地球環境
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Vol. 12 No. 240
2004年6月25日金曜日

国連気候変動枠組条約第20回補助機関会合


2004年6月24日木曜日




木曜日、締約国は、午後のSBI プレナリーおよびコンタクトグループで会合した。 SBIは、UNFCCC 6条 (教育、訓練、啓発)、キャパシティビルディング(能力向上)、LDCs(途上国)、政府間会合の調整、および管理・資金面の問題に関する、結論書を採択した。 締約国は、終日、LULUCF向け優れた実践方法ガイダンス (GPG) に関するコンタクトグループで会合した。 また、コンタクトグループは、会合の場で、気候変化の影響の科学的・技術的・社会経済的側面、脆弱性、適応、および緩和 (適応と緩和)の科学的・技術的・社会経済的側面、および決定書5/CP.7(悪影響に関するUNFCCC 4.8条と4.9条)の実施に関する結論書草案に合意した。

SBI プレナリー

Stoycheva議長は、UNFCCCの下で設置された専門家グループ間の連携を促進するための決定書10/CP.8 (開発と技術移転)を受け、SBSTAおよびSBIの議長、技術移転に関する専門家グループ議長、非附属書I 国別報告書に関する専門家諮問グループ(CGE)議長、およびLDC専門家グループ(LEG)議長が参加した会合についての報告を行った。その後、同議長は、締約国に対して、数々の議題に関する結論書草案の検討を促した。

UNFCCC 6条: Markus Nauserコンタクトグループ議長は、同グループでの審議について報告した。締約国は、FCCC/SBI/2004/L.6の結論書を修正なしで可決した。結論書に関して、SBIは、締約国に対して、2004年1月開催のアフリカ地域のワークショップにて特定された主要な分野で協力するよう奨励した。また、SBIは、事務局に対して、2004年8月15日までに、国別報告書に含まれる情報や事務局が受けたその他の情報に基づいて、6条実施の進展に関する中間レビュー報告書を準備するよう求めた。 提案に関する報告書は、COP-10決定書草案の基礎を成す。6条情報ネットワーク情報センターの小規模モデルに関しては、SBIは、事務局が、情報センターの整備と実施に向けて、詳細な技術仕様書・同センター施設の特徴、実施にあたっての暫定期限・その他のオプション・それらの概算見積もり等、作業の進捗状況をSBI-21で報告するよう求めた。

SBIはまた、地域別ワークショップが6条活動を進展させるために不可欠であるとし、締約国や同様の立場にある人たちに対し、アジア、ラテンアメリカ、AOSIS加盟国の要求に取り組む残りのワークショップの資金調達に貢献するよう呼びかけた。結論書の付録は、6条情報ネットワーク情報センターのさらなる整備に関する、締約国の統一見解と事務局へのガイダンスについて記載しており、作業の第1段階の特徴と要素の概略に関する以下の点について説明している:締約国を対象とするが、一般大衆もアクセスできること;6条の教育と啓発の重視;対象となる観衆からの貢献を促進し、関連情報の普及を促進する;地域、小地域、国への情報提供と情報交換のために、コンピュータネットワークの活用を図ること、情報センターの有効性を継続的に評価すること。

キャパシティビルディング(能力向上):
Dechen Tseringコンタクトグループ議長は、交渉結果について報告した。その後、締約国は、 修正なしでFCCC/SBI/2004/L.5結論書を採択した。そうした結論書の中で、SBIは、SBI-21で途上国でのキャパシティビルディング(能力向上)活動の範囲と有効性に関する決定書草案の文面の推敲完了を決定した。 また、SBIは、各種資源の利用を条件に、COP-10での包括レビューの一助として、事務局が実務家会合を開催し、その結果をSBI-21へ提出するよう要請した。

SBIは、締約国、特にEITsに対し、EITs 内でのキャパシティビルディング活動の有効性に関して、2004年8月15日までに追加情報を提出するよう促し、事務局に対しては、GEFやその他の政府間組織から同様の情報提供を求めるよう要請した。事務局は、SBI-21の検討材料として、これらの提案やその他入手可能な情報を基に、EITsでのキャパシティビルディング(能力向上)に関する枠組み実施の有効性に関する分析ペーパーを作成するよう求められている。

