地球環境
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第17回CDM理事会会合 結果概要
2004年12月1−3日 アルゼンチン・ブエノスアイレス
検討事項

文責:蛭田 伊吹

1) CDM-APの進捗
  第4進捗報告書を受けて理事会の判断、及びMethパネルに求めること:
  信任するにあたっての、各審査段階における立会検査(Witnessing)の最低デフォルト回数は、現段階では設定しない。
  重要な問題に対するDOEの配慮及び意思決定の仕方を立会検査の範囲に入れた際、予測される結果についてEB18までに検討し提案を要請。
  OE候補は、申請する際に、DOEとして活動するに当たって国内法や適用法に対する法的な障害がないことを記した法的文書を提出すること。
  CDM-APのメンバー2名(Vijay Medirtta氏及びRaul Prando氏)が交代することに伴い2005年初頭から専門家を募集し、リストを作成。遅くともSB22と同時に行われるEB会合までにメンバーを選定。
  将来行う信任に関するジョイントワークショップには、理事会メンバー、CDM-AP及びCDM-ATのメンバーのみ参加が許される。
  ・ その他、以下のCDM-APの提案及び意見は理事会によって支持された:
  あるOE候補に対し、信任の可否を決定するに当たってもう一度立会検査の機会を与えることを求める。
  OE候補が、CDM-ATが報告書を完成した後に法人資格の変更を届け出した場合、CDM-APは一端審査を延期し、CDM-ATが変更について評価し報告書を改訂した後に検討を再開する。
  OE候補及びDOEは、彼らが行うすべての作業の質について責任を取らねばならず、従って理事会に提出する文書に免責条項は含めてはならない。

2) 方法論に関する進捗
  【新方法論の承認について】
  Methパネル第13回会合の推薦を参考に、出した理事会の検討結果は以下のとおり:
  承認:NM0017-rev(Scope 3), NM0037-rev(Scope 3), NM0053(Scope 1)
  見直し:NM0020-rev, NM0050, NM0038(→Methパネルからは承認推薦が出ていたが、方法論の適用条件について再検討が必要ということで、見直しとなった。)
  NM0020-rev及びNM0050については、2005年1月26日までに再提出されればMethパネル第15回会合(2005年4月4−8日)で再検討される。
  不承認:NM0051, NM0058, NM0059, NM0060, NM0063, NM0064
  NM0029についてはEB18で推薦を完成させる予定。
  第9ラウンドの締め切りは2005年2月14日。
  【承認済み方法論の見直し等について】
  見直しのため利用が保留されているAM0001については、以下のように修正することが決定。(修正版そのものはEB18で検討):
  既存の生産サイトとは、2004年末までに最低3年間稼動しているHCFC22生産施設を指し、それらの施設の既存の生産力とは過去3年間で一番生産量の多かった年の量を指す(スイングプラントでのCFC生産も考慮する)。この定義はモントリオール議定書の下での定義と一貫性を保つため、後に修正される可能性がある。
  AM0001は、既存の生産量分について以下のような条件の下で利用して良い。
  過去の年間排出率(HFC23/HCFC22)は2004年までの直近3年間の稼動期間から概算する。なお、可能であれば直接計測したHCF23排出量のデータを利用し、そうでなければマスバランス、またはその他の方法で計算すること。
  年間排出率の不確実性を定量化し、削減量を計算する際には保守的な数字を利用する。
  廃棄物発生率は、3年間のうち最低のもので、3%を超えないもの。データが手に入らない場合、デフォルト値1.5%を利用する。
  なお、プロジェクトのCDM化によって他の条約の目的達成に影響する可能性があることから、理事会はそのようなプロジェクトをどのように扱うかについてCOPにガイダンスを求める。(特にHCF23を破壊しCERを得るためにHCFC22生産施設の増設につながった場合、それとモントリオール議定書の目的との関係が問題となる。)
  NM0051(”PCH Passo do Meio”)のオペレーティングマージンの概算方法 は、ACM0002 iiに取り込まれこととなった。ACM0002の改訂版はEB18までに提出される。なお、ACM0002に取り込まれるため、NM0051そのものは不承認扱い。
  AM0016は修正iii
  AM0005及びACM0002を利用する水力発電プロジェクトについて、10w/m2以上の出力密度を持つ水力発電プロジェクトにのみに適用範囲を限るべきかMethパネルに検討を要請。
  承認済みの方法論(AM)の見直し手順(”Draft Procedures for the revision of an approved methodology”)については、引き続きBorsting CDMEB副議長が中心となってEB18までに修正版を用意する。
  【その他】
  新方法論の検討プロセスの改善方法についてCDM-AP及びMethパネルの両議長が作成したペーパーについては、EB18までにMartin Enderlin氏、Ndiaye Cheikh Sylla氏、Eduardo Sanhueza氏、及びHas Jurgen Stehr氏が修正案を作成し、EB18で検討する。
  「追加性の評価と実証のためのツール(Tool to assess and determine additionality)」については、以下を決定:
  ツールを利用したからといって、選択したベースライン方法論の正当性や一番説得力のあるベースラインシナリオの代替案の証明にとってかわるものでないこと。
  新方法論の申請者は、追加性の実証とベースラインシナリオの実証に一貫性をもたせる必要があること。
  ツールのステップ5iv は、定性的・定量的どちらでも良い。

