2002年4号

「IT革命が地球環境問題に与えるインパクト」 研究委員会報告書


1.要約
現在、世界的な規模で進行しつつある「IT革命」は第2の産業革命とも呼ばれ、産業界や私たちの生活を含めて、多方面に非常に多くの影響を及ぼすが、一方でこのIT革命が、今後、地球環境問題に対してはどの様な影響やインパクトを及ぼすのかに関しては、まだはっきりとは解明されていない。この様な、IT革命の及ぼす影響等を事前によく分析し、さらに新たな問題の発生等を防ぐための対策を講じておくことは非常に重要である。
そのため、平成13年度の本研究委員会では、昨年度までに得られた基礎検討の結果も踏まえ、さらに一歩踏み込んだ調査検討を行うため、以下に示す5項目の重点検討テーマを設定し、これらの課題に対する調査検討を中心に、分析と議論等を行った。
     
  IT革命の将来像と、今後の展望
  米国でのIT革命に関する調査研究等の動向
  積み上げ法による、地球温暖化問題への影響等についての分析
  産業連関法やマクロ経済モデルを用いた、IT革命が地球温暖化問題等に もたらすインパクトについての分析
  個々の分析事例、および地球温暖化以外の側面等への影響分析

本年度は、昨年度に引き続き、茅 陽一・東京大学名誉教授に本研究委員会の座長に就任いただき、上記5項目の重点検討テーマ、それぞれの領域における第一人者の方々より成る研究委員会を組織して、調査検討と分析等を行った。各委員、講師の方々を始め、本研究委員会関係者の方々の精力的な調査検討と分析、そして熱のこもった議論の結果、数多くの貴重な知見が得られている。特に、産業連関法やマクロ経済モデル等を用いた分析の結果、IT革命が地球環境問題に与えるインパクトに関して、一つの可能性が示された。


2.委員会名簿(敬称略,所属・役職は2002年3月末現在)

<委員長>  
茅 陽一 東京大学 名誉教授
   
<委員>  
石谷 久(副委員長) 東京大学教授(工学系研究科 地球システム工学専攻)
吉岡 完治 慶應義塾大学 産業研究所 教授
森 俊介 東京理科大学 理工学部経営工学科 教授
室田 泰弘 (有)湘南エコノメトリクス 代表取締役
西山 邦彦 (株)電通 電通総研 研究主席
   
<オブザーバー>  
塩沢 文朗 経済産業省 大臣官房参事官(技術担当)
杉田 定大 経済産業省 大臣官房政策企画室長
関口 訓央 経済産業省 大臣官房政策企画室 企画主任補佐
野原 諭 経済産業省 商務情報政策局 情報経済課 課長補佐
服部 高明 総務省 情報通信政策局 情報流通振興課
情報流通高度化推進室長
   
早見 均 慶應義塾大学 産業研究所 助教授
柳 赫 慶應義塾大学 大学院 商学研究科
Eric Williams 国際連合大学 「環境と持続可能な開発」プログラム
プロジェクト・コーディネーター
槌屋 治紀 (株)システム技術研究所 所長
岸田 俊二 日本電気(株) NECラボラトリーズ 環境技術研究所 所長
藤本 淳 日本電気(株) NECラボラトリーズ 環境技術研究所 研究部長(※1)
山田 一郎 日本電信電話(株) NTT生活環境研究所 所長
西 史郎 日本電信電話(株) 環境推進室 担当部長
木暮 啓 (株)電通 電通総研 研究主幹
上條 典夫 (株)電通 電通総研 研究1部長
吉野 次郎 (株)電通 電通総研 研究2部 副主任研究員
高瀬 香絵 湘南環境リサーチ・フォース(SERF) 代表取締役
小川 順子 (財)日本エネルギー経済研究所 第2研究部 環境グループ研究員
藤本 正代 (株)インターリスク総研 情報通信部 主任研究員
佐野 雅之 三井情報開発(株) 執行役員 総合研究所 所長 主席研究員
白井 信雄 三井情報開発(株) 総合研究所 情報環境研究センター
環境政策グループ 研究主任 主任研究員
   
  (※1 現在、東京大学 先端科学技術研究センター 特任教授)
   
<事務局>  
木村 耕太郎 (財)地球産業文化研究所 専務理事
川松 清 (財)地球産業文化研究所 理事 事務局長 (※2)
本根 正三郎 (財)地球産業文化研究所 事務局長(※3)
照井 義則 (財)地球産業文化研究所 理事 企画研究部長
永田 伸二 (財)地球産業文化研究所 企画研究部 主任研究員
   