UNFCCC 4.8 条と4.9 条の実施: LDCs:
Stoycheva議長は、LDC関連事項に関する非公式折衝を行ったとのべた。締約国は、第2期LEG (2004-2005)で提唱された作業プログラムを支持する、FCCC/SBI/2004/L.4結論書を修正なしで採択した。この結論書の中で、SBIは、LEG議長がSBI-21でLEG作業プログラム実施にあたって見られた進展に関して最新情報を提供するよう促した。

政府間会合の調整:
Karsten Sachコンタクトグループ 議長は交渉について報告し、結論書草案が、COP-10の調整、今後の会期、政府間プロセスの組織、UNFCCCプロセスへの効果的な参加、および、COP/MOP-10の調整などを含む、すべての議題の下位項目について網羅していると述べた。 The INDIGENOUS PEOPLES’ ORGANIZATIONS (IPOs) は、SBIが同組織の効果的な参加を配慮したことに対する感謝の意を表明するとともに、気候変化と原住民に対してさらなる関心が向けられることを希望した。締約国は、 (FCCC/SBI/2004/L.7) 結論書を修正なしで可決した。COP-10ホスト締約国として、アルゼンチンは、議定書実施にむけて確実に前進できるよう、COP-10で参加型の環境づくりを目指すと述べた。

COP-10結論書の中で、2004年が国連気候変動枠組条約締結10周年にあたり、COP-10の中心テーマとなるだろうというSBIの認識を示している。 また、2004年12月15日から17日にわたるハイレベルセグメント(HLS)の開催を承認している。 SBI はまた、ハイレベルセグメント会期中、下記の4テーマの意見交換方式としてパネルディスカッションを提案している。1)10年後の国連気候変動枠組条約:その成果と将来の課題、2)気候変化の影響、適応措置と持続可能な開発、3)技術と気候変化、4)気候変化の緩和:政策とその影響。 政府間プロセスの組織に関しては、 SBIは、事務局がSBI-21と連動してワークショップを開催し、その他の多国間プロセスで関連している経験を考慮に入れながら、背景報告書を作成することを要請している。

UNFCCCプロセスへの効果的な参加に関して、SBIは、透明性と参加に関するCDM EBの手続き規則の解釈をめぐる懸念に留意し、2005年1月31日までに提出される提案をベースに、SBI-22でも効果的な参加に関して審議を継続することで合意した。

オブザーバー機関の参加に関して、SBIは、オブザーバー機関の参加を認める、現行の事務局のアプローチに着目し、この件に関する審議継続を認めた。 また、公式文書としては発行しないが、事務局のホームページで入手可能にするという条件で、SBIは、情報や意見の提供範囲をNGOまで拡大することに同意した。

原住民の参加に関して、SBIは、原住民問題に関する国連常設フォーラムの勧告とIPOsの要請を検討する。SBIは、UNFCCCの下で、IPOsが現在提供されている、既存の団体や機会を活用するよう奨励し、UNFCCCプロセスの中でIPOsによる拡大参加の意義を認識している。

管理・資金面の問題: 2004-05年の2年間の予算成果:
締約国は、FCCC/SBI/2004/L.2結論書を修正なしで採択した。結論書に関して、SBIはUNFCCC 4.8条(悪影響)に関連して、2004-05年の作業プログラムの情報に留意している。同時に、2004年5月31日現在の拠出金の出資状況につい特記している。SBIは、時間内にコア予算に対する拠出金を全額出資している締約国、特にUNFCCCプロセスへの参加のための信託基金や補助活動のための信託基金に拠出した締約国に対して感謝の意を表明するとともに、コア予算への拠出金が未納となっている締約国に対しては可及的速やかに拠出するよう迫った。SBIは、途上国、特にLDCsやSIDSのUNFCCC会議への効果的な参加を確実にするために、UNFCCCプロセスへの参加のための信託基金に対する拠出金を高水準で維持していくことが重要であると強調している。

