地球環境
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Vol. 12 No. 239
2004年6月23日水曜日

国連気候変動枠組条約第20回補助機関会合


2004年6月22日火曜日




SB-20の参加者は、火曜日中、多くのSBSTA、SBIコンタクトグループで会合した。締約国は、午前中にLULUCF向けグッドプラクティスガイダンス(GPG)、キャパシティビルディング(能力向上)、研究および系統的な観察(R&SO)、およびUNFCCC 6条 (教育、訓練、啓発)について討議した。午後には、参加者は非附属書I国別報告書、技術移転、CDM規定小規模新規植林および再植林(A&Rプロジェクト)活動、ならびに気候変化(適応)の科学的、技術的、社会経済的影響面、脆弱性、および適応について取り上げた。夕方からは、政策措置(P&Ms)、決定書5/CP.7の実施(悪影響に関するUNFCCC 4条8項、9項)、ならびに緩和(緩和)の科学的、技術的、社会経済的側面について討議した。

Earth Negotiations Bulletinによる、決定書 5/CP.7の実施、ならびに緩和に関する諸グループへの取材は午後9時半に終了した。

SBSTA コンタクトグループ


LULUCF向け優れた実践方法ガイダンス(GPG):
締約国は、COP決定書草案に関する討議を継続した。 非公式グループの進行役となったMaria Sanz (スペイン)は、共通報告様式 (CRF)に関して、土地特定単位のための手法問題を除くと、進展があったと報告した。 ブラジルは、 G-77/中国を代表して、 この問題への対応にもっと時間をとるよう求めた。カナダ、ロシア連邦、および EUは、 SB-20でCRFを採用することの重要性を強調した. G-77/中国は、 AOSISとともに、さらなる討議を行うまでは、決定書草案のタイトルを括弧書きにするよう求めた。

伐採木材製品に関しては、締約国は、2004年8月/9月にノルウェーで開催予定のワークショップの方針をまとめたSBSTA 結論書草案に合意した。

その他、LULUCF問題に関しては、 オーストラリアは、COPおよびCOP/MOP決定書草案の勧告に関して、第1約束期間における土地劣化および植生破壊(devegetation)を除外し、その代案となる文言を提案したが、EU、G-77/中国、 AOSIS、カナダは、これに反対した。

抽出に関しては、 米国と日本は、LULUCF問題を広範に取り組むべきだとする、オーストラリアとカナダが提案する代替案を歓迎した。しかし、G-77/中国とAOSISはこれに反対を唱え、共同議長による提案をベースに取り組むことを望んだ。EU は、共同議長案をベースに討議することを持ちかけたが、オーストラリア案も同時に考慮することを提案した。 Audun Rosland共同議長は、非公式会合の中で、GPGやその他のLULUCF問題をさらに討議すると述べた。

R&SO:
Stefan Rosner (ドイツ) と Sok Appadu (モーリシャス) がこのコンタクトグループの共同議長を務めた。 参加者は結論書草案を検討した。締約国は、GCOS事務局が、単にGEF からの支援だけではなく、UNFCCCの資金メカニズム、およびその他の二国間、多国間ベースの国際機関からの支援に関して報告することを求める米国案に賛成した。 参加者は、地球観測に関連した、地域のアクションプラン実施に関するGCOS報告のタイミングについて討議し、SBSTA-21、および、その後のセッションが妥当であるということで同意した。締約国は、UNFCCCのニーズに合致させるためには、研究活動の妥当性や、そこでの国際協調について評価する必要があるという点を、さらに検討することが重要であるということで一致した。

技術移転:
締約国は、共同議長の結論書草案の中の未決の3パラグラフについて取り上げ、討議を終了した。参加者は、TT:CLEAR調査の結果に対する言及に同意した。 また、締約国は次の項目で同意した:附属書I締約国が技術ニーズ評価のための技術支援を提供すること。関連諸機関を招いて、地域ワークショップを開催し、途上国締約国が自国の技術ニーズ評価報告書をまとめる際の援助を行うこと。さらに国別・地域別技術ニーズ評価に関するデータベース整備において、関連諸機関が途上国締約国支援を奨励すること。COP-10決定書の可能な要素に関する非公式折衝に向けた休憩に続いて、締約国は、米国提案の修正版に合意した。

