地球環境
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Vol. 12 No. 240
2004年6月24日木曜日

国連気候変動枠組条約第20回補助機関会合


2004年6月23日水曜日




水曜日、締約国は、結論書および決定書の草案作成作業を完成させるべく、一日を通して、コンタクトグループでの会議を継続した。午前中、参加者は、UNFCCC6条(教育、訓練、啓発)および政府間会合の調整について検討した。午後と夕方、締約国は、研究と体系観測(R&SO)、政策措置(P&Ms)、CDM規定小規模新規植林および再植林(A&R)プロジェクト活動、非附属書I 国別報告書、決定書5/CP.7(悪影響に関するUNFCCC4.8条および4.9条の実施)の実施について、議論した。

本日のEarth Negotiations Bulletin では、決定書5/CP.7実施に関するコンタクトグループの活動のうち、午後10時までのものを対象としている。

SBIコンタクトグループ

UNFCCC6条:締約国は、改定された結論書草案を検討し、文章での合意を見るとともに、その審議を尽くした。締約国は、2007年を第一期または第二期の作業終了時期とするかどうか議論し、これ以前にレビューを持ってくることで合意した。6条実施の進展についての報告書の提出に関し、セントルチアは、ニューデリー作業プログラムのレビュープロセスの中に含めるべく、新しいまたは最新の情報を提出するよう、締約国にもっと強力に働きかけることを提案した。EUは、期限までにそのような追加情報を提供できないとして、これに反対した。同代表は、全ての締約国からの情報を検討するレビューの重要性を強調した。第6条活動向けGEF基金への非附属書I締約国によるアクセスの可能性について、参加者は、これが国別報告書の対象となる活動のみに適用されるものであることを明確にした。

ガンビアは、情報センターの検討継続に対するフィードバックメカニズムの重要性を強調した。

非附属書I 国別報告書:
このコンタクトグループは、本日2回にわたり会合した。午前中、参加者は、Sok Appadu議長の提案する結論書草案について交渉した。この結論書は、専門家諮問グループ(CGE)の作業、資金援助および技術援助の提供、第二次国別報告書および当てはまる場合には第三次国別報告書の提出に関するものであった。

また、参加者は、非附属書I 国別報告書作成への資金調達に対するUNDP/UNEPアンブレラプロジェクトの運用規則および承認手続きについて、COPへ報告するようGEFに呼びかけるG-77/中国提案の決定書草案についても議論した。EUと米国は、GEFがCOPに報告する組織であるという事実を指摘し、詳しい情報は、インターネットで得られると述べた。バルバドスは、GEFには速やかにプロジェクトの承認を行う義務があるが、このプロセスでの問題に対処する場が存在しないことを指摘した。米国は、UNFCCCセッション期間中でのGEFとの質疑応答セッション開催を提案した。EU は、この問題に柔軟に対応する意思を表明した。

夕方、参加者は、CGEと資金援助および技術援助に関する結論書案を承認した。締約国は、非附属書I国別報告書の報告周期に関する決定書草案について、EUの提案する3年周期、SBI-19で議論された文書草案にある4年周期、そしてG-77/中国の提唱する6年周期を含め、議論を開始した。

EUは、同地域代表団の提案を支持し、日本と米国の支持を得て、特に,第一回国別報告書の完成後、能力も構造基盤も強化されており、その後の国別報告書作成を容易にしている、国別報告書の頻繁な提出は、さらなる資金という結果を生む、長期的な枠組みでは非効率を促進する、と述べた。タイは、非附属書I締約国には、国別報告書に必要な情報を確保するだけの時間が必要であると述べた。

いくつかの非附属書I締約国が、能力や資源が増大したにもかかわらず、第一期国別報告書の作成に3年かかった附属書I締約国も多いことを指摘した。G-77/中国は、UNFCCC12.5条(提出頻度)により、COPに全締約国の報告書頻度を決定する権限が与えられていることを強調した。日本は、資金調達の頻度に関する決定は、GEFの第四次資金補填の議論に情報を提供することになると述べた。

