地球環境
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国連気候変動枠組条約第20回補助機関会合(SB20)
検討事項

地球環境対策部
蛭田 伊吹
矢尾板 泰久


1 開催概要
  開催地  ドイツ・ボン  Hotel Maritim
  日 程  6月16日(水)〜 6月25日(金)
会合の暫定スケジュール(http://unfccc.int/sessions/sb20/schedule_1105.pdf
6月16日(水) 6月17日(木) 6月18日(金) 6月19日(土) 6月20日(日)
SB20 開会
CDMEB Q&A
セッション
SBSTA20
S B I 20
SBSTA20
S B I 20
適用に関する
ワークショップ
SBSTA20
S B I 20
緩和に関する
ワークショップ
6月21日(月) 6月22日(火) 6月23日(水) 6月24日(木) 6月25日(金)
SBSTA20
S B I 20
SBSTA20
S B I 20
SBSTA20
S B I 20
SBSTA20
S B I 20

SB20閉会
 
 
※ CDM理事会第14回会合は6月12日(土)〜14日(月)に開催

2 京都議定書の批准状況
  4月15日UNFCCC公表時点で京都議定書の批准をすませた国は122ヶ国となっている。我が国を含めて批准手続きを済ませた附属書T国は32ヶ国あり、その1990年のCO2排出量は附属書T国全体の44.2%となっている。
  京都議定書の発効要件は、55ヶ国以上の批准 批准した附属書T締約国の1990年のCO2排出量が附属書T国全体の55%以上
上記の条件を満たした後、90日後に発行
  京都議定書の発効見通しについては
http://unfccc.int/resource/kpthermo.htmlを参照

3 トピックス
3.1 SBSTA
  小規模な新規植林及び再植林CDMプロジェクト(Agenda 3.(b))
  SBSTAは、小規模な新規植林及び再植林CDMプロジェクトに関するルール及びそのようなプロジェクトの実施を促進する措置に関する決定文書をCOP10までに作成することを求められている。
  COP9後、募った意見を元に事務局が技術報告書(FCCC/TP/2004/2)を作成しており、SBSTA20ではそれをベースに議論が行われる。
 

気候変動の科学的・技術的・社会経済的影響、及びそれに対する脆弱性と適用措置(Agenda 7.)&緩和措置の科学的・技術的・社会経済的影響(Agenda 8.)
  SBSTA20では、条約の取り決めの実施を促進する機会や方法について各国が情報や経験を共有することを目的に、上記2つ事項について検討を開始することとした。各事項のもとで検討するテーマは、持続可能な発展、機会と解決方法、脆弱性とリスクの3つに絞られている。
  SBSTA20では会期中にそれぞれの事項についてワークショップが一日ずつ行われ(6/18:適用、6/19:緩和)、そこでの議論をもとに今後の活動の方向性について決定する。
 

京都議定書7.4条の下での登録簿システムについて(Agenda 4.(f))
  事務局はトランザクション・ログの規格の機能及び詳細をCOP9までに決定しCOP10までに導入及びテストランを行うことをCOP8にて要請された。会合間コンサルテーションはSB20直前に行われる予定。
  SBSTA20では、作業の進捗状況報告(会合間コンサルテーションの報告を含む)が行われる予定。
 

土地利用、土地利用変化、及び林業(LULUCF)部門における統一された報告フォーマットについて(Agenda 3.(a) )
  SBSTAはCOP10までにLULUCFの統一された報告フォーマット(Common Reporting Format)を作成することが要求されている。
  現在、各国から提出されたCRFに関する意見を元に事務局がCRFのアップデートを行っており、SBSTA20ではそのアップデート版を元に検討が行われる予定。

 

木材製品のGHG吸収量について(Agenda 3.(a))
  木材製品に関する技術報告書(FCCC/TP/2003/7及びCorr.1)等に対する各国からの意見を募り、SBSTA21までにワークショップを開催することが決定されている。(ワークショップはノルウェーにて8月末に行われる予定)。
  SBSTA20では、ワークショップの検討範囲等について合意する予定。
 

その他のLULUCF関連事項(Agenda 3.(a))
  IPCCが作成した報告書「人工的な森林の土地劣化と植物減少に関する定義、及びその排出量を目録に記載する方法論的オプション(definitions and Methodological Options to Inventory Emissions From Direct Human-Induced Degradation of Forests and Other Vegetation Types)」、及び、陸域の炭素貯蓄への人間の影響に関するIPCC専門家会合の報告を受け、SBSTA20までに各国から意見を募り、今後当事項について何か意志決定をする必要があるか、あるとすればどのような決定にするかを検討することとした。
 

