地球環境
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第8回CDM理事会会合 報告
2003年3月19-20日 ボン

2003年4月1日
文責:蛭田伊吹
(a) 運営機関(OE)の信任について
  John Kilani CDM-AP議長(南アフリカ)から、現在運営機関として13件の申請が受領されており、それぞれ異なる段階において検討が進められていることが報告された。また、CDM-ATの委任条項の改訂に関するCDM-AP提案、並びに信任プロセスにおける費用の問題(固定・可変費用)についても言及されたが、この件に関してはCDMEB09(6月7〜8日)にて検討されることとなった。

(b) ベースライン方法及びモニタリング計画について
  MethパネルのGylvan Meira Filho議長(ブラジル)の辞任に伴い、Jean Jacques Becker元副議長(フランス)が議長に昇格、新副議長にはFranz Tattenbach Capra氏(コスタリカ)が着任した。作業の進捗状況に関してはBecker新議長から報告があり、ベースライン及びモニタリング方法論に関する問題の明確化(Annex 1参照)、及び提案された新方法論の検討手順(Annex 2参照)について合意した旨が発表された。以上2件に関しては理事会でも検討されたが、CDM-PDDについては更にCDMEB09でも見直すこととなった。また理事会は、承認済み方法論にラベルを付けるスキームの開発、並びに新/承認済みの方法論のCDMプロジェクト活動への適用性に関する提案書の作成についてもCDM-AP と協力して進めるようMethパネルに要請した。

(c) CDMプロジェクト活動の登録について
  理事会は、Georg Borsting氏(ノルウェー)、Chow Kok Kee氏(マレーシア)、Abdelhay Zerouali氏(モロッコ)によって作成されたレビュー手順を含む登録関連問題に関するドラフト・ペーパーについて検討し、見直し手順(「CDMの在り方及び手順(以下、CDM M&P)」パラ41)、及び登録フォーム、有効化報告書の様式を含む登録手順について改訂版を作成するよう要請した。また、CDM-PDD version01内で利害対立に関する十分な情報が記載されるようになっているかCDMEB08 にて再検討することとなっていたが、この件に関してはCDM-PDD内ではなく、登録フォーム内に利害対立がないことを確定する声明を示すことで合意された。その他、DOE(指定運営機関)が確認すべき有効化要件の明確化(Annex 3参照)については、理事会で合意された。

(d) CDM登録簿について
  理事会は、事務局から報告された進捗状況を考慮した上で、今後もCDM登録簿について同様の体制でウォッチすることを決定した。ウォッチ体制はCDMEB07で決定したとおり、SBSTAにおける登録簿と取引ログに関する作業・議論のフォローをSushma Gera氏(カナダ)及びXuedu Lu氏(中国)に、当問題の進捗状況についてまとめるタスクを事務局に割り当てる形になっている。

(e) 吸収源CDMについて
  2003年2月12〜14日にブラジル(Foz do Iguacu)で開催された吸収源CDMに関するワークショップについてEduardo Sanhueza氏(チリ)及びMartin Enderlin氏(スイス)より報告があった。ワークショップの詳細については「吸収源CDMワークショップ(2003年2月12〜14日 イグアス・ブラジル)概要」(http://www.gispri.or.jp/kankyo/unfccc/pdf/cdmworkshop.pdf)参照。

(f) その他
  A. 理事会メンバーについて
  2002年11月12日に辞任したAbdulmuhsen Al-Sunaid氏(サウジアラビア)の交替メンバーとしてFreed Al-Asaly氏(サウジ?:非付属書I国代表)が任命された。
  Filho氏(ブラジル:ラテン・アメリカ及びカリブ地域代表)及びTuiloma Neroni Slade氏(サモア:小島嶼国連合)の辞任が受諾された。交代メンバーの候補は議長によって挙げられることとなり、CDMEB09にて任命作業が行われる予定。
  今後、メンバーの辞任等の事態が起こった際には議長が迅速に新候補へアプローチすることが決定された。
  B. 会合日程
  2003年の会合スケジュール及び新方法論のMethパネルへの提出期限が合意された。(Annex 4参照)
 
会合 日程 開催場所 新方法論の
提出期限
CDMEB09 6月7〜8日 ボン、SB18と同時開催 4月15日
CDMEB10 7月28〜29日 ボン 5月30日予定
CDMEB11 9月/10月予定 ボン 7月31日予定
CDMEB12 12月6〜7日 COP9と同時開催 未定
  CDMEB09は6月7〜8日にボンでSB18と同時に行われる予定であり、次回会合の内容(Annex 5参照)に関する意見は5月9日までに提出すること。なお、CDMEB09のオブザーバー登録は5月16日まで。

参考
  Annexの内容(すべてCDM公式サイトからダウンロード可能)
Annex 1:ベースライン及びモニタリング方法論に関する問題の明確化
Annex 2:提案された新方法論の提出及び検討手順
  Appendix 1:
CDM方法論に関する専門家名簿に掲載する専門家の要件と規定
  Appendix 2: 新方法論 提案用フォーム(F-CDM-NM)
  Appendix 3: 新方法論 パブリックコメント用フォーム(F-CDM-NMpu)
  Appendix 4: 新方法論 専門家用フォーム(F-CDM-NMex)
  Appendix 5: 新方法論 理事会へのMethパネル推薦(F-CDM-NMmp)
Annex 3:DOEが確認すべき有効化要件の明確化
Annex 4:2003年の理事会スケジュール
Annex 5:CDMEB09の暫定アジェンダ