本部合意の実施:
締約国は、FCCC/SBI/2004/L.2結論書を修正なしで採択した。結論書に関して、SBIは、国連大学およびボンの国際会議場に関するホスト国政府の声明に留意している。

コンタクトグループ

LULUCF向けGPG:
午前中、Audun Rosland共同議長は非公式折衝での進展について説明し、共通報告様式(CRF) の表に関する草案グループでの作業を継続するため、Maria Sanzが進行役を務めるコンタクトグループの会合をいったん見合わせることを提案した。 コンタクトグループは、午後に討議を再開した。Maria Sanzは、議定書 6条 (共同実施)に関連するLULUCF活動の特定以外のCRFの作業完了を報告し、本件をSBSTA-21に送ることで締約国が同意したと述べた。

参加者は、その後、その他のLULUCF問題に関するSBSTA結論書草案について討議した。 ブラジルは、G-77/中国を代表し、LULUCFに関するCOP/MOP決定書草案に対して、特定の言及を含めることを除外することに関して追加文を挿入することを提案したが、カナダ、EU、ロシア連邦、オーストラリアはこれに反対した。その代わりとして、William Agyemang-Bonsu共同議長は、非公式協議の後、SBSTA-19 報告書 (FCCC/SBSTA/2003/15)の中のGPGに関するセクションを引用する文章を提案し、締約国は合意した。参加者は、GPGに関する結論書草案について討議を継続した。ロシア連邦は、その他のLULUCF問題に関する結論書草案の中で「除外」に関するパラグラフを再考するよう求めた。Agyemang-Bonsu共同議長は、そのパラグラフは既に合意を得たものだと指摘し、プレナリーでのみ再開可能だと述べた。

CRFに関して、AOSISは、SBSTAが議定書 6条に関連する問題に配慮するという条件で、CRFの表の完成を示す表現を入れることを提案した。 EU、ロシア連邦、カナダ、日本は、CRFに関する作業はすでに完成していることを指摘し、文言の挿入に反対した。Agyemang-Bonsu共同議長は、CRFは「完成」というより「推敲」が終了した段階なのだと示唆した。カナダは、ロシア連邦、EU、日本の支持を受け、議定書 6条に関連する問題でSBSTAは決着しておらず、SBSTA-21でさらに検討をすすめることを記載する新たなパラグラフを挿入することを提案した。複数の非公式折衝の末、締約国はその文章を承認し、結論書草案に合意した。

適応と緩和:
適応に関して、締約国は、結論書草案の改定を検討した後、文案に合意し、審議を終えた。適応に関する会期中ワークショップに関する意見交換を歓迎する文面について、米国とサウジアラビアは、企業に関する言及を削除するよう提案したが、日本はこれに反対した。 緩和に関する結論書で合意に達する前に、適応に関する結論書が採択された見なすことにEUは異議を唱えた。 サウジアラビアとブラジルは、結論書に関連性がないことを強調し、EUの介入に失望感を表した。参加者は結論書草案に合意した。

緩和に関して、締約国は結論書草案に若干の修正を加え、改定された草案に合意した。

IMPLEMENTATION OF 決定書5/CP.7:
締約国は、 午後に少し会合を行い、SBI-21付属文書草案に合意した。 G-77/中国を代表したケニアの求めに応じて、締約国は、GEFやその他の政府間組織からの支援に関連した相違と課題、気候変動特別基金、LDC基金、および決定書5/CP.7の保険関連の行動などに関して、非附属書I締約国が要請されている同グループの見解提出に関する文言を削除することで合意した。

廊下にて


締約国は、長丁場となった、LULUCF優れた実践方法ガイダンスに関する討議が終了したことに安堵を表明した。今回の結果に、ロシアの京都議定書批准への期待が一部で寄せられた。

多数の参加者、オブザーバーが出席した擬似コンタクトグループでは、UNFCCC事務局スタッフのClaudio Fornerが ENBライターのDagmar Lohanにプロポーズしたが、これがSB-20のセッションの中で最も実りあるセッションかもしれないと、参加者は感激の涙を流した。