地球環境
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国連気候変動枠組条約第18回補助機関会合(SB18)ハイライト


2003年6月7-9日



6月7日(土)および6月9日(月)、UNFCCC SB-18締約国は、討議継続のためコンタクトグループでの会合を行なった。土曜日には、気候変動特別基金(SCCF)、議定書5条(手法上の問題)、7条(情報の連絡)、8条(情報の検討)、キャパシティビルディング、IPCC TAR、吸収源CDMの検討を行なった。

月曜日、締約国は、2004-2005年の2年間プログラム予算、5条、7条、8条問題、政策措置(P&Ms)、吸収源CDM、UNFCCC4.8条、4.9条(悪影響)の実施、IPCC TAR、SCCFおよび政府間会合のアレンジについて討議するため、会合した。この2日間、いくつかの非公式草案作成グループの会合があり、またCDM 執行理事会は、2003年6月7-8日にその第9回会合を開いた。

コンタクトグループ

キャパシティビルディング:
土曜日、Dechen Tsering議長は決論書草案を回覧した。大半の地域グループは、文章の事前協議ができなかったことから、会議は中断された。Tsering議長は非公式折衝を行うと述べた。

プログラム予算:月曜日、John Ashe議長は、改訂版の決定書草案および議定書活動に伴うコストの明細を提出した。締約国は、提案されているSBSTAおよびSBI決定書の実態コストではなく、むしろその運営および資金上の影響について提示するようエグゼキュティブセクレタリーに要請するとの文章で合意した。米国は、運営資金にスタッフの費用や実施の2年間での地位を含めるべきであると述べ、議定書に伴う運用および準備活動のコスト配分に用いられる手法を明確にするよう要請した。

議定書 5条、7条、8条:土曜日、このグループは、ERTsのための訓練プログラムに関するCOPおよびCOP/MOP決定書の草案と、5.2条(調整)に基づく機密情報の取り扱いに関する管理規定の草案作成グループが提案する文章について討議した。COP決定書草案について、締約国は、初回の訓練プログラムの場所とコースについて議論した。カナダは、目録のレビューに関する基礎コースへの資源貢献に関心を表明した。EUは、資源に限りがある場合には、LULUCFの訓練モジュールを優先させることを望んだ。調整についての提案文章に関し、締約国は、自国をベースにするレビュワーに機密情報を渡すことの難しさを議論し、またこの目的のために現地の外交代表を利用できるかどうか討議した。

このコンタクトグループは月曜日に2回の会合を行なった。午前中、締約国は、筆頭レビュワー選抜の資格基準を検討した。カナダは、筆頭レビュワーに対し、割当量会計規則や、各国目録のレビュー以外に、訓練要素について試験を行なう必要性に疑問を呈した。出席者は、試験についての題目をCOP/MOP決定書草案の附属書に入れるべきか、それともSBSTA-17報告書の附属書とするべきか議論した。また、締約国は、適切な就職身元保証書について議論し、筆頭レビュワーがレビュー活動での利害の対立の可能性を公開することについて討議した。望ましい資格基準に関し、締約国は、レビューチームメンバーに対する語学面での資格についても議論した。

夕方、出席者は調整のための手法に関するテクニカルガイダンス草案とそれに関連する決定書の文章について討議した。出席者は、調整を控えめなものとするため、また締約国が基準年の排出を過少想定したり、約束期間中の排出を過剰想定したりした場合に調整を行なわないことを確保するため、テクニカルガイダンスを改訂した。その後の討議後、出席者は、テクニカルガイダンスの草案で意見の一致を見た。

政策措置:共同議長のGreg Terrillは、月曜日、決論書草案を提示した。G-77/中国は、この文章が附属書I締約国だけに言及するものであるべきで、直接的にせよ間接的にせよ非附属書I締約国との情報共有を勧めるものであってはならないと述べた。サモアは、たとえ情報共有の行動自体が、附属書I締約国だけで行なわれるものであっても、情報の共有は全ての締約国に利益を与える可能性があると述べた。米国は附属書I締約国と非附属書I締約国間での情報の共有は、キャパシティビルディングや技術移転の活動を容易にすると述べた。G-77/中国は、サイドイベントでの情報共有に関する文章を削除するよう求めたが、オーストラリア、EU、日本、サモア、米国はこれに反対した。インターネットベースの情報共有手法について、米国は、ホームページを最新のものとする必要性から新しいタイプの報告書作成要求が出てくる可能性があることについて、懸念を表明した。

