地球環境
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国連気候変動枠組条約第18回補助機関会合(SB18)ハイライト


2003年6月10日 火曜日



UNFCCC SB-18の代表団は、火曜日コンタクトグループと非公式草案作成グループで引き続き話し合いを行った。締約国は、IPCC TAR、議定書5条(方法論上の問題)、7条(情報の連絡)、8条(情報のレビュー)、政策措置(P&Ms)における「良好手法」、キャパシティ・ビルディング、UNFCCC4条8及び4条9(悪影響)、特別気候変動基金(SCCF)、2004−2005年度のプログラム予算について話し合った。6月12日木曜日と6月13日金曜日のSBSTA及びSBI最終本会議の前に作業を終わらせるべく、多くの非公式草案作成グループでも会合が行われた。

SBSTAコンタクトグループ

IPCC TAR:本グループは、午前中と夕刻にセッションを行い、共同議長の結論草案について引き続き審議を行った。締約国が暫定作業プログラムの項目に関するリストを編纂してはどうかというDavid Warrilow共同議長の提案に対し、数名の代表者からの反対があった。彼らは、作業プログラムに関するテキストを検討する前に、適応と緩和の科学的・技術的・社会経済学的側面について、一つのSBSTA議題項目で扱うかそれとも二つの項目に分けて扱うかについてと、作業プログラム案の項目について合意が必要だと主張した。ツバルは、「作業プログラム」という記述を削除して「今後のSBSTAの作業項目」に差し替えることを提案し、AOSIS、ロシア、スイスから支持を得た。G-77/中国は、SBSTA-19の前にTARに関する会合間協議の有用性について疑問を呈し、EU、日本、アメリカの反対に会った。オーストラリア、ニュージーランド、アメリカは、適応と緩和は別個の議題項目として検討することが可能だと述べた。カナダ、EU、日本、スイスは適応と緩和を一つの議題項目のもとで検討する方を良しとし、G-77/中国から反対された。参加者はその後、緩和と適応を一つの議題項目に含めるとしたら実際問題としてどのように検討していったらよいのかについて話し合いを行った。

オーストラリア、カナダ、EU、日本、ニュージーランドは、部門横断的問題を検討することの重要性と緩和と適応の統合について強調し、G-77/中国から反対された。カナダ、スイスは、適応と緩和がそれぞれ持続可能な開発やUNFCCC2条(目的)のような他の問題とどのように関わっていくかということの科学的・技術的・社会経済的側面について探ることをSBSTAに対し求めるニュージーランド提案を支持した。カナダ、EU、ロシア、アメリカは、SBSTA活動のタイミングの重要性を強調した。

サウジアラビアは、今後のSBSTAの作業項目から適応能力と緩和能力は排除するが、波及効果については含めるべきであると述べた。EUは、no regrets(後悔の無い)緩和オプションや温室効果ガス濃度安定化などを含めることを提案した。アメリカは、具体的なプログラム項目のリストを作成することに反対した。David Warrilow共同議長は、自ら複数の締約国と非公式協議を行うと語った。

議定書5・7・8条:本コンタクトグループは、COP及びCOP/MOP決定の草案とその附属書について話し合った。5条2(調整)における調整のための方法論に関する技術指針についてのCOP/MOP決定草案については、EUが主席レビュー担当者はデータソースの更新方法について提言を行うだけでなく開発方法についても提言を行うべきだと述べた。主席レビュー担当者選出の基準については、国連公用語以外の附属書T締約国公用語に関する知識が主席レビュー担当者に望まれる基準であるべきかどうかについて締約国は話し合いを行った。G-77/中国は国連公用語以外の言語という記述を削除することを望み、日本に反対された。Newton Pciornik共同議長は、非公式協議で引き続き決定・結論の草案について取り上げると述べた。