参加者はこの問題に関して意見の一致を見ることができず、このため、非附属書I締約国に対し、第二次、および当てはまる場合には第三次国別報告書について、その前の国別報告書の実質的な完成に先立ってでも、提案を提出するよう呼びかけるオプションについて、議論した。G-77/中国は、非附属書I締約国に前回の報告書提出後1年を越えない時期にプロジェクト提案を提出するよう呼びかけるEU案の文章に反対し、タイとサウジアラビアはこれを支持した。G-77/中国は、このような言及がGEFでの締切期限と解釈されることへの懸念を表明した。

締約国は、結論に達することができなかった。Appadu議長は、合意されている結論書、さらには米国、EU、G-77/中国そしてオーストラリアによる、さらななる提案も含めた、文章全体を交渉のためSBI21に回されると述べた。

政府間会合の調整:
参加者は、結論書草案について検討し、最終審議を行った。COP-10に向けた調整について、米国は、日本の支持を得て、締約国にとってその貢献が大いに期待されるのは、パネルディスカッションへの参加であるとの認識から、開会式での各グループのスピーチ引用を削除するよう提案した。パネルで取り上げられるテーマについて、ノルウェーとアイスランドは、エネルギーテーマが含まれていないことへの失望感を表明した。EU、アイスランド、カナダは、その再挿入を要求した。気候変化緩和という主題に関し、サウジアラビアはG-77/中国を代表して、便益と悪影響とを考えるよう提案した。スイスは、アプローチや機会に注目することを提案した。締約国は、さらに意見交換を行った後、「気候変化、政策、そしてその影響の緩和」を議論することで、合意した。

UNFCCCプロセスへの効果的な参加について、米国は、締約国が、会議への出席とは物理的にそこにいることであるという解釈で合意していないことへの驚きを表明した。同代表は、CDM EBの手続き規則の解釈について、懸念を表明したことを示す追加条文を提案した。同代表は、懸念への言及が含まれた、決定書18/CP.9(CDM EBへの指針)の採択以来、CDM EBの実施方法に何の変更もなされていないと述べた。EUは、米国提案の追加文章に反対し、たった一つの締約国の懸念で、プロセスを変更するわけにはいかないと述べた。Sach議長は、結論書ではなく、SBI-20の議事録の中で、米国の懸念を反映させることを提案した。米国は失望感を表明し、アルゼンチンとノルウェーは、結論書の中で米国の懸念を反映させることで合意した。締約国もこれに同意した。

また、参加者は、国連システムと市民社会の関係強化を目指す国連イニシアティブへの言及も取り上げた。G-77/中国は、このイニシアティブは、背景情報と考えられるべきであると述べた。EUは、このイニシアティブの重要性を強調した。

オブザーバー機関の参加について、G-77/中国は、将来のセッションでのオブザーバー組織参加について、引き続き検討することを希望した。米国は、政府組織にもUNFCCC 7.6条(オブザーバーの参加)の規定でオブザーバーとして参加する資格があると述べた。

決定書5/CP.7の実施:
このコンタクトグループでは、改定された決定書草案を検討した。締約国は、対応措置実施の進展に関するそれぞれの立場に変更はないと述べ、文章を括弧書きのまま残すことで合意した。保険に関して、EUは、対応措置実施の影響が付保可能なリスクではないことを強調し、米国の支持を得てそうなるように文章の削除を行うよう要請した。米国は保険に関するフォーラムの利用、そしてその作業プログラムで提案されている要素の根拠について疑問を投げかけた。サウジアラビアは、保険についての審議継続の必要性を強調し、関心ある締約国や、政府間組織の代表、金融および保険部門で組織されるフォーラムを2年ごとに会合するよう提案した。モデル化について、EUは、専門家グループ結成に関する箇所の削除を提案したが、サウジアラビアはこれに反対した。交渉は、深夜まで続けられた。

SBSTAコンタクトグループ

R&SO:
参加者は、改定された結論書草案について検討した。締約国は、IPCC TARに対応する研究に関し、SBSTA20でのイベントで出てきた主な問題に適切に対処するにはどうすればよいか、SBSTA-21およびSBSTA-22での検討のため、書類を提出するよう求めるとの米国案に合意した。締約国は、この提案およびそのほかの小さな変更を伴った結論書草案について合意した。

