2007年3号

就任御挨拶

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 このたび4月1日付けで専務理事に就任いたしました蔵元進でございます。木村前専務理事と同様よろしくお願いいたします。まず簡単に自己紹介をさせていただきますと、経済産業省に約30年間勤務の後、昨年8月から日本エネルギー経済研究所にて理事兼アジア太平洋エネルギー研究センター所長としてAPECエネルギー需給見通しの策定等APECのエネルギー問題に関与してまいりました。

 また、経産省勤務時代には、3年間、愛知県に商工部長・産業労働部長として勤務する機会をいただき、愛・地球博誘致決定直後の具体的計画策定時に側面的ながらお手伝いさせていただきました。

 さて、就任にあたりまして簡潔に抱負をのべさせていただきます。

 当研究所は、1988年に設立されまして以降、その使命として、第1に国際システムの在り方と産業と文化の関わりの分野で、そして第2に地球規模での資源・環境問題の分野での調査研究を行い、その成果を政府、産業界に提言する等活発な研究活動を行ってきました。

 これに加え、当研究所が(財)2005年日本国際博覧会協会から愛・地球博基本理念継承発展事業の全国事業を承継することとなり、本年4月から当研究所の第3の柱として同事業がいよいよスタートいたしました。これから本格的に同事業を推進してまいります。

 第1の分野については、本年度は、昨年度に引き続き若年層の人材開発と雇用創出問題の研究に取り組むとともに、企業社会と文化に関する新たな研究にも取り組んで参りたいと考えており、その具体的な内容等については現在,所内で鋭意検討中であります。内容が固まり次第、本ニュースレター等を通してお知らせしたいと考えております。

 第2の分野の環境問題については、就任早々、先般バンコクで開催された気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第3作業部会に参加する貴重な機会を得ることができました。過去3年間にわたる検討作業の仕上げとなる同会合においては、地球温暖化の実態と今後の見通しについての最新の知見が報告書としてとりまとめられるとともに、併せて政策決定者向け要約(SPM)もとりまとめられました。個人的な感想になりますが、最終合意に至るまでの4日間に及ぶ部会開催中、連日深夜、最終日には明け方にいたる出席者の真摯な議論と熱意に圧倒されるとともに感動を禁じえませんでした。また、帰国後、日本での報道の大きさにも驚かされ、改めてIPCCの重要性と関心の高さを再認識いたしました。今後のスケジュールとしては本年の11月にスペインで開催予定のIPCC第27回総会において3つの作業部会報告書の分野横断的課題についてまとめた統合報告書が承認・公開される予定であります。この報告書は、12月に開催予定のCOP13、更には来年日本で開催予定のサミットにも大きな影響を与えるであろうと思われます。当研究所としても引き続き環境問題に全力で取り組んでまいります。

 第3の新しい分野である2005年日本国際博覧会基本理念継承発展事業は、その内容が愛・地球博記念事業,同成果発信事業、同成果実用化事業と大きく3種類の事業からなり、その内容も多岐にわたっております。当研究所の名古屋事務所を4月から開設するなど推進体制も強化いたしました。今年度は、今後概ね10年にわたる本事業のスタートの年であります。これから足元をしっかり固めながら、愛・地球博のテーマである「自然の叡智」が目指した社会の実現に向けて当研究所が少しでも貢献できるよう誠心誠意取り組んでまいります。

 まさしく当研究所にとって新たな飛躍の年を迎えようとしております。
最後に、皆様方の当研究所への益々のご支援をお願いして、簡単ではありますが就任に当たってのご挨拶とさせていただきます。

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