3) CDMプロジェクト活動の登録について
  理事会は登録申請があった2つのプロジェクトを検討し以下の点について合意。(以下2件の見直しはRichard Muyungi氏及びMarina Shvangiradze氏の監督の下で行われる。):
  Project for GHG emission reduction by thermal oxidation of HFC23 in Gujarat, India(0001)→見直し要請が認められ、見直しの範囲が以下のとおり決定された。
  2004年11月10日に提出されたホスト国の自主的参加を認める書簡は、2004年1月5日に提出された条件付承認に取って代わるものなのか。
  SGS(ヴァリデーターであるDOE)の免責条項は適切か。
  GHGとしてのHCFC22から生じうる影響について十分にPDDで取り上げられているか。
  HFC Decomposition Project in Ulsan (0003)→見直し要請が認められ、見直し範囲が以下のとおり決定された。
  クレジット期間が開始する前にプロジェクトの開始時期を持ってくることは適切か。(クレジット期間前に回収されたHFC23を破壊することでクレジットを創出することになるため。)
  HCFC22の増産計画についてはHCF23/HCFC22排出率の中で考慮されているか。
  2つのHFC23フローメーターは保守的に利用されているか。
  GHGとしてのHCFC22から生じうる影響について十分にPDDで取り上げられているか。
  その他
  CDMグロッサリーの見直し(Annex 4参照)。→承認書について説明を加える。
  CDM-PDD、CDM-NMB、CDM-NMMを作成するためのガイドライン(Version2)の発行と、UNFCCCサイトへのアップ。

4) その他
  小規模CDM関連
   
  小規模CDMの提案された方法論とプロジェクトカテゴリーに関するワーキンググループ(SSC-WG、議長:Georg Borsting氏)の第1回会合が2005年1月31日〜2月1日まで開催される。メンバーは、Gilberto Bandeira de Melo氏、Felix Dayo氏、Binu Parthan氏、Daniel Perczyk氏、及び山田和人氏(パシフィックコンサルタンツ株式会社地球環境部 部長代理)。
  CDM登録簿について
   
  Version1のデモンストレーションが行われた。事務局に設置されたCDM登録簿は既にCERを発行できる体勢が整っている。なお、プロジェクト参加者の口座の設立、理事会からCDM登録簿管理者への発行・転送要請、CDM登録簿利用者(DNA含む)に対する報告の仕方などについては更なる検討が必要になる。
  今後はVersion2の開発が継続して行われる。(デモは2005年5月の予定)
  ※ 詳細については、CDM理事会HPを参照のこと。
http://cdm.unfccc.int/EB/Meetings

以上
  i “Which of the plausible alternatives scenarios, as listed in step 1of the additionality text, is the most likely baseline scenario? Please provide thorough explanation to justify your choice, based on the factors (investment or other barriers) described in the additionality methodology. This methodology is applicable only if the likely baseline scenario is electricity production from other sources feeding into the grid.”
ii “Consolidated methodology for grid-connected electricity generation from renewable sources”
iii Methパネル第13回会合報告書参照。IPCCへの参照をより明確にするため、以下のように修正する:
  肥料に含まれる灰の量は、水分を含む肥料すべての量ではなく、乾燥した肥料の量と比較される。
  18.45MJ/kgは18.45MJ/kg DMを意味する。
iv 計画されているCDMプロジェクトがCDMとして正式の登録されることによって経済的・資金的なハードルやその他のバリアが除去され、プロジェクトとして実行可能となることを証明。