地球環境
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Vol. 12 No. 281
2005年11月29日

COP11及びCOP/MOP1の注目事項

2005年11月28日 月曜日



国連気候変動枠組条約(UNFCCC)第11回締約国会議(COP11)及び京都議定書第1回締約国会合(COP/MOP1)が、11月28日月曜日、モントリオールで開催された。COP及びCOP/MOPは、開会式典後、組織上の問題を議論し、開会ステートメントが述べられた。午後には、第23回補助機関会合が始まり、科学・技術上の助言に関する補助機関(SBSTA)では、組織上の問題、適応、緩和、方法論問題が議論された。実施に関する補助機関(SBI)は、組織上の問題、国別報告書、キャパシティビルディング、教育・訓練・啓発の問題を取り上げた。

歓迎式典
歓迎式典は、モントリオール市長のGerald Tremblay及びケベック州首相のJean Charestによるスピーチで始まり、Tremblay市長は、気候変動問題の深刻さを強調し、地方政府による温室効果ガス排出削減の支援に焦点を当てた。Charest首相は、排出削減に対するケベック州の支援状況を取り上げ、気候変動に対処するには、強力な活動が必要であると指摘した。両者のスピーチの後、気候変動の影響を紹介するパーフォーマンスが行われた。


COP11


COP11開会:COP 10議長のGines Gonzalez Garcia(アルゼンチン)が、COP11の開会を宣言した。同議長は、各国政府代表に対し、2005年10月14日に亡くなった故Joke Waller-Hunter UNFCCC事務局長のために一分間の黙祷をささげるよう求めた。同議長は、故Waller-Hunter事務局長を「疲れを知らない献身と熱意」の人物として賞賛し、この会議が大きな成果をあげるなら、それは、故人に対し、各国政府代表がたむけられる最大の弔辞となるだろうと述べた。

その後、締約国は、拍手をもって、カナダの環境大臣Stephane DionをCOP11及びCOP/MOP1の議長に選出した。Dion議長は、マラケシュ合意を正式に採択し、CDMを含めた京都議定書及びUNFCCCの実施を進めるなど、「実施、改善、革新」に向け、前進するよう、呼びかけた。また同議長は、2013年以降の約束の検討を始める必要があると指摘した。

UNFCCC事務局長代行のRichard Kinleyは、2005年を、国際的な気候政策にとり記念すべき年と位置づけたが、その一方で、附属書I諸国の排出量が増加しているとの最新のデータに注目するよう求め、さらなる行動が必要であると述べた。

組織上の問題:COPは、手順規則案のうち、第42項(投票)を除く、全項目を適用することで合意し、第42項については、Dion議長が、非公式協議を行うと述べた。

その後、締約国は、暫定議題書について、条約4条2項(a)及び(b)が適切に行われているかどうかの第二回レビューを議題項目から除くことで合意し、その上で暫定議題書を採択した。米国は、作業の構成に関し、条約の問題と議定書の問題を明確に区別する必要があることを強調した。COPは、議長提案どおりの作業の構成とすることで合意した。

その他の問題:各国政府代表は、その後、京都議定書5条2項(排出量推計方法)規定の調整に関する決定書草案(FCCC/SBSTA/2005/4/Add.1)について、議論した。Dion議長は、本草案が、COP/MOP1での採択が提案されている決定書パッケージの一つであると説明した。COPは、本決定書を採択し、COP/MOP 1に送った。

開会ステートメント:数名のスピーカーが発言し、技術移転、そして適応に関する5ヵ年作業計画に焦点を当てた。ジャマイカは、G-77/中国を代表して発言し、GEFでの資源分配枠組に対する懸念を表明した。英国はEU の立場で発言し、2013年以降での気候変動への対応では、「心を広く持ち」、「創造性に富んだ革新的な方法」をとるよう提案した。ケニアは、アフリカグループの立場で発言し、キャパシティビルディングの約束は不十分であると指摘し、バングラデシュは、後発発展途上国(LDCs)を代表して発言し、LDC基金、適応基金、特別気候変動基金を運用する必要性に焦点を当てた。


COP/MOP 1


月曜日の午前遅く、Dion議長は、COP/MOPの開会を宣言した。英国は、暫定議題書に関して、EUの立場で発言し、2条3項(対応措置)に関する議題項目10を入れることに反対し、この議題項目は別のところで取り上げるべきだと述べたが、サウジアラビアは英国の意見に反対した。結局、議題書は、提出されたとおりに採択された。

開会ステートメント:EU代表は、マラケシュ合意書の採択を待ち望んでいると述べた。同代表は、遵守に関し、COP/MOPで遵守に関する決定が行われたなら、EUは、議定書の改正に関する議論を始める用意があると述べた。同代表は、CDM及び適応基金ガイダンスについて、さらに議論する必要があると指摘した。また、同代表は、EUは、3条9項(将来の約束).について議論を開始する用意があることを強調した。