GHG目録関連事項(Agenda 3.(d))
  COP8にて、目録見直し活動年次報告書の提出が要請されたことから、事務局は2003−2004の年次報告書の作成に取り掛かっている。
  SB20では、事務局が提出した4つの報告書(燃料からのfugitive 排出量算定、道路輸送からの排出量算定、農業からの排出量、土地利用変化及び林業による排出・吸収量と予測)を検討し、今後の進め方を検討する。又、目録見直しチームの同意書(機密情報の取扱いについてはCOP9で採択済み)に追加事項があるかどうか検討する。
 

京都議定書7条8条関連事項(Agenda 3.(e))
  COP8にて、SBSTAはSB20までに京都議定書7条8条に関するガイドラインを含む決定文書案、及びクレジットの補助情報について報告するelectric reporting format案を提出することを要請された。更に、COP9では7条8条のガイドラインに吸収源CDMも組み込むよう要請された。についてはSBSTA21開催まで締切を延長することとなった。に関してはSBSTA20で決定文書が作成される予定。
  事務局がいない時または専門家が見直しを行っている国にいない時でも見直し専門チームがGHGに関する機密情報にアクセスできるようにするための規定を作成する必要性についてSBSTA19で議論された。今のところどの国もその必要性を指摘していないが、必要であればSBSTA20にて検討する。
 

技術開発・移転(Agenda 4.)
  SB20では、COP9で行われた技術移転を促進する環境に関するシニアレベル・ラウンドテーブル会合(SBSTAにおける政府と産業界の会合)の結果について事務局から、第5回EGTT会合(Expert Group on Technology Transfer)の結果についてはEGTT議長からがそれぞれ報告される。
  なお、第5回EGTT会合はSB20前に開催され、適応技術のスコーピングペーパー、各国が提出したTT:CLEARの効果に関するアンケートの報告書、SBSTA21前に開催予定の「技術開発・移転をファイナンスするための革新的オプションに関するUNFCCC/EGTTワークショップ」について検討する予定。
 

Policies & Measuresのグッドプラクティス(Agenda 5.)
  Dec13/CP.7の実施結果について検討し、今後の活動を決定する。COP10又はCOP/MOP1に向けて決定文書の作成も検討する。
  Dec13/CP.7→技術レベルでの経験を共有し情報を交換する等して各国がPolicies & Measures の効果を上げるために協力する。また附属書I国の国別報告書に示されているPolicies & Measuresを、基準等を用いて分析する。
(GISPRI仮訳http://www.gispri.or.jp/kankyo/unfccc/COP7_13_CP7.html
 

国際航空輸送および海上輸送用燃料からの排出(Agenda 3.(c))
  国際民間航空機関(ICAO)と国際海事機関(IMO)は、航空運輸環境保護に関する委員会及び海洋環境保護委員会の専門化会合の審議結果について、SBSTA20で報告するよう求められている。
  SBSTA20では、ICAOとIMOの専門家会合の結果を検討し、国際航空輸送及び海上輸送からのGHG排出の計算と報告について議論する。
 

ブラジル提案(Agenda 12.)
  SBSTA17で決定されたとおり、SBSTA20ではブラジル提案の科学的、及び方法論的側面についての研究進捗がサイドイベントという形で報告される。
 

附属書I国の排出量予測ワークショップ(Agenda 12.)
  SBSTA19で決定されたとおり、附属書I国の第4次国別報告書作成のために排出量予測ワークショップが行われる。ワークショップでは、モデルの手法、前提、指標、主要パラメター、感度分析、及び方法論の流布が行われる予定である。(ワークショップに関する各国意見はFCCC/SBSTA/2004/MISC.10)
 

「気候変動への適応戦略を評価するツール概要」のアップデート(Agenda 12.)
  SBSTA事務局は1999年に作成した「気候変動への適応戦略を評価するツール概要」のアップデートをおこなっている。アプデート版では脆弱性と適用措置評価の手法とツールの部分が拡充されている。(http://unfccc.int/program/mis/meth/index.html

3.2 SBI
  非付属書T国の資金・技術面支援の提供(Agenda 4(c))
  国別報告書作成のための非附属書T締約国に対する資金・技術面の支援提供における進捗調査を行い同支援の提供を継続するために必要な追加的行動に関して検討する。
  地球環境ファシリティ−(GEF)は、初回国別報告書の作成のために非附属書T国への資金援助に関する情報を提供する。SBIはその情報を踏まえ必要と思われる措置を検討する。
 

キャパシティ−ビルディング(Agenda 7.)
  COP10までに、又それ以降は5年ごとに、途上国におけるキャパシティ−ビルディングのための枠組実施の包括的レビューを完了させることをCOP9にて決定した。
  SBI20では、途上国におけるキャパシティ−ビルディング活動の範囲と効果に関する報告書を作成する。

4 サイドイベント
  SB20開催期間中に会場のHotel Maritimにて条約事務局、各国政府代表団、国際機関、研究機関、環境NGOなどが主催するサイドイベントが多数開催される。
  イベントスケジュールについては、下記を参照。
http://unfccc.int/sessions/sb20/se_table.html
以 上