいていなかったようである、SBIの議論では、多くの途上国が、温室効果ガス・インベントリーなど技術的な必要条件に追いつくことができないことへの懸念を声にしており、能力改善のための援助を呼びかけていた。たとえば、小規模CDMプロジェクトの複雑な規則が議論され、これは(たとえば、モニタリング手続きなどでの複雑な規則を知らない自治体での)実施の困難さを作り上げるはずである。交渉の複雑さだけでなく、多くの議論が、小規模な「議長の友人」グループで行われることから、特に多くの途上国にとっての、これらの議論に対するアクセスやその透明性のレベルへの懸念も、表明された。

交渉が、伐採木材製品からの附属書I 排出量追跡といった細かい問題にとらわれていることから、オブザーバーは、再生可能エネルギー資源に注目し、結局のところ気候変化の緩和には非常にわずかしか貢献しない極端に複雑な会計のわなを避けるのが、より単純な方法ではないかとコメントした。交渉がより高いレベルの複雑さに進む前に、UNFCCCのフォーマットに新しいアイデアの利点を取り入れ、科学と実施面での実際の困難さとの調和を評価するオープンな協議を行うことは価値がある可能性があるとも述べている。

…詳細に潜む悪魔

The SBI の議論は、合意を実施する能力の不足、資金源や技術資源へアクセスすることの難しさ、国別報告書の頻度、気候変化の悪影響の評価など、全般に実際的な問題に関わるものであった。キャパシティビルディング(能力向上)の議論で、途上国と経済移行国は、キャパシティビルディング(能力向上)活動で現在行われているレビューは、自分たちの懸念を適切に反映していないと感じた。いくつかのSBIコンタクトグループでは、UNFCCCの資金メカニズムについて現在ある焦燥感が表明された。たとえば、途上国は、GEF資金へアクセスするため、適応プロジェクトの「地球規模の便益」を証明することの難しさが、縷々述べられた。また、資金援助と、実績ベースの評価との結びつきに関するGEF委員会での現行の議論に対する懸念も表明された。

4.8条と4.9条の実施に関する協議も、緩和措置の影響に対処する必要性に関しての意見対立で押しのけられ続けている。G-77/中国の中からも、対応措置の影響と、気候変化の悪影響との不幸な結婚を解消しようとの動きも出てきているようであるが、産油国からの反対であまり成功していない。しかし、非附属書I 国別報告書のタイミングに関しては、一定の動きがあるようである。合意が達せられているわけではないが、G-77/中国は、交渉の最終日に提案を提出し、国別報告書作成のための資金を受け取り後、EUの提案する6年ではなく5年以内に、第二次国別報告書、また当てはまる場合には、第三次国別報告書を提出する意思があることを表明した。この提案が次のセッションで議論されるときには、進展が得られる可能性が高いようであるが、の国別報告書作成前に資金調達を申請する問題は、まだ意見対立が解けないままである。

政府間調整に関するSBIでの議論は、大きな関心を呼び、参加者 は、閣僚や国家代表が、交渉の未来に関する自分たちの意見を表明する適切な場について議論した。関連するコンタクトグループも、京都議定書の締約国になることなく、クリーンな開発メカニズムの理事会にアクセスを得たいとの米国の要求について議論した。 COP 決定書でこの問題はすでに扱われているとの指摘にもかかわらず、一部のものは、米国にオブザーバーとしての立場を認めることに賛成しているようであり、これは将来、米国が約束参加するための扉を開いたままでいたいとの試みのようである。しかし他のものは、CDM理事会での米国の役割を拒否することこそ、米国企業がCDMプロセスに携わり続けることに強い関心を示していることため、米国の立場の再考に圧力をかける数少ない方法の一つであると感じている。

ロシアンルーレット


「不思議の中のミステリーに包まれたなそ」とロシアを形容したのはウィンストン・チャーチルであった。チャーチルは1939年当時のことを話していたわけだが、そのコメントは、現在でも十分あてはまる、特にこの国の京都議定書に対しとっている立場を読み解くには、まさにそのとおりである。おそらく、SB-20での交渉が比較的ゆるやかに推移した原因は、一部には、参加者が、依然として、京都の運命を決める何よりも重要なロシアの決定を、待っているからだろう。一部のオブザーバーは、議定書の将来にまだこれほどの疑問が残っているさなか、SB-20の交渉担当者が、これほど複雑で入り組んだ交渉に携わることができ、さらにはプロセス改善への革新までも求めることに、強い印象を持ったようである。ロシアの批准問題は、SB-20ではそれほど頻繁に話題にされたわけではないーおそらく出席者は、これまで余りにもしょっちゅうネットワークに、狼が来たとのニュースを聞かされることに疲れたのであろうー、それでも参加者の心の中には常に存在していたはずである。多くのものが、心のうちに、12月のブエノスアイレスで、ロシアの批准が発表されるようにとの願いをもっていたようである。もしそうなれば、第10回締約国会議 (そして10周年記念の祝い)は、間違いなく、最近の「静穏な」時という経験の終わりを、そして気候変化から世界を救うため続けられている戦いでの、新しいエキサイティングなステージの始まりを告げるものになるだろう。
COP-10前の注目行事
気候変化と水系システムに関する会議―過去、現在、未来:この会議は、英国のプリマス大学で2004年7月21-23日に行われる。詳しい情報についての連絡先: University of Plymouth;電話:+44-17-5223-3304;Fax:+44-17-5223-3310;電子メール:climate@plymouth.ac.uk;インターネット:http://www.biology.plymouth.ac.uk/climate/climate.htm