CDM規定小規模A&R プロジェクト:
参加者はノンペーパーについて検討を続けた。 The INDIGENOUS PEOPLES ORGANIZATIONS は、プロジェクト計画文書の中で、事前折衝に基づき、低所得社会に対してさらに便益を与えるという目的を明確に反映させること、地域社会の関与、プロジェクト参加者とプロジェクトの利害関係者とを区別することなどを要請した。

Thelma Krug議長は、特定の環境下で割引係数を適用することによる、リーケージに対応するための締約国間の合意について報告する一方で、その他の環境下での非リーケージについても想定した。 また、同議長は、CDM規定のEBは、モニタリングにおける品質保証および品質管理の責任を負うと報告した。

バンドリングへの言及は、本文全体で括弧書きのままとなっている。ツバル、およびその他の締約国数カ国は、 プロジェクトの「カテゴリー」に関する文言を明確化することを提案した。参加者は、指定された運用団体による検証に関するパラグラフの中の、低所得社会、低所得者という言及について討議した。このパラグラフは、ベースラインとモニタリング手法に関する付録Bと同様、括弧書きされ、今後の非公式折衝で取り上げられる。

適応 および 緩和:
午後には、参加者は、SBSTA-21での検討事項、すなわち、地域的気候モデル化、リスク認識、適応と持続可能な開発とのリンケージなどを含む、適応に関する結論書草案を検討した。中国は、SBSTA-21が気候変化の影響における科学的、技術的、社会経済的局面などの問題を含む追加事項に焦点を当てるべきであると述べたが、 スイスがこれに反対した。スーダンは、適応性あるキャパシティへの取り組みを提案し、マリがこれを支持した。バングラデシュは、ロシア連邦とともに、適応可能性と、影響評価および影響予測の地域的気候モデル化を強調した。サウジアラビアは、対応策による影響への適応について見当することを提案した。マリは、貧困削減を検討することの重要性を強く主張した。 カナダは、持続可能な開発に対して、もっと詳細にわたって焦点をあてることを求めた。

アルゼンチンは、事務局が、従来の地域的気候循環モデル、脆弱性決定のための手法論、適応プロジェクト策定のための手法論などに関する情報をまとめるよう求め、スイスとサウジアラビアがこれを支持した。 EUと米国は、今後見込まれるリソースへの影響を指摘した。ウガンダは、決定書10/CP.9 (適応と緩和) により、SBSTA が、単に締約国間の情報交換の促進にとどまらない権限を与えられていると述べたが、米国はこれに反対した。

締約国は、もっと後の段階で題目リストを仕上げることで決定し、事務局に対して、SBSTA議長の指導の下、ワークショップの開催や、情報交換や、そうした経験の共有を促進するための突っ込んだ議論を行うよう要請した。参加者はまた、締約国からの提示案やワークショップ報告書について討議した。 Warrilow共同議長は、非公式折衝でSBSTA-21での検討事項を取り上げると述べた。

夕方からは、 参加者は、緩和に関する結論書草案を検討し、夜まで討議が続いた。

P&MS:
参加者は、共同議長の結論書草案について議論した。サウジアラビアは、G-77/中国を代表し、政策措置(P&M)実施による悪影響について言及する文言を追加するよう求めた。EUは、決定書13/CP.7 (P&M)の言い回しを直接引用することを提案し、米国がこれを支持した。G-77/中国は、日本やカナダとともに、EU提案を歓迎したが、それを文書に入れてほしいと述べた。Tony Surridge共同議長は、共同議長は非公式折衝で討議予定の提案を盛り込んだ結論書草案を準備すると述べた。

SBI コンタクトグループ


キャパシティビルディング(能力向上):
参加者は、Dechen Tsering議長が提案した結論書草案に合意した。また、第1回包括レビュー完了のための技術会合は、SBI-21で開催予定の実務家会合へと切り替えられた。Tsering議長は、SBI-21で交渉予定の決定書草案のための要素を提起した。日本は、決定書は附属書II 締約国が支持する活動を明確にすべきであると述べた。オーストラリアは、将来の機会について言及することを提案した。タンザニアは、G-77/中国を代表して、特に、どのように先進国および資金メカニズムがキャパシティビルディング(能力向上)に関するUNFCCC条文やCOP決定書に対応してきたかを検討するレビューを要請した。ルーマニアからの質問に対して、Tsering議長は、EITにおける キャパシティビルディングが別の決定書草案で取り上げられると述べた。