吸収源CDM:土曜日、共同議長のThelma Krugは、統合交渉文書の附属書に含まれる社会経済的および環境上の影響評価のためのガイドライン提案に関し、各締約国の意見を求めた。G-77/中国は、附属書にある課題を本文中で取り上げることを提案した。AOSISは、影響評価に関する附属書の中での自分たちの提案を指摘し、A&R CDMプロジェクトのホスト国およびCERs獲得国は、議定書上の環境面での完全性を確保するべきであると述べた。CLIMATE ACTION NETWORKは、附属書削除の可能性に懸念を表明した。EU、G-77/中国、スイスは、特定の国のニーズに合わせガイドラインを策定する必要性を強調した。ノルウェーは、A&R CDMプロジェクトの社会経済、環境、生物多様性への影響に関するCOP-9決定書を呼びかけた。アフリカグループは、A&R CDMプロジェクト実施へ向けた自主的な援助や利害関係者の積極的な参加を要請した。

月曜日、出席者はプロジェクトの評価に関する意見交換を行ない、統合交渉文書への文章上の変更について議論した。ボリビアは、社会的な影響評価で合意された方法がないことを指摘し、社会的影響に関する文章の削除を求めた。マレーシアは、プロジェクト設計への現地の利害関係者参加について懸念を表明した。また出席者は、追加性、小規模プロジェクト向けの規制、ベースライン手法も取り上げた。

UNFCCC4.8条と4.9条:
月曜日、共同議長のRobert Masonは、相互協力ワークショップのための資格要件(TOR)について、折衝が進行中であることを指摘した上で、共同議長による決論書草案への一般的なコメントを求めた。サウジアラビアは、相互協力ワークショップ向けのTORの検討は、経済多様化ワークショップの日付が特定されるまで延期するべきであると述べた。AOSIS は、このグループが、保険やリスク評価に関するワークショップの成果を検討することから始めるよう提案した。G-77/中国は他の諸国と共に、決論書草案に関するグループ内での打ち合わせがされてないと述べ、議論の延期を希望した。Mason共同議長は、打ち合わせを可能にするため、会議を中断した。

IPCC TAR:このグループは、土曜日、共同議長による決論書草案を検討するため会合した。G-77/中国と米国は、COPおよび補助機関の議題項目としてTARを考察するプロセスを設置することに反対した。カナダは、SBSTAがCOPや補助機関の議題項目を連絡する際にTAR以外の文章を考察していることに異議を唱えた。G-77/中国、ロシア連邦、米国は、事務局がTARに関する作業プログラム案を策定するよう求めるとの文章に、異議を唱えた。米国は、事務局がTARと他の議題項目とのつながりに関する情報文書を作成するよう提案し、カナダとニュージーランドはこれを支持したが、サウジアラビアは反対した。EUは、締約国が情報文書以上のものを要求することで合意してほしいとの希望を表明した。

G-77/中国は、緩和と適応を別々に扱うことを希望した。また同代表は、適応と緩和に向けた統合アプローチの検討に反対し、IPCCがCOP-9でこの問題に関するサイドイベントを開催するとの要求提案に、異議を唱えた。カナダ、米国、EU、ニュージーランド、オーストラリアは、緩和と適応の横断的な要素を考えるべきであり、サイドイベントは、こういった要素に関する知識を深めるのに役立つと述べた。月曜日、締約国はこれらの問題の議論を継続した。

