地球環境
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CDM理事会第15回会合 結果概要
2004年9月1-3日 ドイツ・ボン

2004年10月13日
文責:蛭田 伊吹


1) 運営機関の信任作業
  Marina Shvangiradze CDM-AP副議長から信任状況について報告があったほか、事務局から途上国の機関の関与を促進させる方法の実施について報告があり、COP10に提出する年次報告書の付属書として提出することに合意した。

2) 方法論について
  Methパネルから提出された以下10件の推薦について合意:
  承認:
  NM0018-rev(スコープ1:エネルギー産業、4:製造業。Annex 5(AM0014 Natural gas-based cogeneration)参照。)
  NM0039(スコープ13:廃棄物処理・処分。Annex 4(AM0013 Forced methane extraction from organic waste-water treatment plants for grid-connected electricity supply)参照。)
  見直し:NM0037, NM0045(9月20日までに再提出されればMethパネル第13回会合(2004年11月8−10日)で検討される。)
  不承認:NM0044, NM0046, NM0049, NM0052, NM0055, NM0056
  2つの統合された方法論「埋立地ガス回収に関する方法論」(Annex 1 (ACM0001)参照)及び「グリッド接続している再生可能資源による発電に関する方法論」(Annex 2 (ACM0002)参照)の改訂案が合意された。なお、統合された方法論の中で既にカバーされている承認済み方法論は、引き続き有効となったため、利用することが可能。また、統合された方法論でカバーされている申請中の新方法論については、もしすべての要素が統合された方法論の中でカバーされていないという場合は再検討を要請してよい。(CDM M&Pパラ38には、既に承認されている方法論と同じ適用分野の新しい方法論でも、その必要性が証明できれば申請しても良いと定められている。)
  なお、バガスベースのコジェネレーションプロジェクトの方法論(NM0001-rev)は、統合された方法論を作成するのに利用されたが、統合された方法論でカバーされていない部分もあるため、引き続き個別の方法論として検討されCDMEB12で承認を受けている。NM0001-revの再フォーマット版は近々公開される予定。(→ AM0015 http://cdm.unfccc.int/UserManagement/FileStorage/CDMWF_AM_678093135
  AM0001(HFC23の分解に関する方法論)については、方法論承認後、CDMプロジェクトによって京都議定書Annex Aの6ガスに含まれていない温暖化効果ガス(この場合HCFC22)の生産を増加させる可能性があることを考慮して、それもリーケージとしてカウントすべきといった意見等が表明されたことから、CDMEBはMethパネルに見直しを行うよう要請した。見直しは4ヶ月以内に行われ、その間AM0001の利用は保留となった。(保留になったプロセス等を含め、現在様々なパブコメが寄せられており、今後CDMEBの判断が注目される。)
  クレジット期間の見直し手順等については、今後推敲が必要なことが留意された。
  申請された新方法論のスクリーニング手順について修正が合意され、The procedure for sumbission and consideration of proposed new methodologies (Version 5)のパラ6が新しくなった(http://cdm.unfccc.int/Reference/Procedures/Pnm_proced_ver06.pdf)。
Version 5


事務局に指名されたMethパネルメンバー(1名)は、その方法論をA−Eの間で評価する。評価がC−Eの場合その方法論はプロジェクト参加者に送り返され、A又はBの場合のみMethパネル及びCDMEBで検討される。(CDMEB14にて決定)
Version 6
事務局に指名されたMethパネルメンバー(1名)は、その方法論を1又は2で評価する。2の場合はプロジェクト参加者に送り返し、1の場合のみMethパネル及びCDMEBで検討される。(CDMEB15にて決定)
  追加性を証明するツールについてMethパネルがまとめた提案(Annex 3)を検討した結果、パブコメを2004年9月4−21日まで募集することになった。コメントについてはCDMEB16にて検討される。
  申請された新方法論の検討と承認プロセスを改善するための(膨大な作業量への対処方法を含む。)オプションについては、CDMEB16までに最終的な報告書が提出される。

3) 吸収源CDMのワーキンググループ(CDM A/R WG)の活動
  吸収源CDMのPDD(CDM-AR-PDD、Annex 6)、ベースライン新方法論の申請フォーム(CDM-AR-NMB、Annex 7)、モニタリング新方法論の申請フォーム(CDM-AR-NMM、Annex 8)、以上3つの文書を作成するためのガイドライン(Annex 9)、及び新方法論の申請手続き(改訂版)(Annex 10)に合意。
  次回のCDM A/R WG会合(2004年9月5日)では、吸収源CDM用のデスクレビューに利用するフォーム、パブコメに利用するフォームを改訂する予定。(それまでは、既にある排出源CDM用のフォームを利用のこと。)