ツバルは、小島嶼国連合(AOSIS)の立場で発言し、3条9項規定の将来約束を要求し、CDMの能率向上に務めるあまり、環境上の十全性が損なわれることがあってはならないと述べた。


SBSTA


SBSTA議長のAbdullatif Benrageb (リビア)が、本会合の開会を宣言し、暫定議題書を提示した。米国は、小島嶼後発途上国(SIDS)に関係する議題項目11(a)の削除を求めたが、AOSIS、EU、G-77/中国はこれに反対した。また、米国は、議題項目10 (二酸化炭素回収・貯留に関するIPCC特別報告書)を含めることについて、明確に説明するよう求めた。これらの問題については、非公式協議を待つことと、同議題書は暫定的に採択された。リビアは京都議定書の締約国ではないことから、議定書に関係する議題項目については、SBSTA副議長のAmjad Abdulla (モルディブ)が、SBSTA会合の議長を務めるよう求められた。

適応:Kishan Kumarsingh (トリニダードトバゴ)は、2005年10月にボンで開催された適応に関する5ヵ年作業計画についての非公式ワークショップに関し、報告した。サモアは、G-77/中国の立場で発言し、多数の適応プロジェクトが実施できる段階にあり、資金調達だけが問題であると述べた。AOSIS、スーダン、イエメン、その他の代表は、実際の行動に移す必要があることを強調した。サウジアラビアは、ナイジェリア、クウェートとともに、対応措置に対する適応の問題を議論し、作業計画の中に経済の多角化を含めるよう提案したが、アルゼンチン、チリ、その他の代表はこれに反対した。日本は、方法論や影響評価に注目するよう提案し、米国は、既存の適応努力がどれだけあるかを調べ、専門家の参画を求めるよう提案した。カナダは、この作業計画と適応に向けた資金調達のためのSBI決定書は、「適応パッケージ」であると述べ、確固とした作業計画にCOPの支持決議をとりつけることが、本会合の目標であるとの意見を表明し、ペルーその他の代表の支持を得た。SBSTA議長のBenragebは、KumarsinghとHelen Plume (ニュージーランド)に、この問題に関するコンタクトグループの進行役を務めるよう要請した。

緩和:各国政府代表は、緩和に関する各種報告書(FCCC/SBSTA/2005/INF.5、 FCCC/SBSTA/2005/INF.5、Adds. 1-2)を検討し、多くの締約国が、会合の開かれていない時期にワークショップを開催することは有用であると主張した。中国は南アフリカとともに、最近の先進国からの温室効果ガス排出量増加に対する懸念を表明した。オーストラリア、カナダ、スイス、その他の代表は、部門別の手法に注目し、「重点分野」に焦点をあてるよう主張した。ここで重点分野として挙げられたものには、再生可能エネルギー、エネルギー効率化、炭素回収・貯留がある。オーストラリアは、緩和による共同便益を強調した。EUは、異なる安定化レベルの影響と排出経路について研究する必要があることを、強調した。Kok Seng Yap (マレーシア)と坂本敏幸(日本)が、このコンタクトグループの共同議長を務める。

方法論問題:伐採木材製品(HWP):UNFCCC事務局のJenny Wongは、締約国からの提出文書及び国別温室効果ガス・インベントリ・プログラム(FCCC/SBSTA/2005/INF.7、FCCC/SBSTA/2005年/MISC.9)に基づき、各国政府代表に、HWPに関する概要説明を行った。締約国は、HWP算定は複雑であり、さらに検討する必要があることを指摘した。非公式協議が行われることとなる。

LULUCFに関する共通報告様式(CRF):各国政府代表は、CRFの表に関する各締約国の見解を示す文書(FCCC/SBSTA/2005/7、FCCC/SBSTA/2005/MISC.7)を、検討した。Audun Rosland (ノルウェー)とNewton Paciornik (ブラジル)が、このコンタクトグループの共同議長を務める。

国際航空及び海上輸送用燃料からの排出量:国際民間航空機関(ICAO)のJane Hupeは、航空輸送からの排出量に関しICAOが行ってきた作業のうち、SBSTA 22以後のものについて、SBSTAへの概要説明を行った。Benrageb議長は、この議題項目の検討が、SBSTA 22で終了していなかったことを指摘し、Jose Romero(スイス)に非公式協議を行うよう求めた。


SBI


組織上の問題:SBI議長のThomas Becker (デンマーク)が、会合の開会を宣言した。EUとオーストラリアは、サウジアラビアの要求するように、「適応策と対応措置に関するブエノスアイレス作業計画」に関する小項目を議題書に含める必要があるかどうか、疑問を呈した。しかし、この議題書と作業の構成は、提出されたとおりで承認された。