UNFCCC 6条:
締約国はMarkus Nauser議長によって提出された決定書草案について議論した。 参加者は、 6条について、結論書への付録という形で、締約国の統一見解や、情報ネットワーク情報センターのさらなる整備に関する事務局へのガイダンスを含めるべきかどうか討議した。事務局は、必要な資金の調達できるという確約なしに、情報センター整備のための入札について要請することは難しいと締約国に対して報告した。これに対し、締約国は失望の念を表明した。

参加者は、その後、提出案の期日と、ニューデリー・ワークプログラム実施に関する報告書の内容について討議し、事務局がこれらをまとめ、総合的に扱うべきか、また、報告書の情報がどのように国別報告書の情報と関連するものなのか議論した。G-77/中国は、非附属書I締約国における6条の活動支援のためのGEF による財政支援の可能性を指摘するパラグラフの挿入を求めた。

非附属書I 国別報告書:
非公式折衝やG-77/中国、 米国、サウジアラビアからの提案につづいて、Sok Appadu議長は、参加者がEUによる妥協文案に対する見解を発表するよう求めた。EU案は、前回の国別報告書の実質的完了の前にも、かつ国別報告書提出後1年を期限として、非附属書I締約国が国別報告書のための財源案を提出することを求めている。ブラジルは、G-77/中国を代表して、1年以内という期限に対して懸念を表明した。

非附属書I締約国による4年ごとの国別報告書提出を求めるAppadu議長案に対して、G-77/中国は、6年周期を妥当と考えるグループ国もあった中で、議長がこれを正式なグループの見解として提案する権限はないと述べた。

こうした提案は、3年ごとの国別報告書提出を主張するEU案とならんで、まとめられ、括弧書きになった。 Appadu議長は、締約国が非公式折衝を行い、文書化したものを提出するよう求めた。

決定書 5/CP.7の実施:
参加者は、前回の協議や非公式折衝でとりまとめた文書について交渉した。Paul Watkinson共同議長は、前文の中の6パラグラフは決定書 5/CP.7の中で網羅されていると指摘した。 米国は、相違問題に取り組む必要性について認識しつつ、これらのパラグラフを削除し、決定書5/CP.7の実施の進展を歓迎する文言を追加することで同意し、EU、 G-77/中国、カナダもこれを支持した。ケニヤは、G-77/中国を代表して、進展について評価する難しさについて言及する一文を追加することを提案した。

財政支援および技術支援に関して、G-77/中国は、同グループが新たな行動志向という文章を取り入れると述べた。ペルーは、脆弱性と適応評価のための資金不足、適応プロジェクトの国際的な便益を証明してGEF資金にアクセスすることの難しさを強く主張した。 ミクロネシアは、AOSISを代表して、 データ収集、適応のための技術の必要を強調した。 参加者は気候変動特別基金について討議した。また、気候変化・その他のGEF中心テーマの中で適応に取り組む、あるいは組み込むための努力など、決定書 5/CP.7を受けて着手された活動に関して、GEFがどれだけの頻度で、どのような様式でフィードバックすべきかという問題についても討議された。夜遅くまで討議が続いた。

廊下にて


技術移転に関する結論書草案についての交渉終了に伴い、火曜日の他のコンタクトグループの会合においても、出席者の拍手喝采が鳴り響いた。往年の論争の繰り返しを避けるためにマラケシュ合意の全文が完全に書き写されたというグループの例をみるように、従来からの困難な問題は、ひきつづき今後の課題として持ち越された。別のグループでは、出席者にコーヒーが供され、夜まで交渉が長引きそうな模様であった。
今日の予定
SBI コンタクトグループ: UNFCCC6条はPlanckで午前10時から、非附属書I国別報告書はHaydnで午前11時半から、政府間会合の調整はSchumannで午前11時半から会合。決定書5/CP.7の実施はHaydnで午後5時から会合。

SBSTAコンタクトグループ:
R&SOはMannで午後3時から、P&MはLisztで午後5時から、CDM規定小規模A&RはRegerで午後7時から会合。