地球環境
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CDM理事会第9回会合(CDMEB09)の検討事項
− 2003年6月7日〜8日 ドイツ・ボン −

地球環境対策部
高橋 浩之
※ 以下の資料より作成(本文中の[Annex X]は下記の文書におけるAnnexを表す)
Clean Development Mechanism Executive Board Proposed Agenda and Annotations - Ninth meeting
http://cdm.unfccc.int/EB/Meetings/009

1 運営機関の信任(agenda item 2(a))

 CDM理事会第8回会合(CDMEB08)において、CDM信任パネル(CDM-AP)議長のJohn Kilani氏(南アフリカ)の報告に基づき、信任チーム(CDM-AT)に対する委任事項の改訂をCDMEB09で実施することに合意した。その後、CDM-APは、2003年3月および5月に会合を開き、CDMEB09で検討するための下記のドラフトを作成した。
(a) CDM-ATの委託事項改訂案;[Annex1]
(b) 部門別スコープに関する段階的に実行された信任/指定;[Annex2]

CDMEB09では、上記の(a)(b)について検討するとともに、CDMEB08で取り上げられた信任プロセスにおける固定・可変費用の問題についても検討し、必要に応じてCDM-APにガイダンスを提供する。

2 ベースライン方法及びモニタリング計画(agenda item 2(b))

 CDMEB08において、Methパネル議長のJean Jacque Backer氏(フランス)の報告に基づき、ベースライン及びモニタリング方法論に関する問題の明確化、及び提案された新方法論の検討手順について合意したが、CDM-PDD(プロジェクト設計書)のVersion01改訂については、CDMEB09で検討することとなった。また、Methパネルに対して、下記の事項の検討を要請した。
(a) 承認済みの方法論にラベルをつけるスキームの開発
(b) 新/承認済み方法論のCDMプロジェクト活動への適用性に関する提案書の作成
 尚、Methパネルは2003年5月21−23日に第5回会合を開催し、4月15日までに提出されたベースライン及びモニタリングに関する14の新方法論についてそれぞれ検討を行ない、専門家の意見やや34のパブリックコメントにおける意見を考慮した上で、CDM理事会にこれらの新方法論を提案することに合意した。
※ 新方法論のCDM理事会への提案内容は、下記を参照のこと。
  http://cdm.unfccc.int/EB/Panels/meth/PNM_Recommendations/index.html  

 CDMEB09では、CDM-PDDのVersion01及び小規模CDM-PDD(SSC-PDD)のVersion01のVersion02への改訂について検討するとともに、上記(a)(b)に関するMethパネルからの報告を検討し、必要に応じてMethパネルにガイダンスを提供する。さらに、Methパネルから提案された新方法論の承認について検討するほか、Methパネル議長から、5月29日までに提出された新方法論第2セットの状況報告も実施される。

3 CDMプロジェクト活動の登録に関する事項(agenda item 2(c))

 CDMEB08において、指定運営機関(DOE)が確認すべき有効化要件の明確化に合意したほか、Georg Borsting氏(ノルウェー)、Chow Kok Kee氏(マレーシア)、及びAbdelhay Zerouai氏(モロッコ)によるCDMプロジェクト活動登録に関するドラフトを検討し、3氏に対して以下の2つの改訂版ドラフトを作成するように要請した。
(a) CDMのあり方及び手順(CDM M&P)パラ41におけるレビュー手順
(b) 有効化報告書の様式、登録様式を含むCDMプロジェクト活動登録の手順

 この要請に従い、3氏は以下の3つの文書を作成した。[Annex3〜5]
(@) Procedures for registration of a proposed CDM project activity
(A) Procedures for review as referred in paragraph 41 of the CDM modalities and procedures
(B) Draft procedures on public availability of the CDM PDD and for receiving comments as referred to in Paragraphs 40 (b) and (c) of the CDM modalities and procedures

CDMEB09では、登録に関する3つの文書[Annex3〜5]について検討し最終版を作成する。

4 CDM登録簿(agenda item 2(d))

 CDMEB08では、UNFCCC事務局より、SBSTAで進行中の登録簿に関する検討状況やCDM登録簿に関する作業の報告が行なわれ、Lu Xuedu氏(中国)およびSushima Gera氏(カナダ)の両氏に対して、2003年6月2日に開催するワークショップを含めた登録簿システムに関する交渉をフォローし、CDMEB09で報告するように要請した。
UNFCCC事務局は、CERを発行するCDM登録簿開発に関する技術ペーパーを用意した。[Annex6]
この技術ペーパーによると、CDM登録簿開発にあたって以下の2つのオプションを用意している。

オプション1;
2003年11月の登録簿システム間におけるデータ交換基準仕様の完了を経て、2004年10月に「トランザクション・ログ」の開発が終了するまで、CDM登録簿の開発を延期する。
オプション2;
「トランザクション・ログ」の開発完了を待たずに、暫定的なCDM登録簿を開発し、その中の暫定的な口座(附属書T国、非附属書T国)に暫定的なCERを発行・記録する。ひとたび、「トランザクション・ログ」が運営を開始すれば、マラケシュ合意に沿った審査を受けて正式なCDM登録簿及びCERとなる。

CERをCDM登録簿に発行する場合は、UNFCCC事務局が管理運営する「トランザクション・ログ」による一定の審査を受ける必要がある(マラケシュ合意)。

 CDMEB09では、この技術ペーパーについて議論する。

5 SBSTAとの協調方法(agenda item 2(e))

 CDMEB08では、Eduardo Sanhueza氏(チリ)及びMartin Enderlin氏(スイス)から、2003年2月に開催された吸収源CDMに関するワークショップの報告が実施され、さらに交渉内容をフォローし、CDMEB09に報告するように要請した。CDMEB09では、両氏からこの要請に基づく報告が実施される。
 尚、SBSTA18での交渉のために、CDM吸収源における「定義と様式」に関する統合テキスト案(FCCC/SBSTA/2003/4)が公表されいる。

6 その他(agenda item 3)

【NGOとの関係について】
 Q&Aセッションを含めたNGO等のための情報提供イベントが、SB18期間中の2003年6月9日に開催される。

【理事会メンバについて】
 CDMEB08において、理事会メンバーFilho氏(ブラジル:ラテン・アメリカ及びカリブ地域代表)、及び理事会代理メンバーのTuiloma Neroni Slade氏(サモア:AOSIS/小島嶼国連合)の辞任が受諾された。すでに、AOSIS/小島嶼国連合からは、Densa M Solofa氏(サモア)がノミネートされたが、ラテン・アメリカ及びカリブ地域はまだノミネートされていない。CDMEB09では、ノミネートに従って、理事会メンバー及び代理メンバーの信任を実施する。

以上