第13回世界クリーンな大気および「環境保護会議および展示会:
この会議と展示は、2004年8月22-27日、英国のロンドンで開催される。詳しい情報についての連絡先:会議事務局;電話:+972-3-972-7500;Fax:+972-3-972-7555;電子メール:cleanair@kenes.com; インターネット:http://www.kenes.com/cleanair

アンカラ気候変化会議:
この会議は、2004年9月1-3日、トルコのアンカラで開催される。詳しい情報についての連絡先:会議事務局、National Programme on Environment and Development;電話:+90-312-287-67-21;Fax:+90-312-285-58-75;電子メール:envir@ttnet.net.tr;インターネット:http://www.cevreorman.gov.tr

温室効果ガス制御技術に関する第7回国際会議:
この会議は、2004年9月5-9日、カナダのバンクーバーで行われる。詳しい情報についての連絡先:Ted Morris,会議事務局;電話:+1-306-337-2290;Fax:+1-306-337-2301;電子メール:Ted.Morris@uregina.ca;インターネット:http://www.ghgt7.ca/main.html

第19回世界エネルギー会議:
この会議は、2004年9月5-9日、オーストラリアのシドニーで会合する。 詳しい情報についての連絡先: 19th World Energy Congress Managers;電話:+61-2-9248-0800;Fax:+61-2-9248-0894;電子メール:energy2004@tourhosts.com.au; インターネット:http://www.tourhosts.com.au/energy2004

排出量市場協会第8回秋季年次会合および会議:
この会議は、2004年9月19-22日、カナダのトロントで行われる。詳しい情報についての連絡先:David Feldner, EMA Executive Director;電話:+1-414-276-3819;Fax:+1-414-276-3349; 電子メール: dfeldner@emissions.org; インターネット: http://www.emissions.org/conferences/fallconference04/

産業技術開発、移転、普及に関するIPCC専門家会合:
この会議は、2004年9月21-23日、日本の東京で行われる。詳しい情報についての連絡先:IPCC事務局;電話:+41-22-730-8208;Fax:+41-22-730-8025;電子メール:IPCC-Sec@wmo.int;インターネット:http://www.ipcc.ch/othernews/itdt.htm

エネルギーと環境2004−第三回国際シンポジウム:
このシンポジウムは、イタリアのソレントで2004年9月30日から10月2日に開催される。詳しい情報についての連絡先:Megalia Foundation;電話:+39-81-665-815;Fax:+39-81-240-4219;電子メール:megalia.eco@tiscali.it;インターネット:http://www.megaliafoundation.it/Sorrento/

防災に関する世界会議の準備委員会第2回セッション:
日本の兵庫県―神戸市で、2005年1月に行われる予定の防災に関する世界会合の準備委員会は、その第2回セッションを、スイス、ジュネーブで2004年10月11-12日に会合する。詳しい情報についての連絡先:UN/ISDR;電話:+41-22-917-2529;Fax:+41-22-917-0563;電子メール:isdr@un.org;インターネット:http://www.unisdr.org/eng/wcdr/wcdr-index.htm

気候変化とビジネスの会議および EXPO 2004:
この会議は、ニュージーランドのオークランドで2004年11月3-5日に開催される。詳しい情報についての連絡先:会議会社(Conference Company Ltd);電話:+64-9-360-1240;Fax:+64-9-360-1242;電子メール:secretariat@climateandbusiness.com;インターネット:http://www.climateandbusiness.com

IPCC第22回セッション:
この気候変動に関する政府間パネルの会議は、2004年11月8-11日、インドのニューデリーで行われる。詳しい情報についての連絡先:IPCC 事務局;電話:+41-22-730-8208;Fax:+41-22-730-8025;電子メール:IPCC-Sec@wmo.int ;インターネット:http://www.ipcc.ch/calendar.htm

GEF NGOの折衝とカウンシル会議:
この会議は、2004年11月16-19日、米国のワシントン特別区で行われる。詳しい情報についての連絡先:GEF事務局;電話:+1-202-473-0508;Fax:+1-202-522-3240;電子メール:secreatriat@TheGEF.org;インターネット: http://gefweb.org/participants/Council/Meeting_Schedule/meeting_schedule.html

モントリオール議定書第16回締約国会議(MOP-16):
モントリオール議定書のMOP-16は、2004年11月22-26日、チェコ共和国のプラハで会合する。詳しい情報についての連絡先:UNEPオゾン事務局:電話:+254-2-62-3850;Fax:+254-2-62-3601;電子メール:ozoneinfo@unep.org;インターネット: http://www.unep.org/ozone

UNFCCC第10回締約国会議(COP-10):
UNFCCC COP-10は、アルゼンチンのブエノスアイレスで、2004年12月6-17日に開催される。詳しい情報についての連絡先:UNFCCC 事務局;電話:+49-228-815-1000;Fax:::+49-228-815-1999;電子メール: secretariat@unfccc.int; インターネット:http://www.unfccc.int