4) 小規模CDMについて
  小規模CDMの方法論とプロジェクトカテゴリーの見直しを行うグループ(SSC-WG)の任務が合意され(Annex 11)、2004年9月7日−10月4日まで募集が開始された。メンバーはCDMEB16で指名される予定。なお、SSC-WGの議長はGeorg Borsting氏(CDMEB副議長、ノルウェー)、副議長はRichard Muyungi氏(非付属書I国代表)に決定。

5) CDMプロジェクトの登録について
  HFCの熱酸化によってGHG排出量を削減するプロジェクト(インド・グジャラット)の登録申請を受け、文書等がネットで8週間公開されている。
  有効化審査報告書はネットで公開されること、DOEがまとめるパブコメは有効化審査の間に受け取られたものだけにすることが合意された。
  承認レター(letter of approval)及び許可レター(letter of authorization)で網羅されるべき内容のリストを作成することが合意された。

6) CDM登録簿について
  非附属書I国、及び非附属書I国のプロジェクト参加者は、CERs、tCERs、lCERsをCDM登録簿の保有口座から附属書I国の国家登録簿に移動させることが出来るため、それに対応したCDM登録簿が構築されることが求められる。
  CDM登録簿から国家登録簿へのクレジットの移動手順(案)については、事務局がCDMEB18までに作成する。
  CDM規約(M&P)に基づきCERs発行時のレビュー手順をCOP/MOPに提出しなければならない件で、Georg Borsting氏から発表された第1次案が検討され、以下のとおり合意された(Annex 12)。
 
Annex 12概要
  締約国によるプロジェクトの見直し要請
  DNAが正式な書簡にて事務局に要請し、事務局からCDMEBに提出される。CDMEBによる要請の受取日は事務局が受け取った日付とする。(なお、CERsの発行要請の15日後の17:00GMT以降に要請された場合は、検討しない。)
  CDMEBメンバーによるプロジェクト見直し要請
  CDMEBメンバーが事務局に要請し、事務局からCDMEBに提出される。CDMEBによる要請の受取日は事務局が受け取った日付とする。(なお、CERsの発行要請の15日後の17:00GMT以降に要請された場合は、検討しない。)
  見直し内容
  具体的なDOEの不正行為、違法行為、又は不適格性。理由及び補助資料とともに提出すること。
  見直しを行う際には、そのスコープ及び見直しチーム(CDMEBメンバー2名プラス外部専門家)の構成も決定する。見直しチームは、見直し作業の監督、情報の分析等を行う。情報のまとめ及びレコメンデーションの作成は見直しチーム内のCDMEBメンバーの役目。なお、これらは会合報告書の一部として公表される。
  見直し結果はDOE及びプロジェクト参加者に通告され、釈明要請があった場合は、5日以内(週日)に見直しチームに提出すること。
  見直し手順
  関係締約国又はCMDEBの3人以上のメンバーが見直しを要請した場合、次回のCDMEB会合のアジェンダにあげられる。
  CDMEBは、プロジェクト参加者及びDOEに見直しが要請されている旨及び審議の日程・場所を通告する。(関係者は参加可能。)
  DOE及びプロジェクト参加者は1名ずつ見直しプロセスのコンタクトパーソンを指名しCDMEBに連絡する。
  見直しは30日以内に終了。最終的には、CERsの発行を承認・不承認するか、DOEに修正を求めるかの決定がなされる。決定内容はプロジェクト参加者に通告され、公表される。DOEに関連することであった場合には、スポットチェックを行うかどうかを審議する。
  もしDOEに非がありCERsが発行されない場合は、見直し費用をDOEが負担する。
  Annex 12の対象DOEは、プロジェクトのverification及びcertificationを行ったDOEを指す。

7) その他
  COP10に提出する年次報告書(カバーされているのは2003年11月〜2004年9月まで)について合意された(Annex 13←未掲載)。
  次回の日程:2004年10月21−22日。傍聴希望は9月30日までに事務局に提出のこと。


CDMEB15に関する詳細は、CDM理事会HPを参照のこと。
  http://cdm.unfccc.int/EB/Meetings
以上