2010年5号

IPCC第32回総会参加報告

気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change)の第32回総会が韓国・釜山で開催された。本会合の主な議題は、①IPCCの第4次評価報告書作成後に指摘されたいくつかの誤記への対応として、インターアカデミーカウンシル(IAC)が8月末に公表した、IPCCの体制、手続きに関するレビュー結果への対処、②第5次評価報告書の統合報告書(SYR)の骨子の承認であった。

1.会合の概要 
(1) 開催月日: 2010年10月11~14日
(2) 開催場所: 韓国・釜山
(3) 出席者: 約160か国の代表、世界気象機関(WMO)、国連環境計画(UNEP)等の国際機関等から合計約300名。日本からは、環境省、文部科学省、経済産業省、気象庁などから13名が出席。

開会(パチャウリ議長の挨拶)

2.IACレビュー報告書への対処
総会の二日目に、英国王立協会のSir Peter Williamsから、IAC報告書の詳細なレビューが行われ、各国との質疑が行われた。この後、会合期間中に、IAC報告書の第2、3章の「報告書作成プロセス」、第4章前半の「IPCCの統治と管理」、第4章後半の「広報戦略」の各々について、コンタクトグループで数多くの議論を重ね、検討結果が最終日の総会で報告された。その結果、これらのIAC報告を認識、尊重すること、そして、これらのテーマをさらに検討するため、以下のタスクグループで検討することが決定された。 これらは、次回の総会で報告される。
(1)報告書作成プロセス (Procedure)
(2)ガバナンスとマネジメント (Governance & management)
(3)広報戦略 (Communications)
(4)利益相反ポリシー (Conflict of interest policy)

3.統合報告書(SYR)の骨子
第5次評価報告書の統合報告書(SYR)は、8月のスコーピング会合で骨子案が作成され、本総会で最終的に下記の構成が決定された。SYRは2014年末のCOP20の議論に間に合わせるため、2014年10月末までに作成される。
(1)気候変動の観測とその原因(Observed Changes and their Causes)
(2)将来の気候変動、影響、リスク(Future Climate Changes, Impacts, and Risks)
(3)適応策と緩和策(Adaptation and Mitigation Measures)
(4)社会システムの変革(Transformations and Changes in Systems)
【Box】UNFCCC第2条に関する情報 (Information relevant to Art 2 of the UNFCCC)

4.その他
(1)IPCC共同議長のOgunlade Davidson氏(シエラレオネ)の辞任に伴い、WGⅢの副議長である Ismail El Gizouli氏(スーダン)が共同議長に選出された。WGⅢの副議長の後任にはFrancis Yamba氏(ザンビア)が選出された。
(2)再生可能エネルギー資源と気候変動緩和に関する特別報告書(SRREN)の進捗が報告され、内容の一層の充実を図るため3日間の追加会合開催が提案された。これが承認されればSRRENを承認する次回総会の開催時期が延期される可能性が示唆された。

総会会場(釜山BEXCO)

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