付録
CDMEB08報告書Annex 1及び2の概要
Annex 1ベースライン及びモニタリング方法論に関する問題の明確化 概要
A. ベースライン方法論に含まれるべき要素に関する追加ガイダンス
新ベースラインシナリオを提案する場合、そのシナリオの特定方法、公式の妥当性、プロジェクト活動の追加性といった基準に関する情報、公式を構成する要素に関する情報、及びデータの出典に関する情報をCDM-PDD Annex 3を利用して提供しなければならない。
B. CDM M&P パラ48(c)のアプローチ(「似たような社会的・環境的・技術的状況において過去5年間に行われた、そしてその実績がそのカテゴリー中上位20%に入る同様の事業活動による平均的排出量」)に関する追加ガイダンス
新方法論を提案する際に48(c)アプローチを選ぶ場合は、どのように「似たような社会的…状況」を特定したか、又どのように「そのカテゴリー中上位20%に入る…」を評価したのかを明確にする必要がある。
承認済み方法論とパラ48(c)アプローチを利用する場合は、(a)似たような状況において過去5年間に行われた同様のプロジェクト活動の上位20%に入る出力加重平均排出量、又は(b)(a)の条件に加えて、現在の実施されている同カテゴリーの全プロジェクトの上位20%に入る出力加重平均排出量、のどちらかより保守的なオプションを選定する妥当性を評価しなければならない。 
C. ひとつ以上の方法論にプロジェクト活動を申請する場合
参加者はCDM-PDDをひとつ提出すればよいが、方法論に関するセクションはそれぞれのモsub-activityモについて提出する必要がある。
D. CDM M&P パラ47(「ベースラインは、事業活動外の活動レベル低下や不可抗力による活動レベル低下によってCERが得られることのないような方法で定められるべきである」)を実施する際の様式と状況
基本的には出力または生産にリンクしたベースライン値の定義が適用される。新方法論についてはMethパネルがケースバイベースで評価する。
E. 「既存」及び「新規」の施設の取り扱いガイダンス
参加者が既存施設の改良を行う場合は、ベースライン算定に出力や寿命を増長させない範囲における同既存施設の排出量等を参照してもよい。出力及び寿命が増長する場合は、異なるベースラインが適用される。

Annex 2提案された新方法論の提出及び検討手順 概要
  新方法論の提出手順について
新方法論を提案したい参加者は、CDM-PDDの少なくともセクションAからE及び適切な添付書を作成し、契約しているDOEに提出する。
DOEは必要な書類が提出されているかを確認すると、新方法論に関してそれ以上分析することなくその書類とDOEが作成した新方法論提案用フォーム(F-CDM-NM)を理事会に提出する。
理事会は提出された書類を元に提出日から4ヶ月以内に検討を行う。同時に新方法論はUNFCCCのCDM公式サイトに掲載され、パブリックコメントを15営業日間受け付ける。新方法論のパブリックコメント用フォーム(F-CDM-NMpu)に記載されたコメントはMethパネルに提出され、受付期間後公開される。
Methパネルによる分析・推薦、及び理事会による検討・承認について
Methパネルへの新方法論は次回会合の少なくとも5週間前までに提出しなければならず、CDM公式サイトには7週間前に締め切りが表示される。
期限通りに提出された新方法論は、Methパネルの2名にアルファベット順に割り当てられ、その2名がその他のパネルメンバーのコメントやパブリックコメントを編集する。また、理事会への推薦状も作成する。
Methパネルの議長、副議長、担当メンバー及び事務局は新方法論がパネルに提出されてから5営業日以内にデスクレビューを行う専門家を名簿から選出する。専門家はMethパネルに対して新方法論の推薦状をフォーム(F-CDM-NMex)に作成し、10営業日以内に提出する。
理事会はMethパネルが作成した新方法論のパネル推薦用フォーム(F-CDM-NMmp)を検討し承認する。
(注) 新方法論提案用フォーム(F-CDM-NM)、新方法論パブリックコメント用フォーム(F-CDM-NMpu)、新方法論専門家用フォーム(F-CDM-NMex)はCDM公式サイトの現物を参照。
新方法論のデスクレビューを行う専門家の条件は以下の通り(Appendix 1):
(a) CDM M&P及びCOP(COP/MOP)決議に詳しい。
(b) 関連のあるプロジェクト活動に携わった経験がある。
(c) ベースラインやモニタリング方法論に関連した技術的・科学的経験がある。
(d) 優れた分析・作成能力がある。
(e) 経済、エネルギー、社会、環境、自然科学、エンジニアリング、開発といった分野における上級学位を取得している。
(f) 優れた英語能力を保持している。その他UN言語の知識も有していることが望ましい。
(g) 無差別に活動出来なくなるような利害関係に関わっていない。

Annex 3 DOEが確認すべき有効化要件の明確化 概要
  理事会が承認した追加的要件
京都議定書の発効前はUNFCCCの全締約国がCDMプロジェクト活動に参加出来るが、プロジェクト活動の登録は京都議定書に批准した国からの承諾書が取得されてからでなければならない。
地元の関係者からのコメントの受付案内は透明な方法で行わなければならない。
DOEの有効化作業ステップ
(1) CDM M&Pに従いCDM-PDD及び補助資料を見直し、有効化要件を満たしているか確認する。
(2) CDM-PDDを公開し、コメントを受け付ける。
(3) コメント受付終了後、プロジェクト活動の有効化について検討する。
(4) プロジェクト参加者に結果を報告する。
(5) プロジェクトを有効と判断した場合、理事会に有効化報告書及び登録申請を提出する。同時に有効化報告書を公開する。
(注) CDM M&Pはホスト国承認(書面)の受領のタイミングについて指定していない。
以上