Becker議長は、SBI 24とSBI 25の議事団メンバー選出に関する協議をCOP11及びCOP/MOPで調整すると述べた。後任が選出されるまでは、現在のSBI議長団メンバーが任務を継続する。
(※仮訳者注:officerとはChair, Vice-chair, Repporteurを指す)

附属書I国別報告書:
レビュープロセス・オプション:UNFCCC事務局のVitaly Matsarskiは、レビュープロセスの能率を向上するための提案書(FCCC/SBI/2005/16)を提示した。EUと日本はこの提案を支持したが、米国は、国内での詳細レビューを排除することに、懸念を表明した。Emily Ojoo-Massawa (ケニア)とDimitrios Lalas (ギリシャ) が、このコンタクトグループの共同議長を務める。

条約附属書T締約国が提出した1990年-2003年での国別温室効果ガス・インベントリ・データに関する報告:Matsaraskiは、報告書編集文書 (FCCC/SBI/2005/17)を提出した。各国政府代表は、この情報に留意することで合意した。

第三次国別報告書のレビューに関する状況報告書:Matsaraskiは、状況報告書(FCCC/SBI/2005/INF.9)を提出し、第三次国別報告書のレビューサイクルが終了したことを指摘した。各国政府代表は、この報告書に留意することで合意した。

非附属書I国別報告書:
第一次国別報告書の取りまとめと統合文書:各国政府代表は、非附属書I国別報告書に関する取りまとめ情報文書(FCCC/SBI/2005/18、Adds. 1-6)について議論した。バングラデシュと米国は、資金提供者が非附属書I諸国のニーズを評価する際に、この情報を利用するべきであると述べた。

非附属書I国別報告書に関する専門家諮問グループ(CGE)の作業:CGE議長のEmily Ojoo-Massawaは、地域ワークショップなど、2005年と2006年での非附属書I締約国の専門家に対する養成訓練及び支援について、各国政府代表に概要を説明した。インドネシアは、適応と脆弱性評価に関する地域ワークショップの開催に関心があると発表した。附属書I諸国に資金などの供与を求めた締約国も数カ国あった。バングラデシュは、国別報告書と国別適応行動計画とのシナジーを検討するべきであると述べた。

資金供与と技術援助:UNFCCC事務局のFestus Luboyeraは、UNFCCC12条4項の規定で認められている資金供与の対象として非附属書I締約国が提案するプロジェクトを列記した文書(FCCC/SBI/2005/Inf.8)を提出した。非附属書I国別報告書について非公式協議が開かれる。

教育、訓練、啓発:各国政府代表は、次の各項目を含めた多様な項目に関し、概要説明を受けた:新しいUNFCCC気候変動情報ネットワーク(CC:iNet)、インターネット情報センター、地域ワークショップ(FCCC/SBI/2005/21、FCCC/SBI/2005/14)、6条に関するUNEPの作業。Crispin d’Auvergne (セントルシア)が、このコンタクトグループの議長を務める。

キャパシティビルディング:SBIコーディネーターのJanos Pasztorは、決定書2/CP.10の規定によると、SBI 24では、決定書2/CP.7に基づくキャパシティビルディング活動の定期的なモニタリング方法を検討することが求められていると指摘した。ここでは、このコンタクトグループを作るかどうか、またそのようなコンタクトグループでは、キャパシティビルディングに関するGEFレビューを、どれだけの範囲のものについて検討するべきかに議論が集中した。タンザニアは、G-77/中国の立場で発言し、GEFにさらなるガイダンスを提供するには、コンタクトグループが必要であると主張したが、EUは、GEFレビューに関する議論は、GEFによる報告書に関する議題項目の下で取り上げるべきだと述べた。Joyceline Goco (フィリピン)とAnders Turesson (スウェーデン)が非公式協議を行う。


廊下にて
月曜日の朝、会議場に集まった各国政府代表は、登録のために長い列を作りセキュリティーチェックを受けなければならなかったが、大半のものが上機嫌で入場した。廊下での話題は、カナダの政治問題に集中、選挙結果がこの会議にどのような影響を与えるかという話でもちきりであった。各国政府代表の中には、Dion大臣がそのステートメントの中で、COP議長としての務めを果たすと約束したことに勇気付けられたと述べるものもいた。選挙キャンペーンは、この会議の背景としての興味はあっても、その結果がこの会議の成果を左右するはずはないと述べるものもいた。しかし、ある政府代表は、これからの2週間にどういう影響があるかよりも、来年1月以後、Dion大臣がCOP議長ではなくなるかもしれないことが悩みの種だと指摘した。


NEDOからの委託によりGISPRI仮訳