気候変動特別基金:土曜日、共同議長のJaap Rooimans (オランダ)は、このコンタクトグループが、SCCF規定により資金を提供される活動、プログラム、措置を定義し、優先順位をつけ、またGEF向けの運用ガイダンスを提供すると述べた。G-77/中国および他の諸国は、 SCCFが、現在、既存の基金から援助を受けない活動に資金を提供するべきであると述べ、さらにミクロネシア、タンザニア、ケニアと共に、適応活動優先の重要性を強調した。サウジアラビアは、SCCFが経済多角化活動に関する適応を優先するべきだと述べたが、ミクロネシアはこれに反対した。コロンビアは、適応活動が、国別報告書で明記された優先度に基づくべきであると述べた。中国は、SCCFが、適応、技術移転、キャパシティビルディング、そして持続可能な開発のための各国の戦略の中で明記された目標プログラムを優先するべきであると指摘した。EUは、SCCFが仲介機能を有するべきであることを強調した。カナダは、SCCFが適応と緩和の両方の措置を取り上げるべきであり、貧困削減、持続可能な開発そして良いガバナンスを、指針となる原則として提案した。ノルウェーは、SCCFがGEFやそのほかの多国間および二国間の組織を補足するものであるべきだという点を強調した。

月曜日、GEFは、明確で具体化されたガイダンス、および他のGEF活動との重複を避けることの重要性を強調した。ブルキナファソは、LDC基金とSCCFが補足しあうものであるべきだと述べた。アルゼンチンは、共同議長が決論書草案を作成することの緊急性を強調し、AOSIS、LDCs、ケニア、コロンビア、ナミビアがこれを支持した。これに加えて、AOSISは、締約国がCOP-9に先立ち、さらに意見提示を行なうよう提案した。EUは、開発プロセスの中に気候変動を主要なものとして入れること、仲介機能を提供すること、既存のGEFでのアレンジの上に構築することを含め、いくつかの指針原則を明らかにした。EUに対して、AOSISとLDCsは、原則が資金供与へのアクセスに障壁を作るものであってはならないことを指摘した。日本は、明確なSCCF ガイドライン、およびLDC基金での経験の考察を呼びかけた。同代表は、ガーナの支持を得て、SCCF基金では緩和活動と適応活動のバランスをとるよう促した。共同議長は、次回会合向けに決論書草案を作成すると述べた。

政府間会合へのアレンジ:このコンタクトグループは、月曜日、COP-9や、将来のセッション期間でのアレンジ、UNFCCCプロセスへの効果的な参加に関する議長提案の決論書草案、および2件の決定書草案向け提案を含めたCOP/MOP-1向けのアレンジを検討するため、会合した。アルゼンチンは、開発途上国締約国が効果的に参加しやすくする必要性を強調した。同代表は、現在参加者に対し宿泊費の前払いを必要としているCOP-9のアレンジに懸念を表明した。イタリアは、全ての出席者がCOP-9に参加しやすくするよう努力していると述べた。COP-9で提案されているラウンドテーブルセッションに関し、出席者は、取り上げる議題での共通認識の必要性を強調し、決論書草案にこの点を反映するような表現を提案した。また、出席者は、UNFCCCおよび議定書の下で活動するSBSTAとSBIの異なる機能にどう言及するか、そしてCOPとCOP/MOPの合同会議の可能性について議論した。

会場外では:廊下では

日曜日に休みから戻った出席者は、前週末にあった議論を進めていく姿勢が、なくなっていることに気づいた。一部のオブザーバーは、悪影響やIPCC TARに関するコンタクトグループで進展がなかったことへのあせりを表明し、憤慨したある参加者がSCCFの議論の席から飛び出したことを指摘した。しかし他のものは楽観的で、CDM執行理事会がベースライン手法の議論および一連のプロジェクト提案の検討で実りの多い週末を送ったことを指摘した。
今日の注目点
キャパシティビルディング:このコンタクトグループは、午前10時にLisztで会合する。

IPCC TAR:このコンタクトグループは、Haydnで午前10時半および午後8時に会合する。

5条、7条、8条:このコンタクトグループは正午にRegerで会合する。

4.8条と4.9条:このコンタクトグループはRegerで午後3時に、そしてSchumannで午後8時に会合する。

SCCF:このコンタクトグループはSchumannで午後3時に会合する。

P&MS:このコンタクトグループはHaydnで午後5時に会合する。

プログラム予算:このコンタクトグループは午後5時にRegerに集まる。