2004年4号

平成16年度「持続的な社会経済システムと企業の社会的責任」研究委員会

1.背景と研究の目的
 
 昨年来、日本国内のCSRへの関心は急速に深まりつつものの、2004年に経済同友会が発表した同会会員企業へのアンケート調査結果によれば、グローバルに事業展開を進める一部のCSR先進企業を除くと、これからCSRの実践に着手するという企業も少なくない。
 こうした状況を踏まえて、政府内議論も進められるなか、産業界では、自社内及びグループ内企業・サプライチェーン内企業のCSR意識を高揚させ、具体的な実践にどう結び付けるのか、SRIの普及拡大が徐々に進行するなかで自社の社会性が公正に評価されるためには、どのような取組みが求められるのか、といった課題に直面している。

 CSRの普及・振興に精力的に取組んでいるEUでは、欧州委員会、各国政府、さらにCSRヨーロッパやICC、WBCSDなど経営者団体などが啓発プログラム開発や人材育成講座の開設、ソシアルラベル制度創設ほか、企業のCSR実践支援のための、さまざまな環境整備を進めている。

 日本での企業によるCSRの取組みが容易に、また、より自発的に実践されるために、いかなる環境条件が、どのようなプロセスで整えられるべきか、政府、教育機関、非営利セクター等のそれぞれの役割も考察しつつ、そのあり方を明らかにすることが本研究の目指すところであり、議論の中では欧州、或いは北米の動向も参照しつつ、日本の企業、日本の社会に相応しい支援環境が如何なるものかを探る。

 なお、想定される環境整備課題のうち、特に、CSR啓発・人材教育、及び企業の社会性評価プロセスについては、国内外での実態調査をまず実施し、研究委員会での議論に供することとする。


2.委員会構成
 
 一橋大学大学院・谷本寛治教授を委員長に、また下記諸氏に委員として加わって頂くほか、特定主題については、外部の専門家を講師として招聘し、講演を頂く。
    氏 名   所属・役職
    浅井茂利   全日本金属産業労働組合協議会政策局部長
    足達英一郎   日本総合研究所創発戦略センター
    安生 徹   経済同友会常務理事
    荻野博司   朝日新聞論説委員
    岸本幸子   パブリックリソースセンター事務局長
    國部克彦   神戸大学大学院経営学研究科教授
    関 正雄   損害保険ジャパンCSR・環境推進室長
  谷本寛治   一橋大学大学院商学研究科教授
    冨田秀実   ソニーコンプライアンス部門環境・CSR戦略室部長
    藤井良広
  グリーンコンシューマー研究会代表
    緑川芳樹
  日本経済新聞社経済部編集委員
    森原秀樹   反差別国際運動事務局長
        (敬称略,五十音順)

3.運営等
 
 研究委員会を計5回開催し、各回主題に関する議論を取り纏め、平成16年度末に報告書を作成、公開する。

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