政策措置:Richard Muyungi共同議長が新しい結論草案を提議した。G-77/中国を代表してサウジアラビアが、「全締約国」間の情報交換という文言と、非公式ラウンドテーブルで情報交換するよう「附属書T締約国とその他関心のある締約国に対し呼びかける」という文言に反対した。同代表は、会合期間中に非公式ラウンドテーブルを行うという共同議長の提案は実行不可能ではないかと述べた。サモアは、サウジアラビアの懸念に全て同調するわけではないと述べた。協議のための短い休憩があったが、G-77/中国はテキストに対して一致した立場で合意することができなかった。そこでMuyungi共同議長は代表団の一般的見解を募った。EUと日本は、対応策の悪影響を最小化するための方法についての情報交換を呼びかける文言の削除を求めた。両代表は、アメリカと共にラウンドテーブルを開催するという選択肢についてさらに話し合いを行うよう薦めた。Greg Terrill共同議長は、G-77/中国がこれらの案件についてさらに話し合いを行えるよう本会合を終了した。

SBIコンタクトグループ

キャパシティ・ビルディング:本グループは、議長の結論草案と開発途上国におけるキャパシティ・ビルディングのための枠組み実施に関する総合的レビューのための委託事項(TOR)について検討すべく会合を行った。代表者らは、事務局に対し決定2/CP.7(開発途上国におけるキャパシティ・ビルディング)実施の進捗ついてまとめのペーパーを作成するよう求めるG-77/中国の提案に合意した。カナダは、二国間及び多国間機関からの情報を含めることを提案した。アメリカは、国家主導のアプローチを考慮することの重要性を主張した。レビュー・プロセスまでの時間が限られていたため、代表者らはCOP-9に対しCOP-10までレビューを延長する決定を採択するよう求めることで合意した。代表者らはまた、COPに対し決定3/CP.7(EITにおけるキャパシティ・ビルディング)をレビューする決定を採択するよう求めることでも合意した。レビューのTORについては、レビューの期間について締約国は話し合った。G-77/中国はCOP-7以降の期間を重視したいとしたが、カナダやその他の国々がキャパシティ・ビルディングは長期的なプロセスでありCOP-7で始まったわけではないと述べた。Dechen Tsering議長は、同結論草案について非公式協議を行うと述べた。

UNFCCC4条8及び4条9:本コンタクトグループは、午後と夕刻に会合を行った。Fadhel Lari共同議長は、共同議長結論草案とEU及びG-77/中国の提案を提議した。代表者らは協議のたたき台としてどの文書を使うかについて徹底的に話し合った。 G-77/中国は、彼らの提案は第一稿であり同グループの全てのメンバーに諮ったわけではないと述べた。同グループは、この提案を話し合いのベースとして使うことを提案して、アメリカとEUの反対を受けた。代表者らは共同議長草案をベースとして進めることに合意し、段落ごとの作業を開始した。

「成された進展」という言葉を削除するかどうかで様々に意見が分かれ、G-77/中国は決定5/CP.7(悪影響)の実施においてほとんど、ないし全く進展が無かったとする文言にすることを望んだ。アメリカとEUは、情報及び方法論・脆弱性・適応の分野とワークショップの招集やSCCF及びLDC基金の設立における多国間及び二国間活動通じて進展があったとうたうことを提案した。保険とリスク評価についてのワークショップの報告については、それを別のパラグラフで扱うかどうかについて代表者らは合意することができなかった。

経済多様化に関するワークショップについては、代表者らはTORをいかに推敲すべきかについて話し合った。G-77/中国は、意見提出のプロセスによってワークショップの組織が遅れかねないと述べ、決定5/CP.7はCOP-9より前にそれを開催するよう呼びかけていると語った。共同議長は、事務局に対しこの点についてSB-18で表明された意見を考慮に入れるよう求める妥協的文言を提案した。

代表者らは、前の会合で提案された修正について再び取り上げた。事務局は、締約国の提案を盛り込んだ改訂版草案を作成した。改訂版テキストを簡単に検討した後、グループは散会した。共同議長は、非公式協議を実施し、次期会合での話し合いに向けて次の改訂版を作成するであろう。