政策措置:
Anders Turesson共同議長は、結論書草案を提示し。この文章にはEU、G-77/中国、米国の提案が組み入れられていることを、指摘した。サウジアラビアはG-77/中国を代表し、決定書13/CP.7 (政策措置)に言及した文章の削除を要請し、同じ決定書での表現を含めるよう希望したが、米国、EU、オーストラリア、日本はこれに反対した。Turesson共同議長は、決定書の文章を含める一方で、残りの文書の交渉によっては、決定書への言及も保持することを提案した。締約国はこれに同意した。政策措置に関する情報交換について、日本は、部門間での違いへの言及を加えるよう提案したが、G-77/中国はこれに反対した。この言及は括弧書きとなっていた。G-77/中国は、SBSTA-22まででの非附属書I締約国による「あらゆる情報」の交換を示す表現の削除を、要請した。非公式折衝の末、部門間の違いおよび「あらゆる情報」とした表現は、取り除かれ、結論書草案での合意が達せられた。

CDM規定小規模新規植林および再植林プロジェクト:
Thelma Krug議長は、非公式折衝での進展につき報告した。参加者は、COP-10での決定書提案を視野に、SBSTA-21でも作業を続けることで合意した。その後Krug議長は、ベースラインおよびモニタリング手法に関する付録Bの改訂版を提示し、これがCDM EBによる特定のA&Rプロジェクトに対する簡素手法の開発に、さらなる指針を与えことを指摘した。付録Bの改訂版は多少の変更の末、承認された。

小規模CDM新規植林および再植林プロジェクト活動を容易にする措置について、ペルーは、ボリビア、チリ、セネガル、コロンビア、コスタリカの支持を得て、特に次のことを奨励する決定書文案を提案した:ホスト締約国が、小規模A&Rプロジェクトを、自国の持続可能な開発および貧困削減戦略のための 活動に結び付けることなど、国レベルおよび国内小地域レベルでの措置の導入を奨励する;プロジェクトの施行を支援するため、決定書附属書に定める分野において、開発途上締約国を援助するよう資金源および技術資源を要するものに求める;さらにこの目的で、より合理的で迅速な資金調達活動手続きを採用するよう、資金メカニズム運営組織に勧める。カナダは、この問題に関する実質討議への関心を強調し、プロジェクトのキャパシティビルディング(能力向上)が、合理性、効果性に関するカナダの原則案による指針を受けると述べた。

バンドリング(集束化)について、ブラジルは、認証、検証、認可のコスト軽減という観点から、ホスト締約国が、いくつかの小規模A&R CDM活動の協調をはかることを認めるとの提案を行った。同代表は、この文章の承認により、バンドリングに関する全ての括弧書きの括弧が外されることになると述べた。EUは、いくつかの小規模プロジェクト活動の協調を図ることでは、投資側締約国にも一定の役割があると述べ、日本もこれを支持した。

カナダは、この問題を検討する時間が十分でないことから、バンドリングに関する括弧は残すよう求めた。

ブラジルは、認証前に低所得自治体の参加を確認することについての新しい文章を、G-77/中国の承認待ちながら、提案したが、スイスはこれに反対した。セネガルとインドは、この文章は、G-77/中国の案としては受け入れがたいと述べ、折衝の時間を要請した。折衝後、締約国は、G-77/中国内の一部締約国による代替案として、括弧書きのまま残すことで合意した。

廊下にて

オブザーバーは、航空輸送および海上輸送に関して、水曜日にCOP-9以後初めて行われた非公式折衝の意義について議論していた。締約国の報告書やワークショップの運営上の詳細に関する他の議論とは異なり、この問題は、排出削減に長期的に大きな影響をもたらすと指摘するものもいた。環境に対するコミットメントが、それほど明確には出てきておらず、締約国は、手続き上の問題とか技術的な問題に足をとられているコメントするものもいた。
今日の予定
SBIプレナリー:SBIプレナリーはプレナリーIで、午後3時から6時に会合、UNFCCC6条、キャパシティビルディング(能力向上)、LDCs関連問題、政府間会合の調整、そして管理上、資金上の問題を取り上げる。

コンタクトグループ:LULUCF向け優れた実践方法ガイダンスのは、Regerで午前11時半から会合。適応と緩和に関するコンタクトグループの会合については、いずれ発表される予定。最新の詳細情報は、CCTVモニター参照のこと。