2004年4号

新たな地球社会の創出を目指して

minami

 この度、新たに財団法人地球産業文化研究所理事長に就任致しました南でございます。皆様、宜しくお願い致します。

 財団法人地球産業文化研究所は、地球的規模での資源・環境問題、新しい国際システムの在り方、産業・経済と文化・社会の新しい関係の在り方等に関わる総合的政策を提言することを目的として1988年12月に設立され、以来、平岩、那須両理事長のご指導の下、研究成果を政府、産業界等に提言する等活発な研究活動を行ってまいりました。

 21世紀に入り4年目を迎えていますが、我が国を取り巻く内外諸情勢はますます厳しさと混沌の度合いを深めているように思われます。我が国経済は、漸くその出口は見えかけてきたものの、第二次世界大戦後先進国が初めて経験するデフレに苦しみ、少子高齢化問題は、年金問題に象徴されるように将来に大きな不安を投げかけています。冷戦の終結は、市場経済の全球的な拡大を通じて大競争時代を招来する一方、新たな民族主義の台頭等を招き、特に9.11テロ以降今般のイラク問題に見られるような憂慮すべき事態が生じるに到っています。また、IT化の進展は経済をダイナミックに発展させる可能性を招来するとともに、迅速かつ広範な情報伝播を可能とし、人々の価値観を多様化させ、NPO等新たなプレイヤーの登場を現出し、企業の社会的責任を巡る議論は活発化しています。更に、地球容量の物量的制約はますます深刻化しており、気候変動問題を巡る国際交渉や「持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD)」等の国際的取組みが加速化されるとともに、循環型社会の形成等如何に持続可能性(sustainability)を実現するかが焦眉の課題となっています。

 こうした地球規模での問題に効果的に対処し、人類が引き続き発展するためには、人類の叡知をできるだけ速やかに結集し、各国、各民族が協調して問題解決に当たることが、以前にも増して求められています。このような問題意識のもとに、本財団の活動が人類共通の課題に対してチャレンジする、誠に意義の深い活動であることを十分に認識し、全力を傾注してその使命を果たしていきたいと考えております。今後とも、関係各位の一層のご支援とご協力をお願い致します。

 

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