2009年4号

2009年 日EUビジネス・ラウンドテーブル年次会議報告

 2009年の日EUビジネス・ラウンドテーブル年次会議は、双方のビジネスリーダーが参加して7月6日及び7日の両日、ブラッセルで開催された。日本側は日本電気特別顧問の佐々木氏が、EU側はUCB名誉会長のジョルジュ・ジャコブ氏が共同議長を務め、国際金融危機に端を発する世界不況、地球環境問題、日EUの協力展開などについて活発な議論が展開された。
この会議には、日本側から経済産業省松村政務官、外務省西村政務官、EU側からフェアホイゲン副委員長を始め政府関係者も出席し、民間側の意見を政府側に伝えるなど、官民の間でも突っ込んだ意見交換が行われた。

 まず、第一に取り上げられた課題は、世界が抱えている経済・金融危機の評価と対応策であった。今回は、アジア開発銀行の黒田総裁、欧州中央銀行金融監督委員会会長ピーター・プラット氏による基調講演があり、それをめぐって当面する危機をいかに克服するか広範な議論が行われた。とりわけ欧州の金融機関が東欧を中心に多くの不良債権を抱えていて、予断を許さない状況にあること、金融機関が十分な情報公開を果たさず、経営者が過大な報酬を得ていることなどに政府当局が厳しい目を向けていることが注目された。同時に、出席者から景気回復策との関連で、保護主義的な動きが生じていることに強い懸念が示され、自由貿易への固い決意が強調された。

 第二の問題は、地球温暖化対策であった。この問題は、これまでもしばしば取り上げられており、日欧がイニシアチブをとり、新たな国際枠組みの形成に努力すべきだとの意欲が示された。とりわけ、技術革新を進め、ICTを活用して、エネルギー効率の改善、新エネルギーの開発、原子力の利用などが強調された。

 第三の課題は、日EU間の協力の強化であった。本年度は、相互の貿易、投資、そして新技術開発促進などに関して大企業のみならず、中小企業も含めて相互協力を最大限展開すべきことが確認された。
 私は、日EU間の投資協力の潜在的可能性について報告をしたが、私はその中で、環境、ICT、ロボット、中小企業ベンチャー、知的所有権、東アジアインフラ整備、中国における地方開発などを提案した。
 加えて、BRTメンバーから2009年5月4日プラハで開催された第18回日EU提起首脳会談で双方首脳が合意した関係強化を図るべき分野について民間として更に展開していくことに賛意が述べられた。

 第四の課題は、日EUが早急に解決すべき作業部会の提案であった。作業部会は、(1)多国及び二国間の貿易関係、投資と規制の協力、(2)生命科学とバイオテクノロジー医療と福祉、(3)情報通信技術、(4)金融サービス、会計・税制、並びに(5)イノベーション・環境・持続可能な発展の5分野について設けられている。地球産業文化研究所は、(1)及び(5)を担当しているが、私からは、(1)について報告し、とりわけ、WTOの新ラウンドの交渉の再開、貿易投資など経済交流促進の枠組みなどについて強調した。

 日EU間の協力の強化は、世界構造の大転換期にあって、きわめて重要である。EUは、新しい組織体制に向けて今後更に結束を強めていき、世界で発言力を高めていくに違いない。BRTは、民間の協力の拠点として今後も重視していく必要がある。
 なお、ジャコブス氏が欧州側共同議長を今回で退任されることになり、アリアンスペース会長のル・ガル氏が継ぐことになった。

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