特別気候変動基金:Jaap Rooimans共同議長は、話し合いのため共同議長の結論草案を提議した。SCCFの指導原則については、G-77/中国が同基金はGEF気候フォーカル・エリア、LDC基金、二国間・多国間融資に対し補完的でなくてはならず、LDC基金の支援には適格とされない非附属書I締約国に対し適応のための融資機会を最大限に与える物でなくてはならないと語った。同代表はまた、適応プロジェクトが全世界的な恩恵をもたらすものとして認識され小規模プロジェクトがSCCFにおける小額贈与プログラムの設立によって迅速に入手可能となるべきことを主張した。アルゼンチンは、G-77/中国と共に、締約国から追加の意見提出を求めSB-19前に非公式の会合間協議を行うよう提案するテキストは、本件に関する進展をさらに遅らせると語った。EUは、これらのパラグラフに対して柔軟な態度であることに言及し、締約国からさらに意見提出を募れるようプロセスを支援すると繰り返した。

プログラム予算:本コンタクトグループは、議定書とUNFCCCにおける準備・運営作業のコストを分けた改訂版の表と改訂版の決定草案について話し合った。アメリカは、目録レビュー専門家の訓練のために求められる資金増額について説明を求めた。日本は、運営資本準備金にあてられた資金について具体的な計算を求め、オーストラリアの支持を得た。EUは、二つの評価指標を採用する決定が行われそうなことに懸念を表し、もし採用されれば締約国がMEA関連の選ばれた活動に対し資金を払わせられ、議定書未批准国に対し逆インセンティブを与えることになるので、この決定は他のMEAに対する悪しき前例となってしまうと語った。アメリカからの反対を受け、EUは締約国に対し二つの指標ではなく一つのみを決定するよう求める二つの新しい選択肢を提案した。最初の選択肢は、締約国はCOPで議定書関連の準備作業を含むUNFCCC予算を承認するというものであり、二つ目の選択肢は、締約国はCOPでUNFCCC予算を承認し、議定書関連の準備作業の予算はCOP/MOPで採択するというものである。アメリカは、UNFCCCの2ヵ年コストについてのみ締約国が決定し、議定書関連の準備・運営コストについては決定しないということを提案した。G-77/中国、アルゼンチン、ブラジルは、新たな国連総会規模の評価を自動的に適用するべきではないと述べた。

会場外では:

P&Msコンタクトグループが、いつもながらの土壇場の崩壊と思われる局面を迎えるのを目にして、その熱気に当てられたように感じたオブザーバーも若干あった。P&Msコンタクトグループへの某国の介入は、G-77/中国の権限に対する「寛大な解釈を超えている」ようだと語る者もある。同コンタクト・グループはまた会合を行うが、合意の「見込みは無し」と言うオブザーバーもいる。G-77/中国内部で意見が分かれているにもかかわらず、複数の議定書締約国が対応策の悪影響最小化方法に関する情報交換に懸念を抱いている。
今日の注目点
SBSTAコンタクトグループ:議定書5・7・8条:本コンタクトグループは、午前10時からRegerの間で会合を行い、結論草案とCOP及びCOP/MOP決定の草案について引き続き検討を行う。

CDMにおける吸収源:本グループは、午前10時からSchumannの間で会合を行い、共同議長の結論草案について引き続き話し合いを行う。

IPCC TAR:本コンタクトグループは、午後3時と午後8時からHaydnの間で会合を行い、共同議長の結論草案について引き続き審議を行う。

政策措置:本コンタクトグループは、Haberの間で午後8時から会合の予定。結論草案について引き続き話し合いを行う。

SBIコンタクトグループ:キャパシティ・ビルディング:本コンタクトグループは、正午からLisztの間で会合を行い、結論草案に関する議長の非公式協議の結果発表を聞く。

プログラム予算:本グループは、午後3時からRegerの間で会合を行い、2004−2005年のプログラム予算に関する決定草案について引き続き話し合いを行う。

特別気候変動基金:本コンタクトグループは、午後5時からSchumannの間で会合の予定。共同議長の結論草案について話し合う。

UNFCCC4条8及び4条9:本グループは、午後5時からRegerの間で会合を行い、共同議長の改訂版結論草案について取り上げる。