  (※2 現在、日本育英会 理事)
(※3 平成14年2月15日より現職)
   
<講師>  
(第1回研究委員会)  
野原 諭 経済産業省 商務情報政策局 情報経済課 課長補佐
西山 邦彦 (株)電通 電通総研 研究主席
   
(第2回研究委員会)  
田中 昭二 (財)国際超電導産業技術研究センター 副理事長
超電導工学研究所 所長
室田 泰弘 (有)湘南エコノメトリクス 代表取締役
   
(第3回研究委員会)  
服部 高明 総務省 情報通信政策局 情報流通振興課情報流通高度化推進室長
藤本 淳 日本電気(株) NECラボラトリーズ 環境技術研究所 研究部長
   
(第4回研究委員会)  
森 俊介 東京理科大学 理工学部経営工学科 教授
Eric Williams 国際連合大学 「環境と持続可能な開発」プログラム
プロジェクト・コーディネーター
藤本 正代 (株)インターリスク総研 情報通信部 主任研究員
   
(第5回研究委員会)  
室田 泰弘 (有)湘南エコノメトリクス 代表取締役
吉岡 完治 慶應義塾大学 産業研究所 教授
木暮 啓 (株)電通 電通総研 研究主幹
   
   
<依託調査研究事業>  
「産業連関表などを用いた、IT革命が地球環境問題に及ぼす影響に関する調査研究」
   
<代表>  
室田 泰弘 (有)湘南エコノメトリクス 代表取締役
   
<特別研究員>  
吉岡 完治 慶應義塾大学 産業研究所 教授
早見 均 慶應義塾大学 産業研究所 助教授
柳 赫 慶應義塾大学 大学院 商学研究科
木暮 啓 (株)電通 電通総研 研究主幹
高瀬 香絵 湘南環境リサーチ・フォース(SERF) 代表取締役
   
<事務局>  
照井 義則 (財)地球産業文化研究所 理事 企画研究部長
永田 伸二 (財)地球産業文化研究所 企画研究部 主任研究員


3.報告書目次

「 はじめに 」
  序文にかえて 茅 陽一 委員長

第1章: 「 IT革命の将来像と、今後の展望 」
  (1). IT革命を生活者はどう受容しようとしているのか
  ―エネルギー消費の視点から―
西山 邦彦 委員
  (2). e-Japan 重点計画における、各分野の将来イメージ 野原 諭 講師

第2章: 「 米国でのIT革命に関する調査研究等の動向 」
  IT革命とエネルギー・環境問題 室田 泰弘 委員

第3章: 「 積み上げ法による、地球温暖化問題への影響等についての分析 」
  (1). 日本におけるインターネットの電力需要予測
(2). IT革命とエコデザイン
(3). 情報通信を活用した地球環境問題への対応
  (平成10年5月電気通信審議会答申)について
田中 昭二 講師
藤本 淳 講師
服部 高明 講師

第4章: 「 産業連関法やマクロ経済モデルを用いた、IT革命が地球温暖化問題等に
もたらすインパクトについての分析 」
  (1). IT投資のエネルギー・環境問題へのインパクト
(2). IT産業と、持続的発展について
(3). 個々の事例におけるCO2負荷分析
室田 泰弘 委員
吉岡 完治 委員
木暮 啓 講師

第5章: 「 個々の分析事例、および地球温暖化以外の側面等への影響分析 」
  (1). 本の書籍流通における電子商取引と
   従来の流通システムのエネルギー消費構造分析
(2). 使用済みパソコン・マネジメント戦略
   リセール,アップグレード,リサイクル
(3). 拡張回帰主成分分析によるIT投資と
   産業構造変化の予測と評価
(4). ITと環境に関する国際共同研究プロジェクトの
   概要と、プロジェクトにおける企業活動研究について

Eric Williams 講師

Eric Williams 講師

森 俊介 委員

藤本 正代 講師

「 最後に 」
  委員会の議論で得られた知見と、今後の課題等について 事務局(永田 伸二)

【 付属報告書 】
   
  「 産業連関表などを用いた、IT革命が地球環境問題に及ぼす影響 」
に関する調査研究報告書
  第1章: 「IT投資のエネルギー・環境問題へのインパクト」
  (室田泰弘 特別研究員(代表),高瀬香絵 特別研究員)
   
  第2章: 「環境産業連関分析に基づくIT革命のCO2 負荷」
  (吉岡完治 特別研究員,木暮 啓 特別研究員
早見 均 特別研究員, 柳 赫 特別研究員)

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